2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『正法眼蔵』お休み

『正法眼蔵』第3巻を手にするが、解説をちょっと読んだだけ。きょうはお休み。 昼前、沼津市のいずみ画荘で深沢幸雄の銅版画『生(2)』1962年の額装を受け取る。いい出来だ。二十年ほど前知人に某オークションで落札してもらった作品。 額装する機会を失…

『正法眼蔵』第2巻

道元『現代語訳 正法眼蔵 2』大蔵出版1995年2刷、「ニ五 神通(じんづう)」を読んだ。 《 神通(じんづう)といえば、天空を翔け廻ったり、はるかかなたのものが、見えたり聞こえたり、他人の心を察知することができたり、などを想い起こす。 (中略) 道…

『正法眼蔵』を少し

道元『現代語訳 正法眼蔵 2』大蔵出版、「ニ四 仏教(ぶっきょう)」を読んだ。 《 禅では一般に、教外別伝(きょうげべつでん)ということがいわれている。道元は、この見解に真っ向から反対する。教外別伝では、教えは軽視され、 以心伝心の心を重要視す…

『正法眼蔵』を少しずつ

道元『現代語訳 正法眼蔵 2』大蔵出版、「ニ一 看経(かんきん)」「ニニ 仏性(ぶっしょう)」を読んだ。後者の玉城康四郎の解説から。 《 「仏性(ぶっしょう)」は、古来『正法眼蔵』のなかでも、もっとも重要な巻の一つに数えられている。(中略)まず…

『正法眼蔵』をまた少し

道元『 現代語訳 正法眼蔵 2』大蔵出版1995年2刷、「一八 心不可得(しんふかとく)」を読んだ。訳者玉城康四郎の解説。 《 如浄はやがてこの世を去るから、実際には不可能であるが、もしかりに道元が如浄の許で充ち足りるほどの時間を得て、精進することが…

『正法眼蔵』を少し

落合陽一『デジタルネイチャー』PLANETS2018年2刷の、幹線からいつしか支線に分岐し、迷走〜迷想に入り込んでしまった読後感の後、道元の『正法眼蔵』第二巻、 現代語訳を読むと、ゆったりと静かにそこにある時を感じて気持ちが落ち着く。深い経験と思索の底…

『デジタルネイチャー』三

落合陽一『デジタルネイチャー』PLANETS2018年2刷、「第5章 未来価値のアーピトラージと二極分化する社会」を読んだ。 《 国家に税金を払いながら、さらに Apple や Google にも手数料を収奪されるという、二重の搾取構造の中にいる我々は、ある意味、新し…

『デジタルネイチャー』ニ

落合陽一『デジタルネイチャー』PLANETS2018年2刷、「第2章 人間機械論、ユビキタス、東洋的なもの」を読んだ。よく出来たSF小説のよう。 《 それは一言でいえば、人間的論理がないまま結果だけを受け取るノウハウ依存的な方法論である。この学問体系は、…

『デジタルネイチャー』一

落合陽一『デジタルネイチャー』PLANETS2018年2刷、「第1章 デジタルネイチャーとは何か」を読んだ。軽快にして明快な文章に胸がすく思い。未知の世界がぐっと 開かれる。これは興奮する。引用したい箇所がたくさんある。あえてまえがきから二箇所。。 《 …

「古池や蛙飛びこむ水の音」

落合陽一『デジタルネイチャー』PLANETS2018年2刷、「まえがき」を読む。松尾芭蕉の名句「古池や蛙飛びこむ水の音」を題材に胸のすくような展開。 《 全体性を内包した叙景から根源的知覚への飛躍。主観と客観の越境、一と全、全と一の相転移がもたらす視座…

「有時(うじ)」「山水経」

玉城康四郎・対訳、道元『正法眼蔵』、「一一 有時(うじ)」解説より。 《 しかもハイデガーのまったく思い及ばないようなものが道元のなかにある。それはもはや時間のカテゴリーにははいってこないようなもの、いわば永遠の原始から あり、かつ、いま自己…

描写力、構成力、構想力

昨日の日録に”構想は全く違う”と書いて、西岡文彦『図解:名画の見方』宝島社1996年20刷の一節を連想。そのページを開く。「『最後の晩餐』に結晶した、 名画が名画であるための六つの条件!」。その名画の条件とは。 《 1 人物や風景、静物の写実的な描写…

『慈善週間』

マックス・エルンスト『慈善週間、または七大元素(小説)』河出書房新社1977年初版を読んだ。ほとんど絵(コラージュ)だけで構成されている絵小説。 といって筋がわかりそうでわからない。無理して考えず絵を楽しむ。同じ版画が使われているのに気づく。一…

額縁から箱へ

友だちが昔描いた馬の線描の板絵。以前気に入って譲ってもらった(それなりの代金は支払った)が、縦30センチ横20センチ、四辺は内側に丸く切り取られ、 上辺は緩やかな丸みに切られている。変形の板絵をどのように飾ろうか、と思案投げ首の日々だった。…

孤独、無縁

和室の床の間には今、銅版画家、故深沢幸雄氏の書の掛け軸が掛かっている。草野心平の作品を書写したもの。 息づいて独り むしろ宇宙に近い その無縁 11日の日録で引用した松本勝貴氏の短歌。 月光(つきかげ)はこの面かの面にしみわたり石は億年の孤独を…

『ある緩徐調』

角宮悦子の第一歌集『ある緩徐調』短歌新聞社1974年を本棚から抜き、久しぶりに再読。ネットを検索。ウィキで亡くなっていたことを知る。 ナイフ研ぐひそかに好む烈風の冬空よりもわれの渇けば 純白のトックリセーター着て行くはひそかにイブの血を隠すため …

『ロバート・キャパ写真集』

『ロバート・キャパ写真集』岩波文庫2017年初版を見た(でいいのかな)。帯にも使われている彼の言葉を実感。 《 きみの写真が十分に良くないとしたら、それはもっと近寄らないからだ。 》 杉山吉良(きら)写真集『北限の花 アッツ島再訪』文化出版局1979年…

『冬華』

松本勝貴氏の第一歌集『冬華』書肆季節社1982年を再読。 ひがんばな野に咲けば野をめぐりゆき胸冷ゆるまで満たすくれなゐ 夕暮れの水にわが影残しきてひそと羞(やさ)しき闇に入りゆく ひと戀ふることの寂しさ曼珠沙華あかあかと秋の闇に焔(も)えたつ し…

『花物語』

松本勝貴歌集『花物語』詩法叢書1988年を再読。 あをあをと夕べの窓を灯しゐて夜汽車は海の底に旅立つ 歌集最初の一首。味戸ケイコさんの絵『幻想列車』1980年につながる。 http://web.thn.jp/kbi/ajie.htm いくたりのさびしき眸のなかを来てこの海浜にさま…

『のすたるぢあ』

皆川博子『皆川博子の辺境薔薇(そうび)館』河出書房新社、最初の口絵は林由紀子さんの手彩色銅版画『ガラスの角と青い薔薇。それには『薔薇密室』の一文 ”廃園の薔薇たちは、すべて色を失っていた。”が寄せられている。または『薔薇密室』の一文に『ガラス…

『秋庭歌』

斎藤愼爾・編『短歌殺人事件』の流れで、『俳句の現在 別巻3 斎藤愼爾集 秋庭歌』三一書房1989年初版を再読。 骨のごときものを蔵せり紅梅は 水のごとき炎天をゆく黒揚羽 菜の花の径にて一行の詩を断てり 燐寸の匂い鼻さすこれ以上の喪失は 等が気になった…

『文月の使者』

昨日の斎藤愼爾・編『短歌殺人事件』光文社文庫2003年初版、解説から。 《 私などは皆川ファンのおひとり、久世光彦氏と電話で話題にする皆川作品は、もっぱら短編である。「『ゆめこ縮緬』のベストはどの作品ですか」といった ミーハー的な質問を、私がする…

『お七』

皆川博子『皆川博子の辺境薔薇(そうび)館』河出書房新社をぱらぱらと読んだ。斎藤愼爾「『蝶』解説」が目を惹いた。 《 「美と様式を持ってこそ、ミステリー」というのが主旨で、その二つを併せ持った〈美の祭司たちの系譜〉として、三島由紀夫、中井英夫…

『倒立する塔の殺人』

皆川博子『倒立する塔の殺人』をPHP文芸文庫2011年初版で読んだ。的を射ている三浦しをんの解説を引用。 《 本書は、太平洋戦争末期の女学校を舞台にしたミステリーだ。 》 《 きわめて端正で、構成力に圧倒される小説であるにもかかわらず、「これこれこ…

『皆川博子の辺境薔薇館』

昨日購入した皆川博子『皆川博子の辺境薔薇(そうび)館』河出書房新社をぱらぱらと見る。ほとんど見るだけ。巻末の著作リストを参考に所持する本を調査。 単行本は十四冊。新書版は二冊。文庫本は十九冊。気になる作家で、古本で見たら買っていた。時代小説…

『ヘンな日本美術史』つづき

山口晃『ヘンな日本美術史』祥伝社2012年初版を読了。何気なく気宇壮大な野心作であり、かつ名著の可能性。「第四章 日本のヘンな絵」より。 《 空間で云えば、「彦根屏風」はこの線だからこそ、背景が金一色で持つのだろうと思います。 》 169頁 《 要は、…

『ヘンな日本美術史』

山口晃『ヘンな日本美術史』祥伝社2012年初版をあちこち読んだ。じつに面白い、興奮させる本だ。別の言葉でいえば、知的刺激に満ちている。 こういう本を読みたかった。今こそが読み時かも。先だって東京国立博物館で見た『彦根屏風』、雪舟『天橋立図』など…

「泣き相撲」

友だちに頼まれて朝、電車で原駅へ。歩いて十分ほどの長興寺で催されている「泣き相撲」へ。参道沿いの家のおばあさんの見守りを仰せつかる。一年前には 源兵衛川へ蛍を一緒に見に行ったけど、老化が進んで今年は見送り。お祭り(だなあ)は赤ん坊が主役なの…

「人の間に─灼熱と氷河─」

朝、横浜駅西口近くのギャラリー、FEI ART MUSEUM YOKOHAMA の「人の間に─灼熱と氷河─」展へ。昼前に着き、三人の作品を鑑賞。彦坂尚嘉(ひこさか・ なおよし)の写真パネルに驚く。なんと、はがき大の写真を巨大に引き伸ばしたもの。ありゃりゃ、昨日の味戸…

『塩一トンの読書』つづき

須賀敦子『塩一トンの読書』河出書房新社2003年初版を読了。 《 だが、答は、たぶん、簡単にはみつからないだろう。強いていえば、この国では、手早い答をみつけることが競争に勝つことだと、そんなくだらないことばかりに 力を入れてきたのだから。 》 「『…