2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧
徳永恂(まこと)『現代思想の断層──「神なき時代」の模索』岩波新書2009年初版を少し読んだ。《 その場合、何よりも「無神論」というコンセプションが無規定に使われているのが問題だし、さらに「有神論」と「無神論」、「一神教」と「多神教」 (もしくは…
徳永恂(まこと)『現代思想の断層──「神なき時代」の模索』岩波新書2009年初版を少し読んだ。節々に研究に裏打ちされた深い学識を感じる。 《 別の言い方をすれば、それは近代の幕を開けた「啓蒙」の一つの帰結であると言えようか。「啓蒙」とは、たんに迷…
吉野源三郎『君たちはどう生きるか』を読んでなぜか山崎ハコのLPレコードアルバム『流れ酔い唄』1978年を無性に聴きたくなった。で、聴いた。A面B面 通して聴き入った。四十年の歳月を超えて胸に迫り、心に沁みる。名盤だろう。 https://www.youtube.com…
吉野源三郎『君たちはどう生きるか』岩波文庫2011年65刷を再読。こりゃあ名作だわなあ。全く古びていない。いないどころか、いっそう切実に訴えかけてくる。 それにしても読みやすい。ぐいぐい引率されてゆく。中学生くらい向きの読み物(小説)だが、私のよ…
下記”ネット、いろいろ”から連想、徳田秋聲晩年の短編『町の踊り場』昭和8(1933)年を再読。 《 私はその踊り場が、この市の唯一のダダイストである塑像家M─氏の經營(さう大袈裟なものではないだらうが)に係るものだことを、昨日坊さんから 聞いてゐた…
最近目にする言葉、ポスト・ポストモダン。訳せば後・近代後か。椹木野衣『後美術論』を連想させるな。ポストモダンは何やら胡散臭い気がして縁がなかった。 時代の境目なのだろう、今年は思想書哲学書に惹かれ読んでいる。意気込んで読んでいるが、理解には…
清水高志『実在への殺到』水声社2017年初版を再読了。二度読んでも不明なところは不明。何回読んでも難解だろう。しかし、気になる。面白いのだ。 それにしても熱い。不注意に火傷するほどに。昨日のオツムの加熱に懲りて、きょうは休み休み、本を離れて頭を…
清水高志『実在への殺到』水声社2017年初版を読み進める。昨日は加熱気味だったので、きょうはゆっくり。 《 全体と部分は、このとき対立的なものと見做されているが、一方では持続=全体があるからこそ、諸部分も生み出されてくる。ベルクソンの例でいえば…
未明の最低気温が2.2度。寒〜。残暑があったかなかったかの今年、冬は足早にやってきたわ。コタツにもぐり、清水高志『実在への殺到』水声社2017年初版を 再び開く。千葉雅也『動きすぎてはいけない』を読んでいて、なぜか『実在への殺到』が気になった。《 …
千葉雅也『動きすぎてはいけない』河出文庫2017年初版を読了。 《 フランシス・ベーコン論『感覚の論理』において、ドゥルーズは、「輪郭を救うこと、ベーコンにとって、それ以上に重要なことはないのだ」と述べる。 》 「第8章 形態と否認」 379頁 《 彼は…
千葉雅也『動きすぎてはいけない』河出文庫2017年初版を少し読んだ。 《 理性的な(常識・良識を破らない)コミュニケーションでは、文の真/偽を分ける可能性を様々に守ろうとしている。しかしドゥルーズ発想では、言語の そもそもの威力はむしろ、非-理性…
千葉雅也『動きすぎてはいけない』河出文庫2017年初版を少し読んだ。 《 そもそもなぜ、ドゥルーズ(&ガタリ)の生成変化論を追求するにあたり本稿は、個体化論を重視しているのであったか。私たちは、「生成変化を乱したく なければ、動きすぎてはいけない…
千葉雅也『動きすぎてはいけない』河出文庫2017年初版を少し読んだ。長年そうかなあ、とモヤモヤしていた疑問符が、靄が薄くなるような記述に突然出合う。 これが嬉しい。本筋よりもそんな記述にぐっとくる。以下、興味を引かれた箇所から。 《 ドゥルーズは…
千葉雅也『動きすぎてはいけない』河出文庫2017年初版を少し読んだ。匍匐前進みたいに、少ししか読み進めない。 《 逆に、ヒュームとドゥルーズは、関係を事物の本性に依存させないために、事物を〈主体にとって総合された現象=表象〉ではなくさせる。総合…
千葉雅也『動きすぎてはいけない』河出文庫2017年初版を少し読んだ。著者は『莊子』の「胡蝶の夢」の新しい解釈を引用して語る。 《 ドゥルーズにおける「生成変化を乱したくなければ、動きすぎてはいけない」という箴言を、あたかも『莊子』の一部であるか…
千葉雅也『動きすぎてはいけない』河出文庫2017年初版を少し読んだ。副題は「ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学」。ジル・ドゥルーズの本は、『スピノザ』 平凡社1994年初版とフェリッックス・ガタリとの共著『アンチ・オイディプス』河出書房新社1988年6刷…
昨日は元気が出なくて『 THIRD EAR RECITATION 』の「枯葉」だけを聴いたのみ。こういう演奏は、元気がないと聴く意欲がまず失せる。気力体力勝負の演奏だ。 きょうは復調、意気込んで『 Wisdom Of Uncertainty 』を聴いた。パワフルを超えた暴発と表現した…
下記”ネット、いろいろ”に触発されてCD、DAVID S. WARE Quartet『 Wisdom Of Uncertainty 』1996年録音を久しぶりに聴くつもりだったが、CD 『 THIRD EAR RECITATION 』1992年録音の1番と9番の「枯葉」を聴く。名曲のこの演奏にシビレた。悠雅彦は解説…
ウィリアム・ベックフォード『ヴァテック』牧神社1974年初版を読んだ。副題は「亞剌比亞譚」。まさにアラビアンナイトを彷彿させる奇譚だ。 訳者矢野目源一の解題(1932年11月10日)から。 《 本書は珍籍と称すべきものの一つである。普通の大ざつぱな文學史…
丸谷才一・鹿島茂・三浦雅士『文学全集を立ちあげる』文春文庫2010年初版から。 《 丸谷 僕はヨーロッパの音楽家だって、トランプすると思うよ。でも、彼らにはヨーロッパ的社会が背後にあるわけだよ。こっちはないんだもの。だから、 やっぱりヨーロッパ文…
ティム・インゴルド『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』左右社2017年初版を読了。 《 ここでいうリズミカルな動作は、実践者みずからの動きを、自分が関わる環境の構成物に内在するリズムにたえず順応させることによって生まれるからだ。(中略) そ…
ティム・インゴルド『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』左右社2017年初版を少し読んだ。 《 こうして手紙が往来するあいだ、文通には始点も終点もない。それはただ続いていく。第二の点。文通の軌跡は、感情の軌跡であり、感覚の軌跡でもある。 それ…
ティム・インゴルド『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』左右社2017年初版を少し読んだ。 《 主体と客体が存在するのは、すでに完成して変更のきかない世界だけである。 》 「第七章 流れる身体」 195頁 《 ものを束ねるには努力と細心が必要である。…
ティム・インゴルド『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』左右社2017年初版を少し読んだ。 《 実際、マウンド(小山)がわたしたちに教えてくれるのは、大地自体は建設業者が思いこんでいるように、あらかじめ存在している頑丈な支持層ではないという …
ティム・インゴルド『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』左右社2017年初版を少し読んだ。 《 世界の構造(大分前に完成したかのように人類が思いこんでいる、過去の世界の構造のことではない)における本質的な関係は、物質と形式のあいだにはなく、 …
ティム・インゴルド『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』左右社2017年初版を少し読んだ。 《 さまざまなつながり方で、この回転は何度も出現する。実際、前章で民族誌的な資料(横方向)と人類学的な生成変化(縦方向)の区別を考えたときにも、 わた…
ティム・インゴルド『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』左右社2017年初版を少し読んだ。著者は「四つのA」という題をまず考えたという。すなわち、 Anthropology,Archeology,Art,Architecture 。 《 要するに本書のいわんとしているのは、つくること…
椹木野衣『震美術論』美術出版社2017年を読んで、ある鉱脈にぶち当たった印象を持ったが、それが何なのかわからぬまま明治時代を知りたくなり、『明治維新』 『近代国家の出発』『大日本帝国の試練』等を読んだ。そこで知ったのは、文学美術では窺い知れぬ、…
朝、源兵衛川中流部、三石神社〜時の鐘橋〜源兵衛橋〜下源兵衛橋のヒメツルソバを抜く。ついでに出始めたハーブも抜く。土のう袋半分ほど。気持ち良い水の流れ。 流水に洗われた三島梅花藻の緑がひときわ鮮やか。帰宅。一汗。着替える。ふう。 午後の来客が…
色川大吉『明治の文化』岩波書店1970年初版を読了。 《 近代天皇制はなによりも政治機構としてとらえられる。その完成されたシステムは、一八八九年の大日本帝国憲法に表現されている。天皇制はこのシステムを つかい、「政治」を通し、「経済」を通し、「教…