2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

両手いっぱいの言葉

テレビはお昼と夕方のニュースしか視聴しないんだけど、NHKテレビ、昼の静岡ローカルニュースで、下田市在住のジャズピアニスト菅野邦彦が、新たに開発したピアノを演奏していた。なんと白鍵と黒鍵を一緒に一列に並べている。鍵の幅は少し狭められている…

恋愛辞典

昨日の『恋』からの連想で、寺山修司『恋愛辞典』新風舎文庫2006年初版を取り出す。大好きな詩「ダイヤモンド」以下、愛唱する語句詩句一節がいっぱい載っている。《 さよならだけが 人生ならば またくる春はなんだろう 》《 二人のための英語のお稽古 愛リ…

ブックオフ長泉店で二冊。似鳥鶏『さよならの次にくる〈卒業式編〉』創元推理文庫2011年3刷、エラリー・クイーン『ローマ帽子の秘密』角川文庫2012年初版帯付、計210円。 ブックオフ三島徳倉店で三冊。芦辺拓『紅楼夢の殺人』文藝春秋2004年初版帯付、赤城毅…

青い壺

躑躅の香りに巻き込まれながらブックオフ沼津南店まで自転車で。矢作俊彦『ロング・グッドバイ』角川書店2004年5刷、三代目三遊亭円之助『はなしか稼業』平凡社ライブラリー1999年初版、森岡正博『感じない男』ちくま新書2005年2刷、城市郎『発禁本』福武文…

何かと用のある一日

作家池内紀(おさむ)氏を源兵衛川へ案内した記事が載っている月刊誌『ひととき』5月号ウェッジが届く。《 源兵衛川は三島市街を抜けていく。広小路界隈は旧色町のなごりをとどめており、そちらの分類学も気になったが、昼のひなかのこと、心をのこして素通…

大阪圭吉作品ベスト

『大阪圭吉作品集成』解説で森秀俊はパーソナル・ベスト5として、「デパートの絞刑史」「闖入者」「あやつり裁判」「寒の夜晴れ」「坑鬼」を挙げている。五篇とも『とむらい機関車』国書刊行会に収録。創元推理文庫では二冊に分かれている。私のベスト5は…

大阪圭吉作品集成

先週届いた『大阪圭吉作品集成』盛林堂ミステリアス文庫を読んだ。これは面白い。創元推理文庫でいくつか読んでいるけど、肌が合わなかった。たまたま読んだ短篇が合わなかったようだ。しかし、こちらに収録の四篇、どれも面白い〜。「水族館異変」の原色の…

正確な曖昧

昨日、詩「風一つ」を紹介した藤富保男。現代詩文庫57『藤富保男詩集』思潮社1973年初版から詩「六」全篇。《 六時に女に会う 女と会う 一人の女に 一人の六時に 一人で六時のところに立って 六時だけが立って 誰もいない 》 彼には『正確な曖昧』という詩集…

ライト・ヴァース

瀧口修造没後の何回目だか忘れたが、銀座佐谷画廊でのオマージュ展へ行った。肩透かしを喰らった記憶。そのへんのことを、ギャラリー「ときの忘れもの」オーナーがブログで回顧してる。『余白に書く』みすず書房1982年は、先行する『画家の沈黙の部分』『瀧…

余白に書く1

冬に逆戻り。雨も止まず。蒲団に引きこもる。 昨日、ネット注文した瀧口修造『余白に書く』みすず書房1982年初版函帯付が届く。この元本『余白に書く』1966年刊行の細長い本は、当時の私には高価で手が出ず、本屋で眺めるだけだった。それが瀧口の死後、『2…

詩のイメージ──瀧口修造を中心に

大岡信『肉眼の思想』中央公論社1969年初版、「言語芸術には何が可能か」より。《 言語構造体の自律化を激烈なまでに追及しつつ、他方で、これと一見矛盾する欲望、すなわち、言語を通じて具体的な世界を通りたい、という熱望にたえずかられている──ここに、…

画家の沈黙の部分

ブックオフ長泉店で文庫を三冊。京極夏彦『死ねばいいのに』講談社文庫2012年初版、桜木紫乃『水平線』文春文庫2012年初版、クラフト・エヴィング商會『らくだこぶ書房│21世紀古書目録』ちくま文庫2012年初版帯付、計315円。 東京の古本屋書肆盛林堂から『大…

瀧口修造の詩的実験1927〜1937

一昨日触れた「主情的な詠嘆に彩られた近代詩」から一線を画していた詩人は、瀧口修造(1903年〜1979年)だろう。1967年初刊本が縮刷版で再刊された『瀧口修造の詩的実験1927〜1937』思潮社1971年初版は、白地に縦書きの文字だけの装丁、A5版ほどの小体な…

最後のコラム・続き

鮎川信夫『最後のコラム』文藝春秋1987年初版、最初のコラムは「署名入り寄贈本」。《 ある日のこと、たまたま手にした未見の詩集を開いてみると、丸山薫に宛てた著者の署名本であった。それから、同じ棚の詩集を次々に見ていくと、丸山薫様、何某、と見返し…

最後のコラム

きのうは強風きょうは穏やか。気持ちまでゆったり。ゆったりとブックオフ長泉店へ。吾妻ひでお『失踪入門』徳間書店2010年初版帯付、綾辻行人『アナザー Another 』角川書店2009年初版、久世光彦『昭和恋々 Part II 』清流出版2003年初版帯付、皆川博子『倒…

戦後名詩選1・続き

27人の戦後詩人の三〜五編の詩が選出されている。なじみ親しんでいる詩の一節。《 深い器のなかで この夜の仮象の裡で ときに 大きくかたむく 》 吉岡実「静物」《 ああ きみに肉体があるとはふしぎだ 》 清岡卓行「石膏」《 その秋 母親は美しく発狂した …

戦後名詩選1

朝は源兵衛川の月例清掃。地下水位が上がったので、先月まで三島梅花藻に付着していたヌクがきれいに流されて、水中で美しい緑が揺れている。 『現代詩文庫特集版1 戦後名詩選1』思潮社2000年初版を読んだ。石原吉郎から谷川俊太郎まで27人の選詩集。ひと…

ぼくは散歩と雑学がすき・つづき

植草甚一『ぼくは散歩と雑学がすき』、「11 ワイセツ語だらけのノーマン・メイラーの新作『なぜぼくらはベトナムへ行くのか』の話といっしょにアメリカの青年と先輩とがやった『対話』をサカナにして」(『話の特集』昭和四三年二月号)《 このような変化は…

ぼくは散歩と雑学がすき

植草甚一『ぼくは散歩と雑学がすき』がちくま文庫で出た。紀田順一郎がウェブサイトで取り上げている。《 いわゆるオタクの先駆とみなされているが、資質的にもまったく別ものであることを知るべきだろう。植草はいまだに信頼すべき文化の水先案内人なのだ。…

死のフェニーチェ劇場

この前読んだアレッホ・カルペンティエール『バロック協奏曲』にヴェネツィアの「フェニーチェ座」が出てきた。ドナ・M・レオン『死のフェニーチェ劇場』文藝春秋1991年初版を読んだ。サントリーミステリー大賞受賞作。選評での田中小実昌の言葉が効いた。…

きわどい

ブックオフ函南店で四冊。宮部みゆき『小暮写真館』講談社2010年初版帯付、米原万里『発明マニア』毎日新聞社2007年初版帯付、ミステリー文学資料館・編『江戸川乱歩と13人の新青年』光文社文庫2008年初版、同『「宝石」1950』光文社文庫2012年初版、計4…

時との戦い

アレッホ・カルペンティエール『時との戦い』国書刊行会1977年初版を読んだ。「聖ヤコブの道」「種への旅」「夜の如くに」の三篇を収録。1956年の刊行。三作とも時間は歪む。 「聖ヤコブの道」では 《 序章と終章とでメビューズの輪のようにつながる時間。 …

この世の王国

アレホ・カルペンティエル『この世の王国』創土社1974年初版を久しぶりに再読。叙事詩のように、ぎりぎりまでそぎ落とされた文章。《 小説は、一人の人間の生涯をとおして、一八世紀の七十年代からつぎの世紀の二十年代にいたる、ハイティの約五十年の歴史を…

バロック協奏曲

キューバの作家、アレッホ・カルペンティエール『バロック協奏曲』サンリオSF文庫1979年初版を読んだ。正味八十頁余りの短い小説だけれど、十分な読み応え。舞台は十八世紀半ばのメキシコ〜スペイン〜ベネツィア。《 銀鉱で巨富を得た鉱山主が従者と様々な…

競売ナンバー49の叫び

トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』サンリオ文庫1985年は1966年の発表。題名の由来。《 トライステロの「偽造切手」は競売ナンバー49として売りに出されるという。 》 227頁 裏表紙の紹介文から。《 ある夏の日の午後、エディパ・マース夫人は、ホ…

暗黒物質

50周年で新作。すごいな。《 米の大作家トマス・ピンチョン、『?.』刊行から50周年で新作刊行を発表 》 トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』サンリオ文庫1985年初版を読んだ。巻末に解注。途中まで読んで、ふと巻末を開き、本文233頁にたいして、…

40周年

天気がいいので自転車でぐるぐる。イトーヨーカドー三島店でダブルのシーツを購入。女性店員から「これ、ダブルですけど」と訊かれる。鋭い。独身と見抜かれた。足を伸ばして昭和レトロ物件を写真に撮る。コンクリート製の高さ2メートル、縦横3メートルほ…

A、B、C、D、F、H、i、J、K、M、O、P、R、S、T、W、X、Y、Z

昼過ぎまでしっかり雨。本棚を眺めて……アルファベット一字だけが入った日本人作家の題を探してみた。 『Aサイズ殺人事件』阿刀田高、『症例A』多島斗志之。『B級グルメ大当たりガイド』田沢竜次。『Dの複合』松本清張、『D機関情報』西村京太郎、。『F…

岡本綺堂

雨。春雨ではない。しっかり降っている。 『ちくま日本文学全集 岡本綺堂』筑摩書房1993年初版には「半七捕物帳」から五編が収録。未読の二編を読んだ。これで「半七捕物帳」六十八編のうち三十一編を読んだ。杉浦日向子(ひなこ)は解説で書いている。《 な…

もっと、「半七」!

高曇り。早朝に小雨があったようだ。《 箸をおくと、すぐに着物に着かえて、半七は傘を持って表へ出ると、雨はまだ未練たらしく涙を降らしていたが、だんだん剥げてくる雲のあいだからは薄い日のひかりが柔かに流れ出していた。 》 「弁天娘」(『半七捕物帳…