2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

きわめて原始的なやり方

はやぶさのカプセルをひっくり返してコンコンと叩くと微粒子がゾロゾロというニュースには笑った。それまではカプセルを上に向けてさじで掻きだしていた。ひっくり返して出すことを考えなかったとは。≪担当者が最後に念のため容器をひっくり返し、工具でたた…

休館日

ブックオフ三島徳倉店で二冊。菊地成孔(なるよし)+大谷能生(よしお)『東京大学のアルバート・アイラー 歴史編』文春文庫2009年初版、米澤穂信(ほのぶ)『ボトルネック』新潮文庫2010年12刷、計210円。前者は知人から借りた単行本で読んだけど、よくわ…

鉛筆画

中京大学アートギャラリー C・スクエア から企画展「鉛筆画の世界」の案内状。鉛筆画といえば当然、味戸ケイコさんを思う。が、学芸員たちにはそういう連想はない。予想された顔ぶれが並ぶのみ。画竜点睛を欠く、といえば言い過ぎだろうか。ちょうど、千葉…

紋切型辞典

昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。月村了衛『機龍警察』ハヤカワ文庫2010年初版、『日本探偵小説全集9 横溝正史集』創元推理文庫1986年初版、計210円。後者はこれで11、12巻の『名作集』以外の10冊が揃った。 フローベール『紋切型辞典』岩波文庫2000…

熊本/ヴェネツィア

昨日、熊本からつりたくにこを観に来られた46歳の男性の話を伺っていて、いろいろ感じた。九州、沖縄には行ったことがない。和歌山県、石川県、富山県、新潟県にも行ったことがない。岐阜県、山口県、山形県は列車で通過しただけ。日本国内でも足を踏み入…

祭りの後/熊本から

昨夜遅く帰宅して、バッグに入れてあった久世光彦『ベスト・オブ・マイ・ラスト・ソング』文春文庫をふと開いた。 42頁の沢田研二「時の過ぎゆくままに」が目に留まる。≪おかげで、ドラマは当たらなかったが、毎回ラストシーンで沢田が歌うこの歌はヒットし…

祭りの後の祭り

昨日のパーティで使ったトイレットペーパー、女性が6ロール、男性は替えなし。この男女差。午前中は昨日のパーティの片付けと展示の復旧。復旧途中でも来館者。申し訳ない。 朝日新聞朝刊の記事「文化変調」「崩れゆく『壇』の権威 画壇も文壇も楽壇も」「…

パーティ

昨夜、面倒になって書かなかった他の購入本。恩田陸『象と耳鳴り』祥伝社1999年初版帯付(「このミステリーがすごい!第6位」の帯)、恩田陸・選『謎003』講談社文庫2008年初版、北森鴻『ぶぶ漬け伝説の謎』光文社文庫2009年初版、久世光彦『ベスト・オ…

休館日

宮原龍雄・須田刀太郎・山沢晴雄の連作「むかで横丁」を、『絢爛たる殺人』光文社文庫2000年初版で読んだ。発端篇を宮原龍雄が、発展篇を須田刀太郎が、解決篇を山沢晴雄が、それぞれ筋書きなど知らぬままに渡された原稿をもとに順繰りに書いていったとは、…

野火/赤い密室

大岡昇平「野火」を読んだ。フィリピンのルソン島での日本軍敗走兵たちの、悲惨残虐な有様を冷徹に描いたもの。死体死体死体の連続。これが戦争、戦場だ。十代の頃、大岡昇平から父宛に問い合わせの手紙が来た。父はルソン島へ行く前に戦傷者となり、ルソン…

精神病理学教室

石上玄一郎「精神病理学教室」(1943年)を再読。第三文明社レグルス文庫1980年刊の『精神病理学教室』で読んだのだけれど、「あとがき」によると東大の精神病理学教室に勤めていた友人から作品の素材を得たという。小説内容は、若い医者が、亡くなったばか…

自殺案内者

昨日ふれた石上玄一郎『自殺案内者』(1951年)を再読。ずいぶん昔に読んだけれど、身投げ心中の場面などけっこう覚えていた。なかなかの作品だ。戦地引揚者の元兵士、今は敗戦後の伊豆半島沖の火山島で旅館の番頭をしながら、入水自殺、投身心中、闘鶏、戦…

これが本格物なのだ

鮎川哲也の「三番館」シリーズ第五集『クイーンの色紙』光文社文庫1987年初版を読んだ。ミステリー短篇五篇を収録。「鎌倉ミステリーガイド」には実在の作家が実名や仮名で話題にあがっている。実名では石上玄一郎。≪関西に石上玄一郎さんという作家がいるけ…

この意味はワカラン

早朝にわか雨。それから曇天。寒陽気。この秋初めて美術館に暖房を入れる。 きょうはこの意味がわからない。≪昔の東京人はこうした種類のご面相を称して「オヒラの長芋」といったものである。≫「停電にご注意」 おひらの長芋=お平(平型かぶせ蓋の椀)の中…

この漢字はワカラン

富士山、全身雪模様。 昨日は友だちの車に古い品物を載せて某古道具店へ搬入。五十年近く大切にしていたモノだけど、還暦を迎え、いつお迎えが来てもいいように、遺された人が処分に困る古道具を人手に渡しておくことにした。古本なら簡単に処分できるけど、…

休館日

鮎川哲也『サムソンの犯罪』の感想は明日に(多分)。 「横丁の名探偵」、10日の日記から。≪十河国鉄総裁と島技師長は東海道新幹線の必要性を確信していたのですが、まともに建設費用を計上したら大反対の上で却下されるのは目に見えてました。そこでわざ…

成る作家/作る作家

昨晩ブックオフ函南店へ自転車を走らせる。行って正解。ハリー・クラーク・絵『アンデルセン童話集』新書館2005年初版函付500円、新庄節美『名探偵チビー 首なし雪だるまの謎』講談社1994年初版150円、赤江瀑『ニジンスキーの手』角川文庫1974年初版105円、…

ウインナ/サラミ

「今日本を取りに来ないと」。朝からギョッ。「きょう本を取りに来ないと」だった。 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。太田忠司『奇談蒐集家』東京創元社2008年初版帯付、マッド・アマノ『マッド・アマノの「謝罪の品格」』平凡社新書2008年初版、計21…

カムイ/アリス

昨夕帰りがけに銅版蔵書票作家林由紀子さんのお宅へ寄り、つりたくにこ展の案内葉書を手渡す。葉書のマンガを見て「カムイじゃん!」。おお、ワカル人〜!すご〜い。林さん、海外からの蔵書票の注文制作に追われている。そんな最中に頼まれて制作したアリス…

シンボル・クロース/海の底まで秋

布地につりたくにこさんの絵を大きく描いた友だちから、暖簾じゃあないよ、と言われる。検討の結果、これは「シンボル・クロース( symbol cloth )」と呼ぶことにする。多分、新造語だ。 昨日取り上げた塚本邦雄歌集『青き菊の主題』1973年から。歌の背景は…

クラクラ好きな世も末

今回は、美術館玄関口に大きな暖簾を掛けてある。つりたくにこのマンガ『MONEY』1974年の人物像を大きく描いた暖簾。強風にあおられてはためいている。「オシャレだなあ」と感じて、と女性来館者。効果あり〜。平野雅彦氏の紹介ブログには別の小さい暖…

つりたくにこ展初日

静岡大学の平野雅彦氏がブログで紹介してださる。ありがたい。心ある人たちの無償の総合力で、今回も無事開催できた。持つべきは良き人たち。 疲れた夜、木村聡『赤線跡を歩く』ちくま文庫2006年3刷を手にする。なんとも心安まる本だ。半世紀前には脂粉にむ…

休館日

昼前からつりたくにこ展の作品展示にかかる。友だちに加えて静岡市から平野雅彦氏も応援に来てくださる。ありがたい。晩、つりたくにこさんのご主人が東京から駆けつける。展示に満足される、よかった。やれやれ。

三つの日本文学全集

『文学全集を立ちあげる』「日本文学全集篇」は明治以降だけで九十巻を超える。1990年代に出た文庫判型の『ちくま日本文学全集』は物故者だけの全集で、一人一巻立て全六十巻六十人。よって、前者の企画で一巻をなしている大江健三郎は、『ちくま』では入っ…

文学全集を立ちあげる

後半部の「日本文学全集篇」に続いて丸谷才一・鹿島茂・三浦雅士『文学全集を立ちあげる』文春文庫の前半部分、「世界文学全集篇」も読了。気宇壮大な企画にため息が出る。今の若手小説家への手厳しい批判が、鼎談の結びに発せられる。鹿島茂は言う。≪彼らの…

河野裕子・続き

『ひるがほ』から。続き。≪ 林中のごとき寂(しづ)けさ 月は来て暗き書棚の肩を照らせり ≫ 自宅の本棚は、日光が当たらぬようにしてある。当然月光も射さない。本が焼けるなあ。≪ 動くたび背にさらさらと遊ぶ髪少女は少女のみを今は愛して ≫ 味戸ケイコさん…

河野裕子

昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で創元推理文庫の柳広司を二冊。『はじまりの島』2006年初版、『百万のマルコ』 2007年初版、計210円。 昨夜11時少し前にテレビ東京をつけたら、なんとまだ野球中継延長戦最後の裏2OUT。いい場面を見た。中日ファンの感想…

誓子・三鬼・キリム

山口誓子(せいし)と西東三鬼(さいとう・さんき)。≪ 秋風が吹きゐたり魚骨(ぎょこつ)こまやかに 山口誓子 昭和16年≫≪ 秋の暮大魚の骨を海が引く 西東三鬼 昭和37年『変身』≫ 遠い木霊。≪ 秋の暮真黒き獣道塞ぐ 山口誓子 昭和19年≫≪ 春の暮晩鴉(あ)の…

叙述しない表現

富士山、頂上だけちょこっと雪景色。 昨日話題の「秋夜遭ふ機関車につづく車輛なし」は、『日本の詩歌 19』中央公論社1969年初版では、口絵写真頁や「山口誓子」の章に≪ 夏草に汽罐車の車輪来て止る ≫ があるが、「秋夜遭ふ」は収録されていない。平井照敏…

休館日

昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で四冊。恩田陸『ドミノ』角川書店2001年初版帯付、海堂尊『ジーン・ワルツ』新潮社2008年初版帯付、橋本治『江戸にフランス革命を!』青土社1989年初版帯付、小西甚一『俳句の世界』講談社学術文庫2007年18刷、計420円。五十…