2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

触覚・覚醒・開錠(閑人亭日録)

昨日、白砂勝敏さんのアトリエ兼自宅でお目にかかったウッドメカニカル作家の水越亘将(みずこし のぶまさ)さん。《 遠州横須賀街道「ちっちゃな文化展」で撮った写真。 とても精巧ながら、3日間いろんな客が動かしまくっても問題なく動作し続けた頑丈さも…

『性の歴史 III 自己への配慮』七(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 III 自己への配慮』新潮社1987年初版、「結 論」を読んだ。『性の歴史 III 自己への配慮』を読了。格別抜き書きすべきことはない。 ふう。どこまで理解が届いたのか。フーコーの執筆の動機が気になる。『第四巻 肉の告白』にそ…

『性の歴史 III 自己への配慮』六(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 III 自己への配慮』新潮社1987年初版、「第六章 若者たち」を読んだ。《 若者愛にかんする古代古典期の高い調子の言明にくらべると、この愛にかんする省察は、西暦のはじめの数世紀のあいだに、その現実性を失ったわけではない…

『性の歴史 III 自己への配慮』五(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 III 自己への配慮』新潮社1987年初版、「第五章 女性」を読んだ。《 生殖ならびに生活共同体にたいする二重の寄与によって結婚が自然なものだとのこの古代古典期の主題は、帝政期のストア派によってくり返されるのであるが、し…

『性の歴史 III 自己への配慮』四(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 III 自己への配慮』新潮社1987年初版、「第四章 身体」を読んだ。《 フラヴィウス朝、ついでアントニヌス帝の時代に、医事への好みがどんなに強烈かつ普及していたかは、しばしば力説された点である。 》 135頁《 最初の二つの…

『性の歴史 III 自己への配慮』三(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 III 自己への配慮』新潮社1987年初版、「第三章 自己と他者」を読んだ。《 ヘレニズム世界では徐々に結婚は公的な領域のなかに位置を占めていく。 》 101頁《 アテナイやローマやエジプトの法律によると、父親は自分の意志に反…

『性の歴史 III 自己への配慮』二(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 III 自己への配慮』新潮社1987年初版、帯文。《 愛欲の営み、性の快楽から、 結婚生活の重視、倫理的規範の強化と増大へ…… 古代ギリシャからキリスト教社会への変容を辿る。 》 「第二章 自己の陶冶」を読んだ。《 帝政期に表…

『性の歴史 III 自己への配慮』一(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 III 自己への配慮』新潮社1987年初版、「第一章 自分の快楽を夢に見ること」を読んだ。《 アルテミドロスの『夢を解く鍵』は、古代に豊富にあった文献、つまり夢判断の文献のうち、完全な形で今日残っている唯一のテクストであ…

『性の歴史 II 快楽の活用』六(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 II 快楽の活用』新潮社1986年初版、「第五章 真の恋」を読んだ。《 すなわち、「恋というものが何であり、いかなる性質であり、つぎにその働きはどんなものなのか?」。存在論上の問いかけであって、もはや義務論上の問題では…

『性の歴史 II 快楽の活用』五(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 II 快楽の活用』新潮社1986年初版、「第四章 恋愛術」を読んだ。《 ギリシャ人は、自分と同じ性のものへの愛と別の性のものへの愛とを、二つの排他的な選択、根本的に異なる二つの行動類型というふうには対立させてはいなかっ…

『性の歴史 II 快楽の活用』四(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 II 快楽の活用』新潮社1986年初版、「第三章 家庭管理術」を読んだ。《 ギリシャ人の思索では、夫と妻の性の交わりは、どのようにして、どんな形式のもとに、何をもとにして《問題となる》のか? 》 183頁《 しかし、性的関係…

『性の歴史 II 快楽の活用』三(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 II 快楽の活用』新潮社1986年初版、「第二章 養生術」を読んだ。《 この省察の主要な関心は、快楽の活用──その好ましい諸条件、その有益な実践、その必要な減少策──を、自分の身体への関心のもち方にもとづいて規定することに …

『性の歴史 II 快楽の活用』二(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 II 快楽の活用』新潮社1986年初版、「第一章 快楽の道徳的問題構成」を読んだ。《 設定される倫理問題とは、いかなる欲望、いかなる行為、いかなる快楽、なのではない。《快楽と欲望が》いかなる力をともなって人を動かすか、…

『性の歴史 II 快楽の活用』(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 II 快楽の活用』新潮社1986年初版を少し読む。 田村俶 (はじめ)「訳者あとがき」から。《 (1)第一巻『知への意思』は、性現象(セクシュアリテ)が禁欲的ブルジョワジーによって抑圧されてきたとの通年を出発点としていた…

『性の歴史 I 知への意思』五(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 I 知への意思』新潮社1986年初版、「第五章 死に対する権利と生に対する権力」を読んだ。昨日”圧巻。豊富過ぎる内容にクラクラする。 どう引用しても物足りない。”と書いたが、この最終章はさらに上を行く圧倒的な気圧に煽られ…

『性の歴史 I 知への意思』四(閑人亭日録)

昨日の「第三章 性の科学」で印象深い箇所を一つ。《 真理は、告白することによって、真理をすでに完成したものとして光のなかへともたらす主体というものにのみ存しているのではない。それは言わば「複式」で (簿記についてという意味)構成される。真理は…

『性の歴史 I 知への意思』三(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 I 知への意思』新潮社1986年初版、「第三章 性の科学」を読んだ。息を呑む展開。犀利な、じつに深い分析に驚く。ほんの少し引用。《 性そのものについては語ることができないか、あるいは語ることを拒否しているため、この科学…

『性の歴史 I 知への意思』(閑人亭日録)

ミシェル・フーコー『性の歴史 I 知への意思』新潮社1986年初版、「第一章 我らヴィクトリア朝の人間」を読んだ。《 そこから更に言えば、重要なのは、これらの言説的産物やこれら権力の作用が、性についての真実の表現へと導くのか、それとも反対に真実を隠…

二通の手紙(閑人亭日録)

味戸ケイコさんと北海道立函館美術館から手紙が届く。後者は、去年貸し出した味戸ケイコさんの絵四点があまりに素晴らしいので寄贈してほしいとの依頼に応えて寄贈。 その申し込み書。一緒に味戸さんからも手紙が届くとは。確定申告の疲れが吹っ飛ぶ。ブリュ…

「悲しき自伝」(閑人亭日録)

寺山修司の散文詩「悲しき自伝」は、半世紀ほど何かの折にふっとこころに浮かぶ。以下、中井英夫 解説『寺山修司青春歌集』角川文庫1972年初版、152-153頁。《 裏町にひとりの餓鬼あり、飢ゑ渇くことかぎりなければ、パンのみにては充たされがたし。胃の底に…

『TOKYO未来世紀』(閑人亭日録)

篠山紀信写真集『TOKYO未来世紀』小学館1992年2月10日初版が気になり、本棚から抜く。ブックオフで見かけて購入して以来、なにかと脳裏をよぎる。じっくり鑑賞。 今回も惹きつけられる。3日に話題にした月刊『太陽』1991年8月号「現代美術のアトラス」、19…

『六月の雨』(閑人亭日録)

歌人福島泰樹のカセットテープ『短歌絶叫 六月の雨』天耳社1986年刊(1985年6月20日ライヴ録音)を聴く。まさしく絶叫の歌。 https://www.youtube.com/watch?v=8hiEmRl78cU https://twitter.com/yasukizekkyo この後にギリシャの歌姫カテリーナ・ディノイ(K…

すごい芸術品(閑人亭日録)

優れたモノ=美術品は、鑑賞する人を揺り動かす、揺さぶる。そんな作用を及ぼさないモノは、それだけのモノ。すごい芸術品は、揺るがす。が、誰もがそんな体験をするわけではない。体験できるひとはごく少数だと、経験から思う。不遜な発言だが、地元では片…

『孤独な惑星』(閑人亭日録)

朝方、ふつうはみない夢をみた。自宅の近くに湯屋のような古い木造建築があり、そこが現代美術家会田誠のアトリエ兼展示場になっていて、夕暮れ時に初日開場。 床から天井近くまで多種多様、雑多な作品で溢れかえっている。うへぇ~と感嘆する私。知人女性た…

境界を越えてゆくモノ(閑人亭日録)

先だっての東京新聞の特集記事が日本画家の田中一村だった。美術史から外されているといったことが結びで書かれていた。味戸ケイコも北一明も美術史の蚊帳の外。 美術史とはなんだろう、と常々思っている。また、日本画洋画水彩画(一点もの)、イラスト画デ…

なぜアート~芸術に惹かれる?(閑人亭日録)

ネットをあちこち散策していて以下の情報に出合った。《 ミュージシャンのエミーが怒って警察官にブルーのペンキを投げつけたときには、イヴ・クラインやジャクソン・ポロックの名がアートを知らない市民の間でも知られる ようになり、その後警察の放水攻撃…

『水底の女』(閑人亭日録)

谷川渥『文豪たちの西洋美術』河出書房新社2020年初版、第一番は「夏目漱石のミレー」。『草枕』1906年で言及されているジョン・エヴァレット・ミレーの代表作 『オフィーリア』(1851-1852年)。評言の結び。《 温泉で湯煙(ゆけむり)の向こうにその姿を目…