2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『河内音頭・ゆれる』

昨日の河内音頭の流れで、平岡正明『週刊本7 河内音頭・ゆれる』朝日出版社1984年を読んだ。 これはいい。久しぶりの平岡節にシビレル。名著と言いたいが、敬意を込めて快著ではなく、 怪著としておく。 《 浅丸さんが死んじゃったんだよね。痛いなんてもん…

『ぼくらの世界』

栗本薫『ぼくらの世界』講談社1984年初版を読んだ。『ぼくらの時代』『ぼくらの気持』に続く 三部作の第三部。薫くんは二十五歳、ミステリー界の登竜門、シャーロック・ホームズ賞を 『ぼくらの時代』で最年少受賞。受賞パーティ会場のホテルのトイレで密室…

『春愁の月』

昨日ちょっとふれた松本勝貴歌集『春愁の月』限定百部を繙く。フラジャイル(はかない)な歌風は 変わらず。すべて行分けしている。 《 月光(つきかげ)に/蒼ざめて佇(た)つ/彼岸花/かなしきものは/地に満ちてをり 》 《 春愁の/月の淡さや/茶を淹…

一日千秋

一日千秋の思い、鶴首して待つ、とはここ数日のことだな。なんて思っていたら、本屋から電話。 『日本美術全集 第19巻』小学館は、注文殺到で九月七日あたりに入荷。ガーン。ふて寝。……腹減った。 ラーメンでも作るか。八月初めてのインスタント・ラーメン…

『ぼくらの気持』

栗本薫『ぼくらの気持』講談社1979年初版を読んだ。江戸川乱歩賞作『ぼくらの時代』の続編。 「あとがき」から。 《 「ぼくらの時代」でぼくは、二十二歳のぼく、バンドに入れあげて、毎日部室に行くのと 雀荘に行く以外なにもしなかったころのぼくと友達の…

『弁護側の証人』

昨晩、味戸ケイコさんからメール。一部紹介。 《 とうとう全集の19巻が届きました。手に持てないくらい重い立派な本でびっくりです。 作品図版はそんな大きくはありませんがきれいに掲載されていて感激ひとしおです。 椹木さんの文章も素晴らしく、椹木さ…

モノ好き

もし、1997年1月に商売を止めていなかったら、と思うと、これは痛い。1973年から1997年まで、 売上はバブルが弾けてもずっと右肩上がりだった。ここが閉店の潮時、と直感して閉店。周囲はなぜ、 と驚いたが、その半年後にご近所のスーパー・ヤオハンが倒産、…

小体なモノ

お昼まで、大学生たちと源兵衛川最下流部で繁茂し過ぎた葦の除去作業。水面が見違える。 半日の作業で、午後はクターッ。午後は友だちと知人のギャラリーへ行き、美術の話。絵の理解は 難しい。これからどんな分野の美術作品が売れるか。それは私の年齢では…

『 花の棺(ひつぎ) 』

山村美紗『花の棺(ひつぎ)』光文社文庫1986年初版を読んだ。昨日の赤川次郎『三毛猫ホームズの推理』 同様、軽快なテンポで進んでゆく。アメリカ副大統領のとびっきり美しい娘キャサリンが父と来日。華道に 興味をもつ彼女は日本に滞在。キャサリンが会い…

『 三毛猫ホームズの推理 』

赤川次郎『三毛猫ホームズの推理』角川文庫1993年62刷を読んだ。これはいい。欲と恐れが 絡み合い、殺人の動機が絡み合い、殺人トリックが絡み合う、複雑な絡み愛。血なまぐさい殺人が 立て続けに起きるのに陰惨ではない。これは大事だ。とある場面では「家…

『 追想五断章 』

米澤穂信『追想五断章』集英社2009年初版を再読。途切れ途切れに憶えているが、結末は すっかり忘却。以前読んだ時にも思ったが、このように深刻・暗い話にしなくてもよかったのでは、 と思った。「古典部」シリーズのように、ある程度オチャラカなキャラク…

「 虚の器 」

昨日、椹木野衣氏の焼き物への考えに異論があると記したが、それは北一明の焼きものを対置して 思ったこと。北一明の茶碗は、椹木氏の視野の外にあると、考えている。北一明の茶碗は、世界、 宇宙を容れる虚の器、歴史を反映する器、と私は考えている。俳句…

『 反アート入門 』つづき

椹木野衣(さわらぎ・のい) 『 反アート入門 』幻冬舎2010年初版、後半を再読。 《 アートの世界でも、鑑賞に堪える持続的な「価値」よりも、短期的に確実に値が上がるという 「信用」のほうが大きな意味を持つようになったのです。 》 153頁 《 問題は、後…

『 反アート入門 』

椹木野衣(さわらぎ・のい) 『 反アート入門 』幻冬舎2010年初版、前半を再読。 わくわくどきどきする読書体験を久しぶりに味わう。以前は後半部が刺激的だったようだが、 今回は最初から刺戟されっぱなし。前半でこんなに付箋を貼るとは。ということは、 …

「三島夏祭り・最終日」

未明から雨。晴れ間が見えたり俄にどさっと降ったり。夏の降り方。子ども囃子は元気一杯。 しかしこの雨。三島サンバ・パレードは中止。ああ、もったいない。 米澤穂信『氷菓』角川スニーカー文庫2001年初版を再読。彼のデビュー作。ずしんと深い感慨。 裏表…

「三島夏祭り・中日」

昨夜の祭りの人出は新記録では、というほどの混みようだった。例年通り三嶋大社の前で引き返す。 人、多杉。山車もなんじゃ、これは多杉……ないな。深夜まで歓声。午前三時には閑静。朝の静けさよ。 十時少し前から一気に人の動き。露天商、花火、お囃子。買…

「三島夏祭り・初日」

昨日の「美輪明宏 アートとロマンを語る」で引用し忘れていた会話。 《 原田 そうした時代の後の、たとえばアメリカの画家ジャクソン・ポロックなんかは、 新しい表現を生み出すためには、ピカソを超えるしかない、と考えましたね。 美輪 無理ですよ。そうし…

『グリューネヴァルト』

未明に驟雨。が、朝から蒸し暑い。コミケ始まったか。こことは較べようのない熱気。 https://twitter.com/hashtag/C88?src=hash https://twitter.com/comiketofficial http://mantan-web.jp/gallery/2015/08/13/20150813dog00m200013000c/001.html《 りんか…

『こなもん屋うま子』

早朝雨。やっと雨。といって涼しい朝でもない、蒸し暑い朝。きょうは用事なく、お休み日。 韓国人ツアーのお手伝いに、お盆休みで東京からきていた若い知人女性は今春、創業百年の機械 メーカーに就職。私の予想したとおり、今月から製品開発の部署に配属。…

若い子は元気がいい

一昨日ふれた韓国の高校生大学生たちと、昼前は源兵衛川の生きもの観察会。小学生たちと一緒に川へ。川の中へ簡易椅子を持ち込んでまったりしている学生たちから生きもの探しに熱中している学生・生徒まで川を大いに楽しむ。最後に川底の茶碗のカケラなどを…

『草の中のダイヤモンド』

盛林堂書房から新刊の豆本グザヴィエ・フォルヌレ『草の中のダイヤモンド』が届く。さっそく読んだ。 友人知人三人が集まったので、味戸ケイコさんの銅版画『仮題・1969』を見せた。しばし無言。 この猛暑日の日常がフリーズ。やっと出た感想は「暗い」…

「何か/どんなものか」

本棚の小林恭二・選『俳句とは何か』福武文庫1989年初版と高浜虚子『俳句とはどんなものか』 角川文庫2009年初版が目についた。どちらも既読。「何か」対「どんなものか」。 この問いかけの視点の違いに興味を覚え、ちょこっと再読。前者に収録されている高…

「1969」

午前、源兵衛川の月例清掃へ。帰宅途中にサイレン。黙祷。 午後、知人からいただいた小さい額を倉庫から持ってくる。以前味戸ケイコさんからいただいた、 葉書よりも一回り大きい銅版画に合わせてみる。おお、ピッタリ。直に見る銅版画もいいけど、 額装カラ…

『モスクワ、2015年(下)』

秋立つというのにこの暑さ。昼前には我が家の前でワゴン車と自転車の接触(?)事故。救急車と 警官が駆けつける。この暑いにご苦労なこと。冷房28度でも涼しく感じられるんだから。 ドナルド・ジェイムズ『モスクワ、2015年(下)』扶桑社ミステリー1…

『モスクワ、2015年(上)』

昨日引用紹介した毎日新聞夕刊コラムの川柳で忘れていた一つ。 《 馬鹿にすな!理解したから反対だ!! 》 その隣の「特集ワイド」から。 《 戦後70年たった今も「再びあの生活に戻ってしまうのでは」という懸念が拭えない。それは 幼少時のひもじさのせいだ…

「信じゆく街」

ある場所、地域、国には歴史上の黄金時代がある。繁栄の時が過ぎて、あの時代が黄金時代だったと 気づく。それは常に回想において語られる。日本の場合はいつだろう。K美術館では2003年、 「新宿・言葉・JAZZ」という題で企画展を催した。新宿に象徴さ…

『 TA ONEIRA GINONTAI PALI 』

ギリシャのベテラン女性歌手ハリス・アレクシーウ HARIS ALEXIOU の去年のCD『 TA ONEIRA GINONTAI PALI 』は 何度聴いてもいい。気づかなかった局面を知り、深い感銘を覚える。昨夜も何気なくかけて没入してしまった。 http://elsurrecords.com/2014/10/2…

『 リッツェ 』

福山知佐子さんが『反絵、触れる、けだもののフラボン』でホルスト・ヤンセンおよび 種村季弘について書いているので、ホルスト・ヤンセン『リッツェ 少女たちの時間』種村季弘・訳、 トレヴィル1995年初版を読んだ。大人の艶本(えほん)といったところか。…

『自然と美学』

ロジェ・カイヨワ『自然と美学 ─形体・美・芸術─』法政大学出版局1972年初版を読んだ。 形体、美、芸術の三章からなる。本文百ページに満たないけれど、内容は濃く深い。参った参った。 《 まず、本書は、著者が「対角線の諸科学」とよぶ広範な領域のいわば…

『あんちりおん』

一昨日、福山知佐子さんから雑誌『あんちりおん』球形工房を恵まれる。総特集「福山知佐子『反絵、触れる、 けだもののフラボン』を読む」。これを読むために『反絵、触れる、けだもののフラボン』を昨日再読。 http://blog.goo.ne.jp/anti-lion/e/9058c9bab…