2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『四方対象』七

グレアム・ハーマン『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』人文書院2017年初版を少し読んだ。 《 私たちの四重の謎は、実在的対象および感覚的対象が、それらの実在的特性および感覚的特性に対して、自立性をもち、かつ自立性を欠いているという 奇妙な事…

『四方対象』七

グレアム・ハーマン『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』人文書院2017年初版を少し読んだ。 《 私たちの四重の謎は、実在的対象および感覚的対象が、それらの実在的特性および感覚的特性に対して、自立性をもち、かつ自立性を欠いているという 奇妙な事…

『四方対象』六

グレアム・ハーマン『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』人文書院2017年初版を少し読んだ。 《 ハイデガーの基本概念のうちで四方界ほど嘲笑を買ったものはない。 》 「第六章 ハイデガーの四方界」 132頁 《 こうした四方界を自己満足ないし狂気じみた…

『四方対象』五

グレアム・ハーマン『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』人文書院2017年初版を少し読んだ。 《 対象であるとは、何種類かの性質をもつことではない。そうした性質はせいぜい、対象を外から特定するための方法を教えるにすぎないからである。 》 「第五章…

『四方対象』四

グレアム・ハーマン『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』人文書院2017年初版を少し読んだ。 《 この無慈悲で大胆な議論とは対照的に、実在論への訴えは、どんなものであれ、退屈なブルジョワによる反動的で興ざめな振る舞いのような印象を与えがちである…

『四方対象』三

グレアム・ハーマン『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』人文書院2017年初版を少し読んだ。 《 しかし実際には、その逆なのだ。つまり、手許性はつねに、[人間から]独立していなければならず、手前性は[人間に]依存していなければならないのである。…

『四方対象』ニ

グレアム・ハーマン『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』人文書院2017年初版を少し読んだ。 《 フッサールの現象学的方法は、外界についてのあらゆる考察を括弧に入れ、もっぱら意識に流れる現象だけに焦点を合わせたものであった。彼の反抗的な後継者 …

『四方対象』一

グレアム・ハーマン『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』人文書院2017年初版を少し読んだ。 《 素朴な観点に立つ本書は、そうした対象のうちどれが実在的でどれが非実在的であるかということについて、あらかじめ何らかの主張を提起したりはしない。 》 …

備忘録・北一明

備忘録。以前K美術館から送った北一明の盃を気に入った方からのメール。長文。 《 お世話になっております。 昨日お代金のお振込みをさせて頂きました。 このご縁に慎んで感謝致します。ありがとう御座いました。 無事お品拝受致しました。 お送り頂きまし…

『中動態の世界』再読・七

國分功一郎『中動態の世界──意志と責任の考古学』医学書院2017年5刷の再読を終える。 《 これは言い換えれば、善と悪には、人間の社会で通用しうる、そして通用している規範には閉じ込められない過剰さがあるということに他ならない。 その過剰さを知ってい…

『中動態の世界』再読・六

國分功一郎『中動態の世界──意志と責任の考古学』医学書院2017年5刷を少し再読。 《 スピノザの言う本質は力動的とでも呼ぶべき概念である。「本質」というと何か不変で不動のものが思い描かれる。だが、『エチカ』ではこの概念は個体の力を 名指ししている…

『中動態の世界』再読・五

國分功一郎『中動態の世界──意志と責任の考古学』医学書院2017年5刷を少し再読。 《 非人称表現が現れた後の動詞の変化についてはあまりにも分からないことが多いが、われわれは出来事を表現するというこの原始的な動詞形態のもつ特性が 中動態に継承されて…

『中動態の世界』再読・五

國分功一郎『中動態の世界──意志と責任の考古学』医学書院2017年5刷を少し再読。 《 言語は不均衡な体系である。言語は常にさまざまな要求に対応しながら、抑圧と矛盾を抱えつつ運用されている。人の心や社会と同じである。だから、 矛盾が甚だしくなれば、…

『中動態の世界』再読・四

國分功一郎『中動態の世界──意志と責任の考古学』医学書院2017年5刷を少し再読。読むのが遅い。年々老化か、用事にかまけて、か。ま、両方だろう。 《 こう考えると、暴力と権力をきちんと区別せず、両者を曖昧に重ねてしまう考え方というのは、能動性と中動…

『中動態の世界』再読・三

國分功一郎『中動態の世界──意志と責任の考古学』医学書院2017年5刷を少し再読。 《 思考する主体は常に何らかの現実のなかにいる。だから言語が思考を直接に規定するということは考えられない。言い換えれば、言語の規定作用を、 思考という規定されるもの…

「世界水遺産」

いろいろな夢をみた。ここ二十年に出会った人たちが入れ代わり立ち代わり出現。二十年前の光景から近々あるだろう打ち合わせの光景まで。死期が近いのかな。 んなことはないけど(あるかな)。春を思わせる雨模様。 お天気に連動してぼんやりしたオツムで東…

『中動態の世界』再読・ニ

國分功一郎『中動態の世界──意志と責任の考古学』医学書院2017年5刷を少し再読。 《 中動態と対立するところの能動態においては──こう言ってよければ──主体は蔑ろにされている。「能動性」とは単に過程の出発点になるということであって、 われわれがたとえ…

『中動態の世界』再読・一

國分功一郎『中動態の世界──意志と責任の考古学』医学書院2017年5刷を少し再読。記憶から零れた、付箋の貼ってない細かな記述が立ち上がってくる。 《 われわれは脳内でのシミュレーションに過ぎないものに、自分と世界のリアリティを感じながら行為している…

「煮詰まった時代をひらく」

『現代思想』1月号、特集「現代思想の総展望2018」冒頭インタビュー「養老孟司 煮詰まった時代をひらく」を読んだ。 《 ともあれ、先ほど言ったように、天然資源というか環境から人間が純粋に手に入れられるものが限界を迎えています。収奪能力も非常に高い…

『名画の値段』後半

瀬木慎一『名画の値段─もう一つの日本美術史─』新潮選書1998年1月25日初版後半も読んだ。後半は「近代の日本画家」「近代の油彩画家」。 《 いかなる美術評価も、時代の趣向に左右される面が多いのは事実であるが、それではかつての評価と今日のそれとは、遠…

『名画の値段』前半

瀬木慎一『名画の値段─もう一つの日本美術史─』新潮選書1998年1月25日初版、前半を読んだ。二十年前の発行だ。 《 人間は、みずからが芸術に与えた価格に戸惑い、驚き、しばしば狂うことさえある。 》 「まえがき」 9頁 《 やれやれ、というところだが、さら…

『象と耳鳴り』再読

『象と耳鳴り』祥伝社1999年初版を再読。全十二編。後半がぐっと読ませる出来。なので、なぜ第一編の「曜変天目の夜」が選ばれたのかわからない。 東京新聞朝刊、第一面「笑ケース」は12月の月間賞。 《 廃炉難航 良い知恵が浮かばない ──もんじゅ (狭山市 …

『象と耳鳴り』前半

朝から用事で外出。一日仕事に。『象と耳鳴り』祥伝社1999年初版、前半を再読したのみ。 ネット、いろいろ。 《 「売れる本を書こう」とするのが如何に無駄な努力か、如実に分かる例のあれ。付け加えるならばある段階から凄まじい課税率であり、 万全の備え…

”オールタイム・ベスト国内短編ベストテン”

『このミステリーがすごい! 2015年版』宝島社2014年の特集企画”オールタイム・ベスト 国内短編ベストテン”。 1連城三紀彦『戻り川心中』 2大坪砂男『天狗』 3鮎川哲也『達也が嗤う』 4鮎川哲也『赤い密室』 5江戸川乱歩『押絵と旅する男』 6高木…

『魔術師が多すぎる』

昨日の一位、ランドル・ギャレット『魔術師が多すぎる』(米国1966年刊)をハヤカワ・ミステリ文庫1977年初版で読んだ。裏表紙の紹介文から。 《 弁護士や科学者のかわりに魔術師が社会の要職を占めるもう一つの現代ヨーロッパ。その魔術師の大会がロンドン…

”「幻の名作」BEST10”海外編

『このミステリーがすごい! 2014年版』宝島社2013年の特集企画”「幻の名作」BEST10”海外編。 1ランドル・ギャレット『魔術師が多すぎる』 2トニー・ケンリック『スカイジャック』 3リチャード・スターク『悪党パーカー/人狩り』 3フレドリッ…

”「幻の名作」BEST10”国内編

『このミステリーがすごい! 2014年版』宝島社2013年の特集企画”「幻の名作」BEST10”国内編。 1連城三紀彦『夜よ鼠たちのために』 2小泉喜美子『血の季節』 3久米康之『猫の尻尾も借りてきて』X 3連城三紀彦『宵待草夜情』 5生島治郎『黄土…

『エウパリノス』

ポール・ヴァレリー『エウパリノス』1921年を『世界の名著 続12 アラン/ヴァレリー』中央公論社1974年初版で読んだ。天国でソクラテスと弟子の パイドロスが対話をする形式の作品。対話篇だ。なかなか面白い。パイドロスの友人エウパリノスは建築家。パイ…

”世界はひとつではない”

ポール・ヴァレリーのどこかの文章に”世界はひとつではない。”という一文があった。いろいろな意味に使われそうな一文だが、年があらたまって記憶に浮上。 カラリストと呼ばれる安藤信哉の絵の筆触に印象派の痕跡を見、彼らの絵にはよく言われるように影=漆…

「詩学序説」

ポール・ヴァレリー「詩学序説」1937年を『世界の名著 続12 アラン/ヴァレリー』中央公論社1974年初版で読んだ。 ヴァレリー66歳のときの講義。 《 更にもし、文学の発展する文化的環境を考察しないならば、「文学」に対して十分に完全でかつ真実な観念を…