岡崎乾二郎『抽象の力』九
岡崎乾二郎『抽象の力』亜紀書房2018年初版、「第IV部 具体の批評」の「批評を召喚する」を読んだ。
《 混乱は、主体の一貫性、連続性という人間中心主義がいまだ片付けられず、残存しているところに起こる。 》 400頁
《 徹底した人間主義からの隔絶によって、クプラーの『時のかたち』は、その書名通り、一つの普遍的に流れる時間という概念を分解してしまう。その結果、 自覚させられるのはわれわれが使う、現在性という概念の曖昧さである。 》 404-405頁
先だって読んだ本だ。
《 つまり、それぞれの事物の体系性、一貫性が壊れることもない。事物が事物であるのは、それを構成する素材によるのでも、主体によるのでもなく、それがその事物 (完結した一つの事物)であるという体系性つまり事物の全体を仕切っている文法=形式によるからである。 》 407頁
そして「あとがき」。
《 そして確信的な意味での伝播は実際の人間的接触ではなく、書かれたものを含めた事物を通してこそ深度を持って伝播する。 》 414頁
《 重視したのは場所と時間を隔てた作家たちの仕事の間に張り巡らされたさまざまなラインを可能な限り拾い上げることであり、そのネットワークがいかに「世界」を 掩う架空の場として編み上げられていたかを描くことだった。 》 415頁
なんとも熱の籠もった気迫ある論述だ。美術史の常識ががらっと一変。私にはじつに嬉しい転回、展開だ。いずれ再読することになるだろう。
昨晩は三島駅南口再開発計画の市民説明会へ。三島文化開館大ホール定員1200人にたった150人。市の説明は去年10月の繰り返しで何ら新しいことは言わない。 市民との質疑応答では最初の男性がキツーイ一発。レストラン経営というその方は、こんなテナントには誰も入りません!と。野村不動産の関わった案件はどれも失敗と 手厳しく論じる。パチパチ。賛成派の意見はなんとも情けなく記憶にない。手を挙げたが時間切れ。反対派の勢いが目立った説明会だった。が、ひどいスカスカ内容。 お疲れ気分で帰宅。
昼前、三石神社下、眼鏡橋下流へ。夏場は深くて速い流れで入れなかったが、今は浅い。茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。重くなって終了。
帰宅してパソコンを開いたところへ銀行員の若い女性。ついつい四方山話をしてしまう。源兵衛川で掘り出した古い牛乳瓶を欲しいと言う。今時好きな人がいるんだ。 三本の中から一つを選び、手渡したエアパッキンに丁寧に包んでいる。へえ~。
午後三時前遅い昼食。
ネット、うろうろ。
《 本の繁殖を防ぐためには、直射日光を防ぎ、蛍光灯などの光も極力届かない場所を室温16~22度、湿度40%~60%で保ち、立てにきちんと並べておく必要があります。 本は平積みにした瞬間に、発情期が始まります。 》 はとこ
https://twitter.com/Q9coo/status/1095499247028326400
毎日発情期。
《 「最強の横溝正史賞落選作は『リング』である」として手を握れるミステリマニアどもが、最強の江戸川乱歩賞落選作については、虚無vs.占星術という 世代を切り裂く闘争に明け暮れる。そして、それを冷ややかに横目で見守る天藤派と笹沢派。逆立ちしている折原派。 》 猟奇の鉄人
https://twitter.com/kashibaTIM/status/1095298809884663808
鈴木光司、中井英夫、島田荘司、天藤真、笹沢左保、折原一。
《 芥川賞受賞作の上田岳弘『ニムロッド』を読みました。ITマネージャー小説ですね。心地よい虚しさが90分のOVAみたいでした。これくらいのテクニカルな説明だと 選考委員は理解できるんだ、という点で意義深いものを感じます。 》 ISOGAI 1
https://twitter.com/ISOGAI_1/status/1095334264973885442
《 東京キャバレー文化の終焉 》 ROADSIDERS'weekly
http://www.roadsiders.com/special/rip003.php
《 衆院予算委。
階「桜田大臣は五輪憲章を読んだ事があるか?」
桜田「話には聞いたことがあります」
え、え、え? 五輪担当相なのに読んでない??? 》 インドア派キャンパー
https://twitter.com/I_hate_camp/status/1095561915286269952
《 今の日本にないもの
・正義
・倫理
・反骨
・寛容
・自由
・平等
・友愛
・人権
・正論
だからそれらの替わりを務めてるもの
・世間体
・同調圧力
・服従心
・嗜虐心
・我慢
・差別
・憎悪
・虐待
・嫌がらせ
・見て見ぬふり
・正論(産経新聞の)
うん、これではあきまへんわ。 》 愛国心の足りないなまけ者
https://twitter.com/tacowasabi0141/status/1094931824797609984
《 こんなチョコなら、むしろ、くれなくて良いよな。(ガーナミルクチョコは美味いが...) 》 下流人生 、風俗日記
https://twitter.com/karyujinsei/status/1095358174465409024
閑人亭日録
岡崎乾二郎『抽象の力』八
岡崎乾二郎『抽象の力』亜紀書房2018年初版、「第III部 メタボリズム - 自然弁証法」より「白井晟一という問題群1」を読んだ。
《 いうまでもないが、人間の精神が(素粒子のように)不確実性を持った物質であるという認識は、精神の整合性=目的論的な理性の権威そのものを失墜させる。 精神は物質であるゆえに、自らの位置と運動を測定できず、常に(同時に)矛盾する複数の論理、相互に対立する複数の世界に属すほかない。こうした認識は、精神と 物質の対立(あるいはそれに基づく弁証法)という偽の問題を廃棄する。物質=自然にこそ矛盾=複数論理が生じ、その矛盾の反映としての精神が現象しているにすぎない。 だから物質=自然にだけ弁証法が成立する。 》 297-298頁
《 おそらく量子力学を含めてニ○世紀の物理学が、芸術そして哲学に与えた重要なヒントは、いままで対象、運動が、必ず位置づけられ書き込まれなければならなかった 時間、空間(ニュートン以来の絶対空間、絶対時間)という普遍の(と思われた)枠組みが可塑的、可変的なものへ転換されてしまったことにある。 》 300頁
《 近代化とはむしろ、この絶対空間、絶対時間の無限延長性を現実的制度として整備しようという遅れたプロジェクトだった。 》 301頁
《 その相関性は、もちろん表面的な影響関係によるわけではない。思想的位相の同型性がこうした類似を発生させる。 》 309頁
上記引用、昨日のイサム・ノグチ~マル・ウォルドロン~北一明の三極構造への的確な説明だ。そして岡本太郎への鋭い批判。
《 縄文人の原始エネルギーを原子エネルギーと等価した太郎の思想は、結局のところ、おそろしく単純なものに変容してしまっていた。 》 308頁
《 矛盾=問題を解決するのでもなく引き裂かれるのでもなく、ただそれを肯定し開き直ることが彼のいう対極主義であり、爆発だった。すべての矛盾は呑み込むことが できるという根拠のない自信と、ゆえにあらかじめすべてが解決されているように振る舞う太郎の身振りは、戦後の日本人に責任を解除する術を指南した。なぜ被爆国で ありながら戦後の日本が原子力を異常なほど推進してきたのか?日本に住む誰もが抱いていた核への恐怖、嫌悪、拒否反応、それが批判にまで成長しないうちに解除する 役割を、岡本太郎の言説が果たしてしまっていたことは否めない。少なくとも《太陽の塔》には、対極も分裂もなく、そのままベタに原子力の平和利用のシンボル= モニュメントであるにすぎなかった。 》 308-309頁
つづいて「白井晟一という問題群2」「白井晟一という問題群3」を読んだ。そして「第III部 メタボリズム - 自然弁証法」の最後の短文「乃木坂とポストヒストリー 」を読んだ。乃木希典と乃木坂にアトリエのある磯崎新ついて。
《 日露戦争後、一等国入りを自負した日本は急速な産業革命を達成する。近代国家の体裁は生活の隅々にまで浸透する。近代主義とは過去の精算=忘却を成立の条件と する(事後的に歴史の転結として構成されうるのは、この体制の成立過程までの物語である)。その意味で明治国家体制の完成は歴史の一つの完結であった。 》 373頁
《 一九四五年以後、あるいは一九七◯年以後の日本の推移は明治日本のそれに重なる。 》 375頁
《 国家にとって建築は記憶を振り払い、国民の欲望を前に転がしていく巨大な装置にすぎない。 》 375頁
《 歴史の完結(そこで歴史が自由に参照、使用できるソースとなる)がポストモダンだとすれば、今後進むのは、暴力をともなった歴史の抹消作業、ポストヒストリー だろう。 》 376頁
《 (所詮小さな世界にすぎないかもしれないが)日本の建築史には磯崎新以前と磯崎新以後という、容易には越えられない境界線が確かに存在する。 》 377頁
近所の本屋で郡司ペギオ幸夫『天然知能』講談社選書メチエ2019年初版2刷帯付を受けとる。
ブックオフで文庫本を六冊。木下杢太郎『新編 百花普百選』岩波文庫2011年4刷、講談社文芸文庫 編『戦後短篇小説再発見2 性の根源へ』』講談社文芸文庫2001年 3刷、同『6 変貌する都市』同2001年初版、同『13 男と女 結婚・エロス』同2003年初版、同『17 組織と個人』同2003年初版、同『18 夢と幻想の世界』同2004年 初版、計648円。『戦後短篇小説再発見』は第一期10巻、第二期8巻。所持しているのは半分の九冊。集める気がしないでもない。
ネット、うろうろ。
《 悪夢の民主党時代
実質賃金が今の104%しかなくて
一人頭のGDPが今より一万ドル高い48000ドルぽっちで
食料と光熱費が安くて
エンゲル係数が低くて
大臣が暴言吐くと更迭され
セクハラやパワハラは非難され
南クリル諸島が北方領土で
普通に総理の代りがいたとか
本当になんて酷い時代だったんだろう 》 愛国心の足りないなまけ者
https://twitter.com/tacowasabi0141/status/1094605082773966848?s=11
《 野党共闘が政権を奪取したら、やりたいことが山ほどある。
・アベと麻生を断罪する。
・人材派遣法と技能実習制度を廃止する。
・脱原発をして再生エネを大々的に展開する。
・F35や地上イージスの導入を撤回する。
・秘密保護法を撤廃する。
・日米地位協定を改定する。
ああ、まだまだ書き切れない。 》 中川 均
https://twitter.com/naka8952/status/1094418518659887104
《 自民党のみなさん、自民党政権って自覚がないんだろうな。あくまでも「安倍政権」って自覚なんだろう。
そりゃ憲政が歪むわな 》 菅野完事務所
https://twitter.com/officeSugano/status/1095172616673849344
閑人亭日録
岡崎乾二郎『抽象の力』七
岡崎乾二郎『抽象の力』亜紀書房2018年初版、「第III部 メタボリズム - 自然弁証法」より「名を葬る場所」を読んだ。イサム・ノグチの仕事と思想。
《 死者はいかなる生者の秩序からも解放されている。いかなる地上のアイデンティティも属性もばらばらに解体され、ゆえに世界の再生が可能になる。 》 272頁
イサム・ノグチの日の目を見なかった『ヒロシマ・モニュメント』の地下空間を思い、昨日話題のマル・ウォルドン『TOKYO BOUND』を再びかけ、手許に北一明の 黒・耀変茶碗。その強震する三極構造。漆黒の深い深い深遠。ピカドンに向き合う三者の息を呑む響縁。くらくらする。
曇天の寒い昼前、家にこもってCD、マル・ウォルドロン&山下洋輔『ピアノ・デュオ・ライヴ』1985年9月17日録音を聞く。ウェブサイトに記事。
《 個々の展開や内容については解説不要かつ不能、これはもう聴いていただくのが一番だ。予想される丁々発止、剣豪師弟の火花を散らす対決の趣きはない。 師弟になぞらえれば、巨大なモニュメントを彫り上げるべく手を携えて巨石に立ち向かう二人といったところ。/ 林建紀 》 AERA.dot
https://dot.asahi.com/musicstreet/column/jlive/2015060800024.html
午後、一昨日三石神社の下流の石垣に見てしまったヒメツルソバを抜く。ついでに川辺のカラーも抜く。対岸の石垣上部のヒメツルソバを、家の狭い隙間を抜け出て 腹ばいになって抜く。ふう。土のう袋にぎゅう詰め。乾けば軽くなる。軽く汗。
ネット、うろうろ。
《 黒川名誉教授緊急寄稿。疑惑の被ばく線量論文著者、早野氏による「見解」の嘘と作為を正す 》 ハーバー・ビジネス・オンライン
https://hbol.jp/185193
《 官邸が東京新聞の望月衣塑子記者の質問を遮るのも、官邸記者クラブを使ってまで退けようとするのも、この政権に対するファクトチェックをされるのがとんでもなく 嫌だから。だとしたら私たちがやるべきことは決まりだ。市民がこぞってファクトチェックに参加すること。民主主義の勉強にもなるよね。 》 池田幸代
https://twitter.com/sachiiketomato/status/1094596041771347968
《 「美術家に非理性/狂気を薦めるとはいかがなものか」とのリプをいただいた。かねてより知的か、さもなくば感覚か、といった知性や理性の一元化は誤りであって、 理性にも複数の形態があることを述べてきた。だから言語的思考のほかに音楽的思考や美術的思考が「理性」としてあることを知る必要がある。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1094629963427241984
《 「カサノヴァがいつベアトリーチェを好きになったかわからない」という感想を聞いたけど、実はわたしはそこが好きなところである。彼女が他の人より美しいから、 他の人より清らかな心を持ってるからではなく、「多くの人を愛する人生」から「ひとりを愛する人生」に変わっただけ、という。 》 近藤史恵
https://twitter.com/kondofumie/status/1094673543776718848
閑人亭日録
岡崎乾二郎『抽象の力』六
岡崎乾二郎『抽象の力』亜紀書房2018年初版、「第II部 抽象の力 補論」より「先行するF」を読んだ。
つづく「戦後美術の楔石としての内間安セイ(王ヘンに星)の仕事」を読んだ。
《 すなわち水彩画の魅力とはおおよそスケッチの魅力なのだ。不安定な色彩の滲み、揺らぐ形態に、制作過程で起こった画家の感覚の移りゆき、思考の変化がそのまま 反映している。 》 214頁
《 版画技術とは単なる複製メディアではない。複数の異質な空間そして時間を一枚に重ねる能力だったのだ。 》 220頁
論題の版画についての論述に書きたいこと多々あるけど、ここは書かずに。
つづく「明晰、曇りなき霧 晴れやかで軽快なる水の微粒子、の運動」を読んだ。読み応え、あり過ぎ。引用はちょっと。
《 自然において形態は変化、成長を止めることはない。形態の秘密はそのさまざまな時間サイクルが作り出す生成変化の構造そのものにあるのであって、あおれを静止 させる認識の側にあるのではに。むしろひ人は、この形態の生成変化から構造を読み取り、自身の止まった認識こそを(時間を組み込み)生成変化させねばならない。 》 232-233頁
《 主観とは、いわば形態の輪郭を引き寄せ、まとめているところの重心=焦点である。 》 234頁
《 形態学はこうして政治的な力学へも接続され展開する。印象派もキュビズム(そもそもキュビズムこそは表象の形式ではなく、形態学として理解されるべきだ)も この流れに沿っていた。 》 234頁
《 創造とは、人の認識に沿って自然を形態として整えることではない。それに対峙し観測する人間の認識こそを転換させることにある。 》 247頁
「第II部 抽象の力 補論」読了。「第III部 メタボリズム - 自然弁証法」へつづく。
昨日のレコード『 Mal Waldron & Steve Lacy / Journey Without End 』が素晴らしく、ぐいぐい惹き込まれ、三度も聴いてしまった。その勢いでマル・ウォドロンの 初来日録音レコード『TOKYO BOUND』1970年2月12日録音を久し振りに聴く。音量をぐっと上げる。漆黒の空間を音の閃光が縦横に切り裂く、気迫のダイナミック・ビート。 輝ける漆黒の怒涛、の快感。四十九年前よりずっと深く強く心身を揺さぶる。おお、ジャズだ。北一明の耀変茶碗を連想。
https://www.discogs.com/ja/Mal-Waldron-Tokyo-Bound/release/2176611
A1 Japanese Island
A2 Rock One For Jinbo San
B1 Atomic Energy
B2 Mount Fujiyama
B面1曲目の「Atomic Energy」についてマルは語る。
《 この曲を作ったのは、原子兵器に向けられるこの種の警告の可能なかぎりの結果を示すためであった。演奏の終結部分にかけて描かれた全世界が原子爆弾の爆発に よる連鎖反応によって破壊つくされつくしていくさまを是非聴きとって欲しい。 》
映画『シン・ゴジラ』を連想した。そして「富士山」。純白の富士山のなだらかな稜線を遠く見上げ、濃やかに繊細に、美しい旋律を描き出すピアノ音。
午前、源兵衛川の月例清掃へ。水の苑緑地・かわせみ橋下流の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。川岸の御婦人から「寒くないですか」と。「水のほうが温かいです」と 応える。重くなったので帰宅。汗ばんでいる。コーヒーが美味い。
曇天の夕方、友だちからメール
《 熊谷守一
モリのいる場所
まあまあかな? 》
友だちは私の昨日のブログを読んでいない。樹木希林出演でビデオ屋から借りてきた。なんという共時性。
ネット、うろうろ。
《 CapsLockが押される理由、第1位「間違って押した」、第2位「間違って押したのを戻すために押した」 》 おやつ
https://twitter.com/Oyatsu_Co/status/1093851913030979584
《 NHKニュースには「今日の安倍総理」というコーナーが完璧に用意されているらしい。どんな中身のない答弁でも長々と流すし、 それもない時はゴルフだの散歩だのまで、ご親切なことだ。安倍コーナーディレクターはきっと出世コースなんだろうな。 》 鈴木 耕
https://twitter.com/kou_1970/status/1092703651930398722
閑人亭日録
岡崎乾二郎『抽象の力』五
岡崎乾二郎『抽象の力』亜紀書房2018年初版、「第II部 抽象の力 補論」より「守一について、いま語れることのすべて」を読んだ。熊谷守一の絵を実見した記憶は ない。仙人みたいな人、という印象だけ。ぜんぜん違うじゃん。
《 グラハム同様に、いずれにしても作品数が著しく少なかった守一が、にもかかわらず、その存在感を失わなかったのは彼の作品を見る分析力、批評力にあったのは 確かでしょう。 》 153頁
《 ここで抽象といっているものの核心は「抽象の力」本論で書いたように、絵画が何かの再現ではなく、現実的な力を持つ具体物として認識されるようになったという 意味です。 》 157頁
《 いうまでもなく、色彩を(それに触れ=見たときに働く)具体的な力として扱うのは、守一後期の絵画にこそ徹底された最大の特徴でした。 》 158頁
《 目に次々と入ってくる色彩がいったい何を示しているのかは、すぐには判然としない。ゆえにわれわれはその絵に惹かれて見続けてしまう。 》 161頁
《 つまりヴァネッサ(Vanessa Bell)は平面的な模様(パターン)がそれだけで対象として芸術的な質を持つとは考えていない。彼女は平面的な模様に見えたものが 運動(すなわち移行)し、視点が誘導され奥行き、空間を作り出すこと、その動的な過程こそが美的感動を与える、芸術的経験なのだといっているのです。 》 164頁
《 その問題とは絵画における対象があらかじめあるのではなく、絵画を見るという行為の中で現れてくるものだという点に集約されます。 》 165頁
安藤信哉の晩年の水彩画を連想。
《 一九五九年制作の《仏画》にはより《ロザリオ礼拝堂》のマチスの壁画との共通性が見てとれます。 》 173頁
雑誌『批評空間』太田出版1995年収録、岡崎乾二郎「経験の条件」の論に重なる。ふう~。次の頁の文言《 世界を外から眺める視点、死者のたましいの側から眺める 視点 》は、一くぐりして味戸ケイコさんの絵につながる気がする。
《 熊谷守一の仕事が示すのは、ある場所で独自に展開してきた仕事がそれとは異なる場所で発生してきた仕事とシンクロ=同期しうるという可能性です。その二つの 仕事は互いに模倣し合うのではなく、むしろ距離を持ちながら共振し合い、同期し、その瞬間、同じ場所を形成するということです。その共時性(シンクロニシティ) こそが世界性というべきものでしょう。 》 185頁
《 重要なのは、この共時性は作品の個別の現れというよりは、それを支える思考、まさに「ものの見方」「考え方」に拠って構造的に起こるものだということです。 》 185-186頁
手に汗を握る論述だ。それにしてもスティーヴ・レイシーに触れている(181頁)とは。久し振りにLPレコードをかけるか。
『 Mal Waldron & Steve Lacy / Journey Without End 』1971年11月30日録音
https://www.youtube.com/watch?v=-iKmsS60Css
午後、栃木県小山市からの視察十人程を源兵衛川へ案内。楽しまれたようでやれやれ。三嶋大社前で見送り、帰りがてらイヴェント中の三島未来研究所のカフェで 冷えた体を熱いコーヒーで温めていると、お声掛け。ほろ酔い加減の知人女性から内密の話を聞く。その対応で正解と応える。ふらふらと離れていった彼女を見送り帰宅。
ネット、うろうろ。
《 講談社「夜翔ぶ女/中井英夫」を購入する。 》 「2/8東京・西荻窪 BREWBOOKS」古本屋ツアー・イン・ジャパン
http://furuhonya-tour.seesaa.net/article/464054788.html
若い知人が「夜と醜女(ぶおんな)」と読んだ、と中井英夫氏が苦笑した思い出。
《 「平成」は、戦後に築き上げた様々な仕組みが時代や環境変化に適応できなかった時代でした。漸進主義的で抜本改革が進まず、もがく30年だったように思います。 特に人口減少への対応は、財政・社会保障改革を含め、「道半ば」でした。 》 withnews
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190208-00000001-withnews-soci&p=5
《 地域金融の未来を拓くのは、「面倒なお金」かもしれない / 橋本 卓典 》 現代新書
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59711
《 「政治的な話はタブー」とする人たちは、「自分のイメージを玉虫色にしたいだけ」なのである。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1093806159826309120
《 昔は必死でCMを抜いて番組の録画をしたけど、今になってみると当時のCMが入った状態の方がずっと面白く観られる 》 ささいみりか
https://twitter.com/sasaimirika/status/1093454804817305600
《 「資料を送ります」と言うので待っていたら、フロッピーディスクが送られてきた。これはどうしたらいいのだ。読み込む機械、会社にあんのか……。 》 龍の字
https://twitter.com/dragon_boss/status/1093350020890296321
《 レオパレス伝説は 「隣の部屋の住人がスピードラーニング聞いてたらその棟に住んでる全員英語ペラペラになった」が一番好きです。 》 ジャミロ卑猥ニャン
https://twitter.com/osa030/status/1094037445861986305
《 ...。 》 下流人生 、風俗日記
https://twitter.com/karyujinsei/status/1094051181490429952
。!!!。
閑人亭日録
岡崎乾二郎『抽象の力』四
岡崎乾二郎『抽象の力』亜紀書房2018年初版、「第I部 抽象の力 本論」を読了。本の題名を正確に記すべきだなあ、と気づいた。すなわち 『近代芸術の解析 抽象の力』。この二本でないと見通しが悪い。最後は第二次大戦後にアメリカで勃興した抽象表現主義への論考。これまた実に深く剔抉している。一読しただけでは 全体像を理解できない私だが、それまでの近代芸術論を転倒させるほどの力があると感じた。帯の文。
《 20世紀美術を動かした
真の芸術家たちは誰か──
ヒルマ・アフ・クリント、夏目漱石、ヴァネッサ・ベル、トーレス・ガルシア、熊谷守一、ダヴィド・ブルリューク、ジョン・D・グラハム、ソフィー・トイベル= アルプ、坂田一男、ジョルジュ・モランディ、岸田劉生、恩地孝四郎、村上知義、白井晟一、イサム・ノグチ、長谷川三郎、瑛九、内間安セイ── 》
日本人は全員名前を知っているけど、外国人は・・・。横浜美術館で「イサム・ノグチと長谷川三郎展―変わるものと変わらざるもの」を開催中。これは気になる。
https://yokohama.art.museum/special/2018/NoguchiHasegawa/
本論の結び。
《 だが、カルメン・ヘレラの仕事が示しているように、彼女たちの思考は途切れることなく継承されていった。ミニマルアートはこの大きな流れを継承した通過点の 一つにすぎない。 》 「第I部 抽象の力 本論」 129頁
午前十時前、源兵衛川中流、下源兵衛橋上流部で茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。重くなったので終了。帰宅。汗ばんだが着替えるほどでもない。コーヒーを淹れる。 美味い。
それにしても昨日買った雑誌『PEN』。『BRUTUS』そっくり。値段も同じ。『BRUTUS』の「美女数珠つなぎ」140人目。『PEN』の「#バズ美女」は 13人目。驚いた。『PEN』を買うのこの一度だけ~。
ネット、うろうろ。
《 翻訳:超知能へ向けたステップ (ロドニー・ブルックス) 》 Qiita
https://qiita.com/ryoen/items/16b4bbaf9a61fcc85324
《 人を深いレベルで動かすためには明快な結論を言わないことがときに重要であるということは、臨床や教育に関わっている人ならばわかること。 はっきり言うべきタイミングもありますよ、しかし言わないことが大事な場合もある。場合によりけり。ということがわからなければ修行が足りない証拠。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1093549008662933506
《 テレビなどでよく識者が「国会でのあんなやりとりがあると、ますます国民の政治離れが進む」とか言ってるけど、正直いまの国会はバラエティ番組なんかより 断然面白いと思うけどな。
テレビで国会流せば視聴率取れると思うし、政治への関心を持つ人が増えるはずだよ。 》 但馬問屋
https://twitter.com/wanpakutenshi/status/1093327393912061954
《 北方四島も半世紀も貸してるんだから利子で六島くらいになってるのでは 》 ドンガメ六号
https://twitter.com/dongame6/status/1093534829172318209
《 高島屋のオンラインストアでチョコ買って贈ろうとしたら、敬称のバリエーションが豊富すぎた 》 atelier Euph.
https://twitter.com/bon_66/status/1092717355786858496
《 これからの日本... 》 めちゃくちゃ病弱な稗田
https://twitter.com/invalid_Hieda/status/1092977589868683269
《 三十年後には廃墟になるもの
タワーマンション
ショッピングモール
ほとんどの原発。 》
閑人亭日録
岡崎乾二郎『抽象の力』三
岡崎乾二郎『抽象の力』亜紀書房2018年初版を少し読む。
《 一九ニ三年九月一日に首都を襲った関東大震災は物質の支配を決定的にした。震災は日本の前衛文化を完全に転換してしまったのである。すでにマルクス主義も フロイトの精神分析理論も基本的な教養といえるほど、この時代には流布していた。そしてマルクスとフロイト双方を、物質こそが精神を決定するという一点の認識に おいて連結し、物質が触発し考えさせるとまで要約し文学作品にしたのは「新感覚派」と呼ばれることになるグループだった。 》 「第I部 抽象の力 本論」 69-70頁
《 シュルレアリスムの主知主義あるいはロシア構成主義/ボリシェヴィキの主知主義に対して、ダダ-抽象芸術にあったのは、主体を捨て去り、事物に内在した知性 そして倫理の具体性に賭ける、いわばアナーキズムだったともいえるだろう。その思想はダダと応用芸術の出合いからまっすぐ導き出される。 》 「第I部 抽象の力 本論」 82頁
《 つまり事物に関わり、何かを形づくることはむしろ自らを陶冶する=形成することに繋がるのだ。 》 「第I部 抽象の力 本論」 82頁
《 構成主義的なデザインとは何だったのか。一言でいえば新しいテクノロジーの表現であり、そのテクノロジーが実現した、まったく新しい空間知覚を表現することで ある。 》 「第I部 抽象の力 本論」 107頁
《 繰り返せば、一方で『FRONT』などのグラフ雑誌や映画《加藤隼戦闘隊》などの表現はむしろ広い意味での抽象芸術、構成主義の応用と展開によって成り立って いたのである。画家たちが抽象絵画から具象絵画に転向することは単なる後退を意味していた。 》 「第I部 抽象の力 本論」 108頁
《 その意味で戦争最中にあって、こうした技術的な回収へ抵抗できた、芸術表現の最後の拠点は「アンフォルム」の美学だけだったといえよう。 》 「第I部 抽象の力 本論」 110-111頁
《 第二次大戦後、こうしたアンフォルムの表現は形骸化し、いわゆるアンフォルメル・スタイルとして多くの作家がデビューし市場を賑わすことになる。 》 「第I部 抽象の力 本論」 112頁
「本論」あと数ページを残して本を閉じる。簡明な筆致で目の醒めるような論述が展開される。じつにスリリング。
4日に取りあげた『芸術新潮』の表紙を飾った『日月(じつげつ)四季山水図屏風』。山下裕二の説明から。
《 金箔で太陽、銀箔で月を表していて、しかも季節が画面の中で円環状にまわっている。 》 64頁
太陽は金なのですぐにわかるが、月がどこにあるのかわからなかった。『BRUTUS』の解説でやっとわかった。
《 右隻に春夏の情景と太陽、左隻に秋冬と三日月が描かれ、両隻を合わせると、「青々とした夏山と白い雪山「昼と夜」が一つの画面に同居するという、現実には あり得ない風景が出現する。 》 65頁
三日月でやっとわかった。酸化して黒くなっていたか。ウェブサイトにはしっかり書かれていた。
http://artscape.jp/study/art-achive/1231281_1983.html
雑誌『PEN』を買う。特集「いまこそ知りたい! アートの値段。」。
ネット、うろうろ。
《 何が大変って、今回各方面に無理を言って本文をわざと旧仮名旧漢字にしてもらいました。鏡花の文章は旧仮名旧漢字で読む方が絶対に幻想性が爆発するんです。 》 中川学
https://twitter.com/co_kobo/status/1093016992909471744
《 芸術的なものには、芸術的な規則があるのだから、それを学ぶべき、という内容のツイートが廻ってきた。文化というものをここまで単純に捉えた暗愚も珍しい。 芸術的なものを編集しても、芸術は生まれない。さまざまな芸術的でない事象が交差している創作の現場から、芸術的な欲動を考える必要がある。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1093200514831900672
《 『住み続けるには修理修繕を繰り返さないと、家はすぐにただの粗大ゴミとなっていくしかない。メインテナンス、正しくはメインテインで意味は「手入れ」 ということ。先日、法隆寺が1400年もったのは貧乏寺であったこと、修理修繕をこまめにしたからと管長にうかがった。』清家清 》 建築家の本棚
https://twitter.com/kenchiku_books/status/1093061188693311490
《 統計問題、個人的には目ん玉飛び出るほどのニュースだと思ってるんだけど、朝の民放のニュースショーで「藤井七段がバターライス食べた」という話よりも 短く伝えられていて、それはそれで目ん玉飛び出るほど驚いた。 》 深町秋生
https://twitter.com/ash0966/status/1092916891054571521
《 間違いを間違いとして認めないから、いつまでも政策が改められる事はない。極東アジアは新しい21世紀を歩んでいるというのに、 日本だけは未だに戦後レジームのまっただ中。アメリカに捨てられるまで気がつかないw 》 「給料上がった、上がった、自分だけ」 ネットゲリラ
http://my.shadowcity.jp/2019/02/post-14729.html#more
《 ネトウヨ界隈が何でもかんでも安倍のせいにする人のことを「アベノセイダー」と揶揄してたけど、安倍は森羅万象全てを担当している事が本日明らかになったので、 何でもアベノセイダーになるというのはあながち間違っていなかった。 》 nob.
https://twitter.com/nob111222333/status/1093053872413655040