2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

時の彼方

二月はきょうで終わり。早いものだ。春のような陽気に誘われて……出かけない。和室で温かい日差しを浴びて……春愁な気分。風呂場でカビキラーを盛大に使ったせいかな。 明治大正昭和に活躍した文人たちの書斎がよく、記念館や文学館に保存再現されている。マホ…

映画保存の現状

深夜降り出した雨は明け方には止んだけれど、曇天のまま気温は上がらず。うー、寒々。かじかんだ手で本を開くと《 人間の心の深くまで訴える、力強く根強いもの 》ということばに出合う。味戸ケイコさんのいくつかの絵は、そんな魅力、訴求力を底に秘めてい…

ネズミ事師の仕事と生活

寒い日が続く。体慣らしで自転車でぐるっと一巡り。ついでにブックオフ長泉店をのぞく。ジェフリー・ディーヴァー『エンプティ・チェア』文藝春秋2001年初版、松波成行『国道の謎』祥伝社新書2009年3刷、計210円。ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ラ…

ジャケ買い 

紀伊國屋書店横浜店で『ジャケ買いしたくなるイラストレーターさんの表紙の本』というフェアをやっている。表紙絵で買う本はある。当然だけれど、味戸ケイコさんのイラストなら即買い。宇野亜喜良だと考える。宇野亜喜良はエロチックな絵が楽しい。加藤郁乎…

アホラ詩集 

午前中は源兵衛川の下流域で、雑草や堆積した土砂の撤去作業に従事。 昨晩のやなせたかし氏のパーティでお土産にいただいた中にやなせたかし詩集『アホラ詩集』2013年初版。「好日佳眠」。《 いいお天気でござるな / 白雲ゆうゆうと / 空を旅してござる /…

やなせたかし

昨日の続き。竹西寛子『ものに逢える日』は、どの短文も平明な言葉でよどみなく、すらすら気持ち良く読めるが、時折どきっと深い表現がさり気なく織り込まれ、著者の思索の深淵を覗かせる。《 実在を、存在を問いつづけることなしに、表現の深化もまたあり得…

ものに逢える日

本棚を眺め、次に何を読もうか、目を流していて、竹西寛子『ものに逢える日』新潮社1974年初版というエッセイ集に手が伸びた。最初のエッセイ「うつりゆき」。《 いったいに、自然の書かれていない作品よりも、書かれているものの方に作者を感じやすいのは、…

ゴーレム

グスタフ・マイリンク『ゴーレム』河出書房新社1978年新装初版を読んだ。第一次大戦中の1915年に発表。プラハの陰鬱なゲットー(ユダヤ人居住区)が舞台。主人公は精神を病んだことのある四十路の宝石細工師。 古い記憶を失い、幻覚と現実、おののきと熱情が…

本を選ぶ

昨日は連合赤軍浅間山荘事件の始まった日だった。あのときの雪の降りしきる、ひりひりした緊張感。1972年冬、熱い時代の終わりを感じた。あれから四十年、きょうも寒い。 昼前、体慣らしにブックオフ長泉店まで自転車で行く。川島令三『図解 新説 全国未完成…

乱れ文字

きょうも冷たい雨。きのうは某美術館の人が絵を受け取りに来たり、出かけたりしたけど、きょうは昼過ぎに食料品の買いものだけで家こもり、のんびり読書。 ネットの見聞。《 むかし伊東のハトヤに行ったとき“伊東ゆかりの作家”ってコーナーがあった。 》《 …

乱れからくり

きょうは雨水。寒い雨。 ロシアで隕石が落下、それでは次に読む本は泡坂妻夫『乱れからくり』幻影城1977年初版だ。当時予約して購入、著者サイン入り。《 色も形も判らない何かが、凄まじい速度で落下したようだった。車全体が衝撃を受けたのが、それと同時…

天岩屋戸の研究

ブックオフ長泉店で六冊。川本三郎『遠い声』扶桑社1992年初版帯付、保坂和志『小説の誕生』新潮社2006年初版帯付、マヌエル・プイグ『ブエノスアイレス事件』白水Uブックス1989年3刷、川本三郎『東京の空の下、今日も町歩き』ちくま文庫2006年初版、須賀敦…

邪馬台洞の研究

お散歩のつもりで自転車でブックオフ長泉店へ。久世光彦(くぜ・てるひこ)『百間先生 月を踏む』朝日新聞社2006年初版帯付、富岡多恵子『西鶴の感情』講談社2006年2刷帯付、計210円。あまりに寒いので自宅へ直行。 ロシアじゃ空から火球が落ちてくる、ヴェ…

寄り道は楽しい

雨の中、お昼前にドイツ文学者池内紀(おさむ)氏の源兵衛川の取材で案内を務める。池内紀氏と編集の女性そしてカメラマンの御三人をご案内。池内氏は源兵衛川は数回来ているとのこと、それでは、とちょっと寄り道をして、給水塔や井戸そして飲み屋街の昭和…

蓬莱洞の研究

田中啓文『蓬莱洞の研究』講談社ノベルス2002年初版を読んだ。自室で読んで正解。不意に襲う爆笑また爆笑。美味しいチョコレートを口にしてなくてよかった。吹いてたわ。「1」の冒頭。《まず、大盛りカレーライス(味が薄くて超まずい)。これでもかとばか…

自然な建築

昼食にカップ麺のきつねうどんとたぬきそばを初試食。二度と買わないな。 ブックオフ長泉店で二冊。川本三郎『スタンド・アローン』筑摩書房1989年初版帯付、エルヴェ・ギベール『楽園』集英社1994年初版帯付、計210円。 ブックオフ函南店で五冊。この前は知…

現代版画の視点

米寿を迎えた銅版画家深沢幸雄氏から『深沢幸雄の版画対談 現代版画の視点』阿部出版2013年初版を恵まれる。ありがたい。が、出版社の不注意か、対談相手の版画家にふり仮名が記されていない。品川工を「しながわ・たくみ」と読めても、清宮質文を「せいみや…

ぶたぶたと秘密のアップルパイ

矢崎存美『ぶたぶたと秘密のアップルパイ』光文社文庫2007年初版を読んだ。久しぶりに読む『ぶたぶた』、やっぱり楽しい。晴れやかな気分になる。《 「ぶたぶたさんは、ぬいぐるみみたいに口が固いんだから」 「……ぬいぐるみじゃないですか」 「まあ、そのま…

パソコンの引越し

昨日ブックオフ長泉店で二冊。エルヴェ・ギベール『赤い帽子の男』集英社1993年初版帯付、ジェフリー・ディーヴァー『ソウル・コレクター』文藝春秋2009年初版帯付、計210円。 昨夜パソコンを自宅へ移した。モニター画面を液晶に替えて、雰囲気ががらっと変…

絵で見るフランス革命

河上徹太郎『有愁日記』新潮社1970年初版、冒頭。《 最近私は吉田健一君に勧められて、エドモンド・テイラーといふ人の " The Fall of the Dynasties " といふ本を読んだ。 》 次の章では吉田健一訳のヴァレリーを引用して書いている。《 自由と厳正がこれほ…

ヨオロツパの世紀末

吉田健一『ヨオロツパの世紀末』新潮社1970年について語るのは難しい。この数日逡巡していた。画期的な著作であるのは間違いない。《 この場合、我々は近代とか前近代とかいふ凡て自分が現に生きてゐる時代を最上のものと決める田舎ものの偏見に制約される必…

図書館除籍本

朝、三島市立図書館の除籍本、無料配布に行く。一人十冊まで。天沢退二郎『光車よ、まわれ!』ブッキング2004年初版、海野弘『パリ 都市の詩学』河出書房1996年初版、新庄節美『名探偵チビー 一角ナマズの謎』講談社1996年初版、同『黄金カボチャの謎』同、…

新聞紙面

ブックオフ長泉店で二冊。南條竹則『ドリトル先生の英国』文春新書2000年初版、『王朝の香り 現代の源氏物語 絵とエッセイ』青幻舎2008年3刷、計210円。南條竹則もまた、『ドリトル先生』全集岩波書店を求めていたか。私は中学生の時、図書室から一冊借りて…

失われた時を求めて

長田弘『すべてきみに宛てた手紙』晶文社2001年の続き。《 読書するるとは、偉そうな物言いを求めることでも、大それた定理をさがすことでもなく、わたしをして一人の「私」たらしめるものを再認識して、小さい理想をじぶんで更新するということです。 》 「…

すべてきみに宛てた手紙

長田弘『すべてきみに宛てた手紙』晶文社2001年を読んだ。39編からなる「手紙エッセー」。本文130頁足らずの短いエッセー集だが、易しい文章に深い含蓄がある。一編読んでは間を置き、というふうにゆっくり読んだ。そうやって味わうべき本だ。《 というの…

珍名印鑑10万種

きのうに続き、なにやら温い陽気。気分も緩むなあ。広島市の熊平製作所から恵まれた『抜粋のつづり その七十二』、最後の文章は森下恒博「珍名印鑑10万種」。森下氏は印章店モリシタ主人。珍名収集家。紹介されているのは、まず読めない簡単な漢字の名前。 …

ポール・デルヴォー

風も強い雨雲が割れて青空がのぞいたお昼前、雲がにわかに千切れ、東へ東へぐんぐん流れていく。わ、速い。晴天そして春のような暖風。 活字の読書を一休み、本棚からベルギーの画家ポール・デルヴォーの画集を取り出す。『骰子(さい)の7の目 5 ポール・…

ダボス会議〜トルコの舟歌

先月下旬にスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)のテーマは「Resilient Dynamism (しなやかなダイナミズム)」だった。去年は「The Great Transformation : Shaping New Models (大転換=あらたな型式の創造)、一昨年は「Shared Nor…