2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『ウィトゲンシュタイン 論理哲学論考』(閑人亭日録)

古田徹也『ウィトゲンシュタイン 論理哲学論考』角川選書2019年初版を開く。「はじめに」からぐっと惹き込まれる。 《 この原題を忠実に訳すとするならば、『論理的・哲学的論考』というのが正確な書名になる。 》 26日に”論理哲学の意味さえもわからずに…

『論理哲学論考』五(閑人亭日録)

ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』岩波文庫2006年11刷を読了。 《 六・四三一一 死は人生のできごとではない。ひとは死を体験しない。 》 《 六・四四 神秘とは、世界がいかにあるかではなく、世界があるというそのことである。 》 そして最後の一行。 …

『論理哲学論考』四(閑人亭日録)

ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』岩波文庫2006年11刷を少し読み進める。 《 五・六 私の言語の限界が私の世界の限界を意味する。 》 こんなこと、言ってみたかった。が、言ったところで、フンッと莫迦にされるだけ。 《 五・六一 論理は世界を満たす。…

 『論理哲学論考』三(閑人亭日録)

ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』岩波文庫2006年11刷を少し読み進める。 《 四・一一ニ 哲学の目的は思考の論理的明晰化である。 哲学は学説ではなく、活動である。 哲学の仕事の本質は解明することにある。 哲学の成果は「哲学的命題」ではない。諸命…

『論理哲学論考』ニ(閑人亭日録)

ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』岩波文庫2006年11刷を少し読み進める。 《 ニ・ニニ 像は、描写内容の真偽とは独立に、その写像形式によって描写を行う。 》 《 ニ・ニニ一 像が描写するもの、それが像の意味である。 》 《 ニ・ニニニ 像の真偽とは、…

『論理哲学論考』(閑人亭日録)

ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』岩波文庫2006年11刷を読み始める。論理哲学の意味さえもわからずに読書に突入。すごいね。冒頭一行。 《 一 世界は成立していることがらの総体である。 》 続いて。 《 一・一 世界は事実の総体であり、ものの総体では…

『本が崩れる』ニ(閑人亭日録)

”なさけなきゴミ(=本)の大王”草森紳一『本が崩れる』中公文庫2018年初版、後半を読了。野球とタバコの話が主。 《 本なるものは、その角に当れば人を殺傷しかねない凶器でもあるので、大きな地震の場合を考えて、寝床の頭上にだけは、置かないように気を…

 『本が崩れる』(閑人亭日録)

『私の本棚』『書斎の王様』とくれば草森紳一『本が崩れる』中公文庫2018年初版だろう。前半の表題作を読んだ。本が崩れて風呂場に閉じ込められた話。 《 いつもの調子で窮屈そうに半身を入れた途端、なにか鋭い突風のようなものに背をどやされて、クルッと…

『書斎の王様』(閑人亭日録)

本棚つながりで「図書」編集部編『書斎の王様』岩波新書1987年6刷を開く。 《 相対性理論もその後の量子論も、いずれも哲学に重大な問題を提供するものであったから、特に科学哲学に関心を持つ者には重大な課題にならねばならなかった。 しかし極度に専門化…

『私の本棚』(閑人亭日録)

新潮社・編『私の本棚』新潮文庫2016年2刷をぱらぱらと読む。昨日ふれた『現代詩手帖』1969年12月号の赤瀬川原平の挿絵が心に残り、彼の「本棚の行政改革は難しい」 を読む。 《 できるだけ便利でコンパクトな仕事部屋ということで、その背後を仕事部屋と同…

『石川九楊のほんとうに書がわかる九つの法則』(閑人亭日録)

昨日購入した石川九楊『石川九楊のほんとうに書がわかる九つの法則』芸術新聞社2019年初版を読んだ。 《 技術的に優れていても、つまらない書があり、その逆もある。うまい、へたに捉われていては、その先へ進めません。その先には、書は「どのように書かれ…

『竹一本』(閑人亭日録)

昨日に続き、横山勝也の音楽カセット・テープ『竹一本』音楽之友社1985年を聴く。尺八のソロ演奏。幽幻はさらに深まり、幽遠に。その響きは幽冥境にも届くよう。 スンゲエ~(安っぽい発言だ)。仰天。サクソフォンよりも表現が壮大、深い~(私的感想)。後…

『日本の響』(閑人亭日録)

横山勝也(尺八)・羽賀幹子(箏)『日本の響』音楽之友社カセット・テープ1986年を聴く。横山勝也は昨日の明石海人と同郷、沼津市の生まれ。沼津市つながりで。 ウィキを見れば明らかだが、世界で活躍した演奏家なのに沼津市ではほとんど知られていない。こ…

 『明石海人全歌集』(閑人亭日録)

東京新聞の連載「海人(かいじん)の娘」に刺激され、内田守人・編『明石海人全歌集』短歌新聞選書1978年2刷を開く。歌集『白描』昭和十四年二月刊、冒頭五首。 《 医師の眼の穏(おだ)しきを追ふ窓の空消え光りつつ花の散り交ふ そむけたる医師の眼をにく…

『沖に立つ虹』(閑人亭日録)

昨日届いた堀口大學詩集『沖に立つ虹』吾八ぷれす1974年には開頒案内の葉書「吾八ぷれす開頒御案内」が挟まっている。 《 限定参百部・署名入・特染総革レリーフ装・本文特漉局紙・見返し新着英国マーブル紙・オリジナル銅版画五葉入・布箱入 頒価弐万八千円…

『簡単すぎる名画鑑賞術』ニ(閑人亭日録)

西岡文彦『簡単すぎる名画鑑賞術』ちくま文庫2011年初版を読了。これは良い本だ。人に勧められる。 《 写実的な描写という、いわば他者へのサービスの部分をとりのぞいた造形活動は、絵画、彫刻から焼き物、染め物まで、不思議に治療的な効果を発揮する。作…

『簡単すぎる名画鑑賞術』(閑人亭日録)

西岡文彦『簡単すぎる名画鑑賞術』ちくま文庫2011年初版を少し読んだ。「はじめに」から読ませる。 《 さらにいうならば、多くの人を悩ませている現代アートのむずかしさにしても、「正解」は、あきれるほどにわかりやすい。作品を見て「なんで、これがアー…

氷、水、波(閑人亭日録)

梅雨の日曜日。東京新聞最終面「カジュアル美術館」は「雨 福田平八郎 東京国立近代美術館」。画像は下。 http://www.city.oita.oita.jp/o210/bunkasports/bunka/1211452188796.html《 そして恩師に誘われて琵琶湖へ釣りに行ったのが病みつきになり、生涯の…

『道元との対話』五(閑人亭日録)

岩田慶治『道元との対話 人類学の立場から』講談社学術文庫2000年初版、「第5章 道元と現代文明」を読んだ。「第4章 道元の宇宙」よりばるかにとっつきやすい。 理解できたかは別。気になった文言から。 《 道元の言葉は形に転化しようとしていると前に述…

『道元との対話』四(閑人亭日録)

岩田慶治『道元との対話 人類学の立場から』講談社学術文庫2000年初版は、「序章 道元との対話」が『道元に出会う』旺文社1986年からの収録。「第1章 『正法眼蔵』を読むとき」以降は『道元の見た宇宙』青土社1984年を収録。去年の夏に読んでいる。一年後の…

四十五年ぶり(閑人亭日録)

調べ物のついでに季刊『銀花』第二十号文化出版局1974年を開く。特集「らんぷの美」にやはり魅入られる。つづいて堀口大學の小特集「詩心の風光」へ。 詩集『沖に立つ虹』の小林ドンゲの挿絵に再会。やはり女性像に魅入られる。思い立って古本を探しネット注…

しばらくお休み(閑人亭日録)

閑人亭日録、しばらくお休みします。

『道元との対話』三(閑人亭日録)

岩田慶治『道元との対話 人類学の立場から』講談社学術文庫2000年初版、「第2章 道元の言葉」を読んだ。 《 もちろん、違うジャンルの文章を比較するわけにはいかないけれども、『正法眼蔵』の魅力はそのなかに謎があり、謎を解く鍵がひそんでいるというこ…

 『道元との対話』ニ(閑人亭日録)

岩田慶治『道元との対話 人類学の立場から』講談社学術文庫2000年初版、「第1章 『正法眼蔵』を読むとき」を読んだ。 《 袱紗(ふくさ)を手にもって棗の甲(こう)を拭く。(中略)庭に面した広縁で、この動作をくりかえしていると、自分と庭の木々の姿が…

『道元との対話』(閑人亭日録)

今夜は荒模様、なら白石かずこだが、夜は知らず、朝は荒れ模様。ふっと雨は一休止。積本の上にある横尾忠則『名画 裸婦感応術』知恵の森文庫をまた手にする。 「13 マン・レイの気まぐれ」に惹き込まれる。 《 創造が人間の本能と切り離されているような作…

『名画 裸婦感応術』(閑人亭日録)

昨日ふと使った言葉「感応」から横尾忠則『名画 裸婦感応術』知恵の森文庫2001年初版をパラパラと再読。どのページを開いても面白く刺激で、読みふけってしまう。 横尾忠則、只者ではない(当然だが)。正直(辛辣)な言葉使いがなんとも正鵠を射ていて爽快…

『庭師ヴィリエ』(閑人亭日録)

昨日入手した岩田慶治『道元との対話』講談社学術文庫2000年初版、「学術文庫版あとがき」の一節。 《 セザンヌの晩年の絵に「庭師ヴィリエ」がある。この絵には何故か塗り残しが多い。麦ワラ帽の尖ったてっぺん、口ひげ、粗末な服のそこここ、そして庭木の…

絵を買うこと(閑人亭日録)

初めて買った絵は味戸ケイコさんの絵だった。味戸さんの初個展、1985年夏のギャラリーさんようでのことだった。三十万円を持って出かけた。味戸さんとも初対面。 何を話したかもう全く覚えていないが、買った絵は当然憶えている。毎日新聞の全面広告に使われ…