2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『 無用者の系譜 』

『現代日本文学大系 78 中村光夫 臼井吉見 唐木順三 竹内好 集』筑摩書房1979年 6刷の唐木順三「無用者の系譜」を読んだ。昭和三十四年の発表。在原業平、一遍上人、 妙好人、芭蕉らが採り上げられている。 《 一遍の一遍たるところはその捨聖にあつた。聖道…

『 道元──中世芸術の根柢── 』

『現代日本文学大系 78 中村光夫 臼井吉見 唐木順三 竹内好 集』筑摩書房1979年 6刷の唐木順三「道元──中世芸術の根柢──」を読んだ。昭和三十年の発表。間然 するところなき文章だ。漢文古文濫用だろ、とぼやきたくなるが、これぞ修行と観じ、 漢和辞典を右…

『 鴨長明 』

『現代日本文学大系 78 中村光夫 臼井吉見 唐木順三 竹内好 集』筑摩書房1979年 6刷の唐木順三「鴨長明」を読んだ。昭和三十年の発表。見事な論文だ。鴨長明の人柄と 思考の変遷が具体的に浮き彫りにされている。その時代相までが鮮やかに浮かんでくる。 一…

『 現代詩手帖 』

昨日の拙文が呉一騏氏の展覧会情報に掲載された。 http://goikki.g.dgdg.jp/pg38.html 以下の書き込みを昨日読んで、四十五年かあ、と感慨。 《 どんな雑誌でも四十五年も経つとあだやおろそかにはできないな、というのが 本日の感想なり。その証拠にこの辺…

『 暁闇の源光 』

昨日の呉一騏展の感想。呉氏から書いてほしいとさり気なく依頼され……。 《 「 暁闇の源光 」 2015年4月下旬、沼津市庄司美術館で呉一騏氏の近作水墨画に対面する。 観賞でもなく、鑑賞でもなく、まして対峙ではなく対面。瞬時にして他の 観賞者の気配は消尽…

『 日本人の心の歴史 補遺 』つづき

唐木順三『日本人の心の歴史 補遺』筑摩書房1972年初版を読了。全十章のうち、「七 文智尼と 一絲文守、並びにその周辺」「八 桂御所の問題点」は、考証が事細かに及び、浅学の者にはちと 難しゅうて難儀する。前者は後半部飛ばし読み也。「九 永井荷風」「…

『 日本人の心の歴史 補遺 』

唐木順三『日本人の心の歴史 補遺』筑摩書房1972年初版前半を読む。中世、近世の特色が あらためて理解できる。おさらいのゆな復習のような。そして本編で触れられなかった 和泉式部、といえばこの歌。 《 あらざらん此の世の外の思ひ出にいまひとたびの逢ふ…

『 ドイツ表現主義 ブリュッケ展 』

《 ブリュッケってなんだろう? 小学生の関心を引くために美術館が用意した チラシのクイズが難問すぎる! 》 風間サチコ http://kazamasachiko.com/?p=3269 本棚からその展覧会『ドイツ表現主義 ブリュッケ展』図録1991年を取り出す。目黒区美術館で 観覧。…

『 日本人の心の歴史 下 』つづき

唐木順三『日本人の心の歴史 下』筑摩書房1970年初版、後半「六 風雅から実証へ」〜 「一○ 現代文明下の自然・季節」まで、またまた深く広い視野から論じられている。 目から鱗が落ちる。引用したい箇所は数多いが。 《 日本における、ありのままをありのま…

『 日本人の心の歴史 下 』

唐木順三『日本人の心の歴史 下』筑摩書房1970年初版を読む。副題を忘れていた。「季節美感の 變遷を中心に」。論述は中世から近世へと移っていく。 《 私は『閑吟集』(一五一八年頃成立)あたりが、中世から近世への架け橋をなしてゐるやうに 思ふ。 》 「…

『 日本人の心の歴史 上 』つづき

唐木順三『日本人の心の歴史 上』筑摩書房1970年初版、後半。 《 長明はさらにまた次のやうな例を示してゐる。「(中略)一詞(ひとことば)に多くの 理(ことわり)を籠め、現さずして深き心ざしを盡くす、見ぬ世の事を面影に浮べ、いやしきを 借りて優(い…

『 日本人の心の歴史 上 』

唐木順三『日本人の心の歴史 上』筑摩書房1970年初版を読む。四十五年前新刊で購入。 買った当時は読み通せなかったに違いない。古典の知識が乏しいと お手上げ。それに旧漢字旧仮名使い。今は嬉しい。該博な知識と広い知見から滴る卓見が、 悠々迫らざる筆…

『 はちみつレモン 』

一昨日買った東君平『はちみつレモン 君平青春譜』くんぺい文庫2011年初版を読んだ。 以前読んだ詩ばかりだが、やはり心に沁みる、響く、うなずく。いい詩集だ。「新宿」が ネットで紹介されていた。 《 十九歳。 身も心も腹も どん底の日々だった。 学校は…

『 夜明け前 』

一昨日昨日と名前のあがった篠田一士(はじめ)の『二十世紀の十大小説』新潮文庫2000年 初版を以前読んでいたが、松岡正剛のウェブサイト『千夜千冊』、「島崎藤村『夜明け前』」で 篠田一士が批判されている。 http://1000ya.isis.ne.jp/0196.html《 しか…

『 ピモダン館 』余滴

ブックオフ長泉店で三冊。安岡章太郎『果てもない道中記 下』講談社1996年2刷帯付、東君平 『はちみつレモン』くんぺい文庫2011年初版、夢枕獏・編著『空海曼荼羅』学研M文庫2012年初版、 計324円。『はちみつレモン』は詩「新宿」が収録されていたので。 …

『 ピモダン館 』つづき

齋藤磯雄『ピモダン館』小澤書店1984年初版、後半はフランス近代音楽論、回顧談、詩論など。 《 ジョンソン博士といふイギリス十八世紀の学者の作った辞書には、次のやうな「釣竿」の 定義が書いてあるといふ。──「長さ数フィートの竿。一方の端に糸と鈎がつ…

『 ピモダン館 』

齋藤磯雄『ピモダン館』小澤書店1984年初版を読んだ。後記より。 《 風のまにまに吹き散らした雑文走筆戯語閑話のたぐひ──去歳(こぞ)の落葉の三の一を 危うくも拾ひ集めて一巻を編んだ。 》 《 敗戦後の所謂(いはゆる)「雲助文法馬丁文字」に改変された…

『 当世 悪魔の辞典 』

昨日は別役実を三冊買ったけど、別役実は初めてか。和田誠『きなきな族からの脱出』角川文庫 1984年初版への連想で『そよそよ族伝説』に興味を覚えた。それから文庫本二冊を手にする。『当世 悪魔の辞典』の本文最終ページを開くと。 《 【我思う、ゆえに我…

『 パリの憂鬱 』つづき

ボードレール散文詩集『パリの憂鬱』齋藤磯雄訳、三笠書房1967年初版、「三六 描かんと する願望」、「三七 月のめぐみ」、「三八 いづれが眞のかの女(ひと)か」の三篇は、 女性の底知れぬ魅力を詩(うた)っている。 《 もし光明と幸福とをそそぐ黒い天体…

『 パリの憂鬱 』

ボードレール散文詩集『パリの憂鬱』齋藤磯雄訳、三笠書房1967年初版を読んだ。 冬のパリを思わせる、冷たい雨と厚い曇。三島の憂鬱。 《 『私は今日、夢想のなかで三つの住居(すまひ)を持ち、それぞれに等しい快楽を味はつた。 私の魂がこれほど軽快に旅…

「子どもたちの絵」

朝、バスで沼津市の風の子造形教室へ行き、子どもたちの描いた仏の墨絵六十点ほどの撮影の お手伝い。終了した昼過ぎ、友だちと三人で掛け軸仕様の絵を沼津市立芹沢光治良文学館へ持参。 館長と二階展示室での展示会期を打ち合わせ。続いて某金融機関の理事…

『 いろはうた 』

昨日、齋藤磯雄『随筆集 ピモダン館』小沢書店1984年初版函帯付が古本屋から届く。 1800円也。定価3500円。読みたいときには安くなっている。ピモダン館(やかた)は、 ボードレールが住んていたパリの屋敷。この本ではボオドレエルではなく、ボードレールと…

『 谷川俊太郎 エトセテラ リミックス 』

先月20日の拙ブログ、椹木野衣『後美術論』美術出版社、「第6章 次は溶解だ(前編) メルト・ダウン・イズ・ネクスト」 。 《 これは同じ詩人でも、非物質的な意味の純化を求めて徹底的に形式主義的であろうとした (=視覚芸術に近づこうとした)マラルメ…

『 詩話・近代ふらんす秀詩鈔 』6

齋藤磯雄『詩話・近代ふらんす秀詩鈔』第六章はアルチュウル・ランボオ。「酔ひどれ船」二十五節、 百行の詩を分析。これまた深い、深すぎて……。 《 「酔ひどれ船」はランボオの韻文のうち最も重要なものであり、象徴派から超現実派に至るあらゆる 詩人に測…

『 詩話・近代ふらんす秀詩鈔 』5

齋藤磯雄『詩話・近代ふらんす秀詩鈔』第五章はポオル・ヴェルレエヌ。ヴェルレエヌの詩は浅学にして 読んだことがない。と本棚から『ヴェルレーヌ詩集』新潮社1967年初版を取り出してみると。やや、付箋が 数カ所に。全く記憶にない。……ああ、老化。挟み込…

『 詩話・近代ふらんす秀詩鈔 』4

齋藤磯雄『詩話・近代ふらんす秀詩鈔』第四章はステファヌ・マラルメ。「あらわれ」「マラルメ嬢の 扇」「エドガア・ポオの墓」の三篇を紹介。「マラルメ嬢の扇」。四行五連からなるその第一連。 《 夢みる女(ひと)よ、われ君を逕(みち)だにあらぬ 浄(…

『 詩話・近代ふらんす秀詩鈔 』3

齋藤磯雄『詩話・近代ふらんす秀詩鈔』第三章はシャルル・ボオドレエル。その冒頭。 《 『惡の華』の詩篇の尽きせぬ魅力の一つは、単純な外見のもとに限りなく複雑な内容を 秘めている点にある、といへよう。 》 私は未だにその複雑さを読みきれていない。数…

『 詩話・近代ふらんす秀詩鈔 』2

齋藤磯雄『詩話・近代ふらんす秀詩鈔』第一章のヴァルモオル夫人の詩は、味戸ケイコさんの 挿絵の本を持っているが、未読。今度読んでみよう。第二章はジェラアル・ド・ネルヴァル。 《 ヴァロワの民間伝承に於て彼が熱愛して已まなかつたあの古色を帯びた幻…

『 詩話・近代ふらんす秀詩鈔 』

齋藤磯雄『詩話・近代ふらんす秀詩鈔』立風書房1972年初版を開く。最初はヴァルモオル夫人。 まず「サアディの薔薇」が紹介される。その解説冒頭。 《 先ずこの詩の隅から隅までふるへてゐる一つの感受性、──すべての絃が整へられた楽器の やうに敏感な、狂…

「岡部稔写真作品展」

昨日また買った椹木野衣『アウトサイダー・アート入門』幻冬舎新書2015年初版を知人の造形作家へ 郵送(贈呈)。ジャン=ピエール・レイノー(244頁〜)に彼と重なる部分を感じて。レイノーの作品は、 東京の原美術館で三十年ほど前に見た。 《 まずレイノー…