2015-01-01から1年間の記事一覧

「幸福の七か条」

昨日私が橋渡しをした具合になって、友だちが緑茶のパッケージ・デザインを某社長から依頼された。 彼女は仕事をこれ以上したくないのに、と電話でぼやいたので私は言った。デキル人に依頼は行くの。 デキルんだからそれは宿命。素質のない人がいくら努力し…

「逸脱」

昨晩、モヤモヤ気分が抜けず、えいやっ、と3,500円の小説を予約。迷ったら買っちまえ。 いよっ、太っ腹。 http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca1/140/p-r-s/ 今朝には予約数に達し受付中止に。即決正解。ネットをさ迷っていると、買いたい〜本がつぎつぎ…

「言葉と欲望」

昨日の高階秀爾『日本人にとって美しいとは何か』で他に興味深かった記述から。 《 西欧では芸術作品はあくまでも一人の個人の産物で、したがってその作家の意図を正確に理解することが 解釈だという考えが今でもなお根強くあるが、日本では、連歌や連句の場…

『日本人にとって美しいとは何か』

高階秀爾『日本人にとって美しいとは何か』筑摩書房2015年2刷を読んだ。「美とは何か」ではなく、 「美しいとは何か」に著者の思考が明確に表れている。西欧の「美」に対する日本美術の「美しい」。 《 アメリカも含めて、西欧世界においては、古代ギリシャ…

「風化と劣化」

蒼天に純白の富士山。冬が来た。熱海駅からバスで熱海梅園へ。澤田政廣記念美術館も訪問。古ぼけた印象。 時代の変転に侵蝕され、風化してゆくものたち。歳月とは残酷なものだ。バスから見える寂れた店舗と建物。 無頓着に混在するピカピカの新築と古び劣化…

「とある本棚から」

雨が止んだので午後、高階秀爾『日本人にとって美しいとは何か』筑摩書房2015年2刷を近くの本屋で 受け取る。 ブックオフ三島徳倉店へ自転車で行く。文庫本を五冊。乾石(いぬいし)智子『夜の写本師』 創元推理文庫2014年初版、歌野晶午『密室殺人ゲーム2.0…

『二枚の絵』

昨日ふれた高階秀爾・平山郁夫・丸谷才一・和田誠・編『二枚の絵』毎日新聞社2000年初版を 愉しんだ。どこがよいのか未だにわからぬ絵=文人画もある。全部の絵の良さがわかるわけではない、 よなあ。 《 人体像には限らないが、真に共感できる美しさはそれ…

『どこ吹く風』

丸谷才一『どこ吹く風』講談社1997年初版を読んだ。1990年から1996年の雑誌連載をまとめたもの。 見開き二頁にエッセイ一篇。見事な文筆芸だ。軽妙な文章だが、多分裏では洒落と気の利いたセリフを なんとかひねり出そうと四苦八苦しただろう。そんな仕込み…

『民宿雪国』

昨日買った樋口毅宏『民宿雪国』祥伝社文庫2013年初版を読んだ。帯から。 《 小池真理子 「私はこの作品のもつエネルギーに圧倒された。小説の世界は今、このような作家を 必要としているのではないか」 》 《 江上剛 「刺激度満足度120%だ。」 》 裏表紙の…

「私信・私心」

先だって東京に住む、故北一明のファンの老婦人に東京新聞の7月31日夕刊の記事「戦禍の土で 反戦のデスマスク」「異端の陶芸家 北一明さん 業績に光」「知人ら 記念館設立計画」のコピーを 送ったが、その礼状が届いた。 《 ものたりない記事ですね 一般の…

『極東特派員』

海渡英祐『極東特派員』徳間文庫1981年初版を読んだ。元本は1961年刊。日本生れだが アメリカ人の養子となって米国籍を取得した28歳のケンジ・ブランデン=僕は、韓国語中国語も できるので、通信社UPSに入社、東京の極東総局勤務となり、激動の韓国・京…

『密航定期便』

中薗英助『密航定期便』集英社文庫1988年初版を読んだ。元本は1963年刊。軍事クーデターで 韓国の政権に就いた朴正熙時代の1961年9月。昨日の結城昌治『ゴメスの名はゴメス』とほぼ 同じ頃。当時南ベトナムも韓国も反共独裁国家。韓国、対馬と北九州そして東…

『ゴメスの名はゴメス』

結城昌治『ゴメスの名はゴメス』光文社文庫2008年初版を読んだ。元本は1962年刊。1961年10月の ベトナム・サイゴン(現ホーチミン市)が主な舞台。一と月ほど前に失踪した日本人駐在員を探して、 夜の道を歩いていた後任の〈わたし〉の後方で男が銃で撃たれ…

『日本美術全集 第19巻 戦後〜1995』

椹木野衣・編『日本美術全集 第19巻 戦後〜1995』小学館は、何度見ても刺激的。北大路魯山人は 福住廉の解説。 《 「大馬鹿野郎、無礼者、自分天狗、昭和の天一坊、毒舌家」(中略)けれども、そのように魯山人を 嫌った人々にさえ、「作品だけは敬服に値…

「褒めにくいものを褒める方法」

毎日新聞昨夕刊コラム「牧太郎の大きな声では言えないが…」から。 《 「むかし、芥川賞選考委員のセンセイが『褒めにくいものを褒める方法』なるものを伝授していた。 どうしようもない作品は『素朴で、荒々しいタッチで貫いている』と褒めるんだって」 「素…

『人類知抄』

昨日の6.5×4.5センチの復刻『平凡』1972年7月号は『月刊平凡 1972年7月号 「タイムスリップグリコ 思い出のマガジン」』だった。画像もあった。『 ARENA37℃ アリーナ サーティセブン』もそうか。しかし、 この雑誌、知らない。 http://butsuyoku.net/shokuga…

『古書街を歩く』つづき

紀田順一郎『古書街を歩く』新潮社1979年初版、後半を読んで読了。 《 美術誌は日本美術専門誌が高価で、一八八九年(明治二十二年)いらいの『国華』などは、 ごく稀に大揃いが出るが、現在の相場は二百万円を超すであろう。 》 108頁 何年前だろう、『国華…

『古書街を歩く』

紀田順一郎『古書街を歩く』新潮社1979年初版、前半を読んだ。「即売展狂騒曲」「初版は尊し、 されど」「”幻の書物”をめぐる人々」など雨の日の読書にふさわしい十八章。「文庫の森をさ迷って」 は、『ニッポン文庫大全』ダイヤモンド社1997年初版への助走…

『表徴の帝国』つづき

ロラン・バルト『表徴の帝国』ちくま学芸文庫2001年8刷、訳注、解説を読んだ。五十頁のこれを 読まないと本文の理解は無理、私には。訳者宗左近の丁寧な解説によってその姿がほの見えてきた。 《 それに一九ニ○年代から四まる年代にかけては、象徴という言葉…

『表徴の帝国』

ロラン・バルト『表徴の帝国』ちくま学芸文庫2001年8刷、本文を読んだ。西洋の規準から見た日本の 有様……食、住、娯楽、しぐさ、言葉、住所、全学連など。原著は1970年の刊行。じつに面白い。 かつ難解。 《 わたしはまた、実在する国のどんな些細な現実にし…

『幽霊西へ行く』

オスカー・ワイルド『カンタヴィルの幽霊/スフィンクス』(南條竹則訳、光文社古典新訳文庫)。 《 「カンタヴィルの幽霊」の、アメリカ人の金持が英国の幽霊屋敷(城)を買うが、 幽霊が現れても一向に動じない、というユーモアは定番となって、映画《幽霊…

『偽花(にせばな)』

太田忠司『偽花 探偵・藤森涼子の事件簿』実業之日本社文庫2015年初版を読んだ。「石楠花(しゃくなげ) の詞(ことば)」「金木犀の徴(きざし)」「夾竹桃の焔(ほのお)」の三篇。凝った題名だ。 そのままテレビドラマになる内容。しかし、巷間に流れる二…

『想像ラジオ』つづき

いとうせいこう『想像ラジオ』河出書房新社には味戸ケイコさんの絵を連想させる描写がいくつかある。 《 「こんばんは。いえ、こんばんはかどうか私にはわからなくてごめんなさい。こちらは深い闇です。 冷たい水の底へと私はたぶんゆっくりと落ちています。…

『想像ラジオ』

いとうせいこう『想像ラジオ』河出書房新社2013年8刷を読んだ。東日本大震災の死者たちがラジオの DJアークを中心に呼び交わす。 《 AM。アンプリチュード・モジュレーションの略。FMはフリーケンシー・モジュレーション。 送ってる信号波の変調方式の…

「北一明記念館」

東京の女性アーチストが東京新聞7月31日(金)夕刊の北一明記事「戦禍の土で反戦のデスマスク」の 切り抜きを郵送してくださる。当時記事を知り、ネットで一部を読んだが、やっと現物に接することができた。 ありがたき友情。小見出しは「異端の陶芸家北…

「風分子 - Invisible Shape-」

午前中は昨日のネパール日本友好協会の人たち六人と座談会「ネパールの現状と今後の支援のあり方」に参加。 小学生、大学生を日本へ招待するなど教育への援助が、グラウンドワーク三島の主な事業になる。 午後、ブックオフ長泉店で二冊。丸谷才一『持ち重り…

『 Don't Follow the Wind 』

Chim↑Pom+椹木野衣ほか『 Don't Follow the Wind 』河出書房新社2015年初版を読んだ。 座談会での竹内公太の発言から。 《 竹内 社会運動では、いかに当事者に近づいたか、寄り添ったか、あるいは当事者自身であるかの プライオリティは高い。ときには「私…

『気違い部落周游紀行』つづき

きだみのる『気違い部落周游紀行』冨山房百科文庫1981年初版、後半も読了。 《 イデオロが生活の上位に置かれるのは、何か封建的儒学的なものが感ぜられるように思われる。 》 181頁「54」 《 尤も考えて見ると金融や権力が産業を搾取して自らを肥している…

『気違い部落周游紀行』

きだみのる『気違い部落周游紀行』冨山房百科文庫1981年初版を、野暮用に振り回されて前半で時間切れ。 新潮文庫も持っているが、こちらの方が字が大きい(註:字が小さくて読み難いのではない。ゆったりした 活字組で読みたいだけ。創元推理文庫だって裸眼…

「45年」

昨日購入した松浦寿輝『明治の表象空間』新潮社2014年初版には、私的な感慨がある。明治は45年で 終えた。この45年が、私には深い意味がある。すなわち、私が立教大学へ入学したのは1969年。 それは大学紛争・反安保闘争が頂点を迎えた年。東京大学は前…