2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大事な落とし物(閑人亭日録)

朝、一昨日の作業で拾えなかった、板橋の下の深みの茶碗のカケラをトラハサミで取ることを思いついて早速実行。狭い板橋に腹ばいになり、手を伸ばしトラハサミで 茶碗のカケラを挟む。が、氷山の一角のように埋もれている。周囲をガシガシ削る。ハサミの先端…

『太平洋戦争への道 1931-1941』三(閑人亭日録)

半藤一利・加藤陽子・保阪正康[編著]『太平洋戦争への道 1931-1941』NHK出版新書2021年6刷を読んだ。《 盧溝橋自演からの日本と中国との関係は、日本の奢り、高ぶりに因を求めることができると考えていい。その理由を自覚することは、昭和史と向き合っ…

『太平洋戦争への道 1931-1941』ニ(閑人亭日録)

半藤一利・加藤陽子・保阪正康[編著]『太平洋戦争への道 1931-1941』NHK出版新書2021年6刷を読んだ。《 まさに、ものごとの最初に「大ウソ」をついてしまった人間の陥る隘路にはまってしまったわけです。/加藤 》 77頁 安倍政権・・・。引用したい箇所…

『太平洋戦争への道 1931-1941』(閑人亭日録)

半藤一利・加藤陽子・保阪正康[編著]『太平洋戦争への道 1931-1941』NHK出版新書2011年6刷を少し読んだ。信を置く三人の識者の平明な語りと文で、すいすいと 読んでしまう。わくわく、だが、ふっと要点を読み落としてしまう恐れ。腰を据えてゆっくり、…

ギフトブック、ギフト文庫(閑人亭日録)

ミニ・ブック、ギフトブック、ギフト文庫の変遷についてメモ。 [ヤマナシ ミニ・ブック] 1967年(株)山梨シルクセンター出版部。函入堅表紙小型本。 『物語詩 恋するミニ』トシコ・ムトー 1967年12月7日 定価180円(所有) 『愛する歌』やなせ・たかし 『…

『12月のソルベーグ』(閑人亭日録)

本棚から抜いた本、結城英雄『「ユリシーズ」の謎を歩く』集英社1999年初版を本棚へ返す。 水野英子『12月のソルベーグ』サンリオ・ギフトブック1976年12月30日初版を読んだ。少女趣味といえば少女趣味の詩だ。寺山修司の詩のようなヒネリはない。 誤字はあ…

『ユリシーズ』解説ニ(閑人亭日録)

きょうの東京新聞、内藤理恵子「やわらか文化論3 ポップカルチャーのススメ」から。《 ポップカルチャーが「商品」である以上、他の作品との差異化を図るためにもクリエーターたちは古今東西の宗教や民俗を組み合わせて新しいものを創作し続けています。中…

『ユリシーズ』解説(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ III 』集英社1997年初版(元版は1922年刊行)、解説、丸谷才一「巨大な砂時計のくびれの箇所」を読んだ。《 ヘンリー・ジェイムズの『使者たち』のやうに現実の不可知性を中心部に据ゑても、謎は単純だつたり大味だつたり…

『ユリシーズ』ニ十(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ III 』集英社1997年初版(元版は1922年刊行)、「第三部 18 ペネロペイア」を読んだ。《 ええあたしは軍人の娘ですよでもお前さんがた4りん馬車かと思ってましたわ手おし車でしたのあの女たちなんか腰をぬかして気ぜつ…

『ユリシーズ』十九(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ III 』集英社1997年初版(元版は1922年刊行)、「第三部 18 ペネロペイア」を少し読んだ。前解説。《 この挿話は八つのパラグラフで出来ていて、アポストロフィーもカンマもなく、フルストップは二つあるだけ。 》 454頁…

『ユリシーズ』十八(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ III 』集英社1997年初版(元版は1922年刊行)、「第三部 17 イタケ」を読んだ。問答ばかり。《 彼がいつも最後に熟考するのは何であったか? なにか絶対無比な広告。通行人が驚いて立ちどまるような。斬新なポスターで、…

『ユリシーズ』十七(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ III 』集英社1997年初版(元版は1922年刊行)、「第三部 17 イタケ」を少し読んだ。前解説。《 文体は、衒学的な多綴語を多用した極めて抽象的な言葉づかいによる一問一答で書かれているが、誰かわからない二人の学者に…

『ユリシーズ』十六(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ III 』集英社1997年初版(元版は1922年刊行)、「第三部 16 エウマイオス」を読んだ。前解説には、《 文体は勿体ぶっていて、まわりくどく、常套句が多い。 》 とあるが、前の挿話のように読みにくくはない。 曇りの一日…

『ユリシーズ』十五(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ III 』集英社1997年初版(元版は1922年刊行)、「第ニ部(続) 15 キルケ(続)」を読んだ。前解説。《 再び言う。この挿話は戯曲体で書かれた夢幻劇である。怪奇映画のシナリオに近いとも言える。現実幻覚とを分けたが…

『ユリシーズ』十四(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ II 』集英社1996年初版(元版は1922年刊行)、「第ニ部(続) 15 キルケ」を読んだ。この挿話は第三巻に続く。ふう。 ネット、うろうろ。《 古語辞典一つあれば千年前の古典でも読めるという国語教育をしている国っても…

『ユリシーズ』十三(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ II 』集英社1996年初版(元版は1922年刊行)、「第ニ部(続) 14 太陽神の牛」を読んだ。《 (前略)一座の徒輩(ともがら)みな冗談(むだくち)に耽り、浮かれ騒ぎてありし当下(そのとき)、(引用者・略)何の故ぞと…

『ユリシーズ』十ニ(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ II 』集英社1996年初版(元版は1922年刊行)、「第ニ部(続) 14 太陽神の牛」を少し読んだ。前解説から。《 この挿話の場合はとりわけ、書き方が重要である。ここは、(1)古代英語からマロリー『アーサー王の死』、デ…

『ユリシーズ』十一(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ II 』集英社1996年初版(元版は1922年刊行)、「第ニ部(続) 13 ナウシカア」を読んだ。これまでで一番読みやすかった。 知らない言葉、299頁1199行、白帯下(しらち)。広辞苑には「白帯下(はくたいげ)の異称。」。…

『ユリシーズ』十(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ II 』集英社1996年初版(元版は1922年刊行)、「第ニ部(続) 12 キュクロプス」を読んだ。呑んべえ酒場の呑んべえ。《 ──おめえ、がちがちの禁酒主義かね? とジョーは言う。 ──飲むときから飲むときまでは、一滴もやら…

『ユリシーズ』九(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ II 』集英社1996年初版(元版は1922年刊行)、「第ニ部(続) 11 セイレン」を読んだ。言葉の連想、連弾、飛躍。翻訳で 味わえぬ和訳。 昼前、源兵衛川中流部、三石神社横の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。重くなり終了…

『ユリシーズ』八(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ I 』集英社1996年2刷(元版は1922年刊行)、「第ニ部 10 さまよう岩々」を読んだ。《 あの女、腹帯の下にデアラハントのポートワインをたっぷり詰めこんだからな。おんぼろ馬車ががたつくたびにゆさゆさぶつかってくる。…

『ユリシーズ』七(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ I 』集英社1996年2刷(元版は1922年刊行)、「第ニ部 9 スキュレとカリュブディス」を読んだ。シェイクスピアについての 談論風発が面白い。が、内容はわからん。《 あらゆる人生は多くの日々です。明けては暮れる毎日で…

『ユリシーズ』六(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ I 』集英社1996年2刷(元版は1922年刊行)、「第ニ部 8 ライストリュゴネス族 」を読んだ。 ネット、うろうろ。《 A:国によって様々です。カオナシの登場で「シーン」となる国もあれば、爆笑に包まれる国もありました。宮…

『ユリシーズ』五(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ I 』集英社1996年2刷(元版は1922年刊行)、「第ニ部 7 アイオロス 」を読んだ。 寝る子は育つというが、よく寝る老人はどうなんだろう。起きない老人って、そりゃ寝たきり老人だろう。目覚ましをかけなかったので十一時…

『ユリシーズ』四(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ I 』集英社1996年2刷(元版は1922年刊行)、「第ニ部 6 ハデス 」を読んだ。255頁651行に”影法師”。 本屋で『ヴァージニア・ステレット』マール社2021年11月20日初版を受けとる。 https://www.maar.com/shop/art/art-art/…

『ユリシーズ』三(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ I 』集英社1996年2刷(元版は1922年刊行)、「第ニ部 4 カリュプソ 」「ニ部 5 食蓮人たち 」を読んだ。 午前十時半前、小雪が降り始める。夕暮れには雨に。 ネット、うろうろ。《 単線と富士山がいい感じだから見て。 …

『ユリシーズ』ニ(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ I 』集英社1996年2刷(元版は1922年刊行)、「第一部 2 ネストル」本文だけを読むと地味な小説だが、下の注釈を読むとまあ、 複雑な、万華鏡のような変転変貌。「第一部 3 プロテウス」を読んだ。目眩く変幻……。《 どこ…

『ユリシーズ』(閑人亭日録)

ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ I 』集英社1996年2刷(元版は1922年刊行)、「第一部 1 テレマコス」を読んだ。 午後、源兵衛川中流部、三石神社脇の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。小さいモノばかりなので重くなるまでに去年より時間がかかる。重くなっ…

『ドガ ダンス デッサン』五(閑人亭日録)

ポール・ヴァレリー『ドガ ダンス デッサン』岩波文庫2021年11月12日初版を読んだ。《これこそが重要な点である。官能の楽しみが、消滅しつつある。もはや愉しむ術を人びとは知らないのだ。われわれが求めているのは強度、巨大さ、速度、中枢神経に 最短距離…

『ドガ ダンス デッサン』四(閑人亭日録)

ポール・ヴァレリー『ドガ ダンス デッサン』岩波文庫2021年11月12日初版を少し読んだ。《 彼はまた、こうも言っていた。「絵画は、何も知らないうちは、それほど難しいものではない……。けれどもいったん知ってしまうと……ああ、その時は……まったく 別物にな…