2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

振動から震動へ/反芸術から氾芸術へ(閑人亭日録)

昨日の「震表現/氾芸術展」は、「振動から震動へ/反芸術から氾芸術へ」の意味。芸術作品は、鑑賞者を惹きつける、あるいは後ずさりさせる作用がある。それを心の振動作用とみなすと、心を震わす震動もありではないか、と。反芸術が標榜されるが、芸術から…

「震表現/氾芸術展」(閑人亭日録)

きょうは休日か。雨の休日。静かな朝。静かな昼過ぎ。夕方本降り。 コレクションを展示したくなる。コレクションをただ見せる=見せびらかすのはなく、自らの美術観に沿った展示。仮の題は「震表現/氾芸術展」。当然無料。 味戸ケイコの小さな絵とそれを拡…

『主権者のいない国』六(閑人亭日録)

白井聡『主権者のいない国』講談社2021年初版、「第五章 歴史のなかの人間」を読んだ。凄い分析力。とりわけ「五 アジア主義の廃墟に何が見えるか──『虹色の トロツキー』論」には刮目。後日まず再読する箇所だ。そして「終章 なぜ私たちは主権者であろうと…

『主権者のいない国』五(閑人亭日録)

白井聡『主権者のいない国』講談社2021年初版、「第四章 沖縄からの問い 朝鮮半島への想像力」を読んだ。蒙を啓かれる思い。凄い分析力。《 「繁栄」も同様である。戦後日本の経済発展を支えた吉田ドクトリン(軽武装・親米路線)は、沖縄に巨大な米軍基地を…

『主権者のいない国』四(閑人亭日録)

白井聡『主権者のいない国』講談社2021年初版、「第三章 新・国体論」を読んだ。この章もまた、じつに説得力のある、腑に落ちる論述だ。少し引用。《 「国体」とはそもそも何であったか。明治レジームが発明した国体とは、「万世一系の天皇を中心とする国家…

『主権者のいない国』三(閑人亭日録)

白井聡『主権者のいない国』講談社2021年初版、「第二章 現代の構造─新自由主義と反知性主義」を読んだ。凄い洞察力、分析力だ。付箋はやはり林立。天皇制と転向、 反知性主義など、じつに優れた論考だが、引用は省く。《 政治がかくもあからさまに反知性主…

『主権者のいない国』二(閑人亭日録)

白井聡『主権者のいない国』講談社2021年初版、「第一章 「戦後の国体」は新型コロナに出会った」を読んだ。ぐいぐい惹き込まれる。付箋が林立。《 安倍政権の七年余りとは、何であったか。それは日本史上の汚点である。 》 18頁《 私たちの再出発は、公正と…

『主権者のいない国』(閑人亭日録)

白井聡『主権者のいない国』講談社2021年初版を少し読む。「序章 未来のために想起せよ」から胸深く突き刺さる。3・11の時の東電。《 この幹部が懸念したのは、海水を注入された原子炉が使用不能になることだった。 》 8頁《 そして何よりも、この瞬間は、…

北一明の陶彫芸術(閑人亭日録)

初夏の陽気の良い天気に誘われて、北一明の茶碗を数点、日にかざして鑑賞。やはりこのような作品は余人の追随を許さない。掌にとってじっくり見ないと、その魅力には気づきにくいかもしれない。四十年近く手にしてきても、今もって発見がある。ま、鑑賞眼が…

『カオス・領土・芸術』再読・六(閑人亭日録)

エリザベス・グロス『カオス・領土・芸術 ドゥルーズと大地のフレーミング』法政大学出版局2020年初版、「第三章 感覚──大地・民衆・芸術」を読了。アポリジニの 芸術への論及で論は結ばれる。再読終了。《 これは概念によって理解される芸術ではない。その…

『カオス・領土・芸術』再読・五(閑人亭日録)

エリザベス・グロス『カオス・領土・芸術 ドゥルーズと大地のフレーミング』法政大学出版局2020年初版、「第三章 感覚──大地・民衆・芸術」を少し読んだ。 じつに密度の濃い論述がつづく。付箋は林立。《 いかなる種類の芸術も、感覚する身体全体を通して共…

『カオス・領土・芸術』再読・四(閑人亭日録)

エリザベス・グロス『カオス・領土・芸術 ドゥルーズと大地のフレーミング』法政大学出版局2020年初版、「第三章 感覚──大地・民衆・芸術」を少し読んだ。 ワクワク、ゾクゾクする強靭な論述に平伏~。少し引用。《 芸術とは強度化するもの、感覚を生みだす…

『カオス・領土・芸術』再読・三(閑人亭日録)

エリザベス・グロス『カオス・領土・芸術 ドゥルーズと大地のフレーミッング』法政大学出版局2020年初版、「第二章 振動──動物・性・音楽」を読んだ。圧倒された。 なんと密度の濃い内容だろう。全部引用したくなる。が、章の結末近くから引用。《 芸術とは…

『カオス・領土・芸術』再読・二(閑人亭日録)

エリザベス・グロス『カオス・領土・芸術 ドゥルーズと大地のフレーミッング』法政大学出版局2020年初版、「第二章 振動──動物・性・音楽」を少し読んだ。《 私たちは、芸術と科学の関係を次のようなものとして理解することができるかもしれない。すなわち協…

『カオス・領土・芸術』再読・一(閑人亭日録)

E・グロス『カオス・領土・芸術 ドゥルーズと大地のフレーミッング』法政大学出版局2020年初版、「第一章 カオス──コスモス・領土・建築」を再読。四十頁だが、 じつに濃密な論述だ。去年読んだようだが、すっかり忘れていた・・・。こんなに凄かったか。付…

「青空、ひとりきり」(閑人亭日録)

井上陽水のベスト盤をかけていて、♪青空、ひとりきり♪に耳がそばだった。「青空、ひとりきり」作詞作曲井上陽水。その歌詞の一部。 ♪ 浮雲 ぽっかり浮雲 ひとりきり ♪ ♪ 青空 あの日の青空 ひとりきり ♪ アルバム『招待状のないショー』1976年3月25日発売に…

なにも(し)ない一日(閑人亭日録)

ぼーっとして一日が終える。明日に延ばせることは明日に延ばす。お尻がすり減ったので、履き古したジーンズをストレッチ・ジーンズに替える。友だちは、少しはカッコいい、と言う。ジジイは少しはカッコつけろ、と言うので、これ以上カッコ良くなりたかあな…

『 TOKYO BOUND 』(閑人亭日録)

午前五時過ぎ、小鳥の囀りでふっと目覚め。そしてジャズ・ピアニスト、マル・ウォルドロン のアルバム『TOKYO BOUND』1970年録音収録の「 MOUNT FUJIYAMA 」が 不意に降りてきた。 https://en.wikipedia.org/wiki/Tokyo_Bound ”富士山の漆黒の胎内に滴る一滴…

『ザ・サイドワインダー THE SIDEWINDER 』(閑人亭日録)

トランペッター、リー・モーガン『ザ・サイドワインダー THE SIDEWINDER 』1963年録音をCDで聴く。LPレコード時代には気づかなかった名盤。一聴で惚れた。 https://www.youtube.com/watch?v=qJi03NqXfk8 続く「トーテム・ポール TOTEM POLE 」も大好きな…

『バラード  Ballads 』(閑人亭日録)

ジョン・コルトレーン『バラード Ballads 』1961、1962年録音を聴く。物静かな演奏を聴くと、ウィスキーかリキュールを飲みたくなる。今回も。しかし、飲むと記事を書けない。たいしたことは書けないけれど、キーボードを打てなくなるから・・・。大人のジャ…

『 変遷/ TRANSITION 』(閑人亭日録)

ジョン・コルトレーンの死後に発表された『 変遷/ TRANSITION 』1965年録音を聴く。解説冒頭には”このレコードはつい最近アメリカで発売になったばかりのもので、 もちろん今までに発売された事のない作品を収めたものである。”。新宿東口にあったジャズ喫…

『至上の愛 A Love Supreme』(閑人亭日録)

起き抜けにある演奏の一節が浮かんだ。ジャズ・サックス奏者ジョン・コルトレーンの名作『至上の愛 A Love Supreme』1964年録音。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%B3%E4%B8%8A%E3%81%AE%E6%84%9B 半世紀ほど前に購入したLPレコードを久しぶりにかけ…

『哲学漫想』十(閑人亭日録)

山崎正和『哲学漫想』中央公論社2021年初版、「 IV 」章を読んだ。書評をまとめたもの。《 私見だが、国家とは風俗習慣の共通性を基盤とし、それが生む法と制度によってさらに紐帯を強められ、この循環のもとで歴史的に熟成された共同体である。 》 278頁 遠…

『哲学漫想』九(閑人亭日録)

山崎正和『哲学漫想』中央公論社2021年初版、「 III 」章後半を読んだ。「あいちトリエンナーレ」が読ませる。《 要は、主張は自らの自由にこだわるが、表現にはそんな執着は初めから存在しないのである。 ちなみに歴史を振り返ると、文明の中で表現と主張は…

『哲学漫想』八(閑人亭日録)

山崎正和『哲学漫想』中央公論社2021年初版、「 III 」章を少し読んだ。《 振り返って人類の歴史を見れば、そもそも価値の文明史はその内部に個人の死と世代交代を含み、伝承の流れに随時の断絶があればこそ発展してきた。 断絶なくただ続くのは惰性的な因習…

『哲学漫想』八(閑人亭日録)

山崎正和『哲学漫想』中央公論社2021年初版、「 III 」章を少し読んだ。《 振り返って人類の歴史を見れば、そもそも価値の文明史はその内部に個人の死と世代交代を含み、伝承の流れに随時の断絶があればこそ発展してきた。 断絶なくただ続くのは惰性的な因習…

『哲学漫想』七(閑人亭日録)

山崎正和『哲学漫想』中央公論社2021年初版、「 II 史談は猥談より面白い──『日本史のしくみ』新装版あとがき」を読んだ。《 まず林屋辰三郎さんだが、単行本のあとがきで梅棹忠夫さんが書いているとおり、この人は現代の日本史学会で通史の書けるおそらく唯…

『哲学漫想』六(閑人亭日録)

山崎正和『哲学漫想』中央公論社2021年初版、「 II 浩宮の始球式──「人間・象徴」天皇制の不条理」を読んだ。《 昭和天皇の「人間宣言」以来、天皇が人間であることは大前提だが、その人間が社会的に何らかの職業的役割を持ち、何かに生きがいを感じて生きら…

『哲学漫想』五(閑人亭日録)

山崎正和『哲学漫想』中央公論社2021年初版、「哲学漫想4 リズムの発現と言語文明」を読んだ。《 まず言葉はその起源の点でまったく偶然的であって、理由も由来もなく生まれているくせに、あたかも天の摂理のような強制力を帯びて人を動かしている。 》 101…

『哲学漫想』四(閑人亭日録)

山崎正和『哲学漫想』中央公論社2021年初版、「哲学漫想3 リズムの哲学再考──反省と展開への期待」後半を読んだ。《 こうして変化し続ける事物はそのこと自体によって、事物の「変わらない」アスペクトの存在を証し立てる。 》 81頁《 「私」の同一性は変化…