2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『縄文論』八(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二○二二年一一月一○日第一刷発行、「まれびと論」、「まれびとと祝祭──呪術の論理」を読んだ。《 まれびとは海の彼方にある異界にして他界、「妣(はは)が国」(母たちの国)から、時を定めてやってくる神にして人である。 》 236…

『縄文論』七(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二○二二年一一月一○日第一刷発行、「南島論」を読んだ。吉本隆明『南島論』について。これまた瞠目する論述だ。脱帽。《 家族とは何か、共同体とは何か。あるいは、家族や共同との軋みのなかではじめてあらわとなる個とは何か。そう…

『縄文論』六(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二○二二年一一月一○日第一刷発行、「縄文論」後半を読んだ。自らの知識不足(と偏見)を実感。特にアイヌの人々について。そして知識が一新される快感。《 しかし、それでもなお、今日、文学(芸術)はあまりにも文学的(芸術的)に…

『縄文論』五(閑人亭日録)

昨日、「場所論」の「3 光り輝く暗黒」を読んでいていて北一明の耀変茶碗を連想した。《 光り輝く宝石、光り輝く透明な珠の連なりを想像してみればよい。光り輝く宝石が連ねられたとき、現実には決して存在せず、ただ潜在的にしか存在していなかった光の線…

『縄文論』四(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二○二二年一一月一○日第一刷発行、「場所論」後半を読んだ。あまりに深い洞察にただ瞠目。息を呑む。理解が・・・追いつかぬ。《 ラフカディオ・ハーン、西田幾多郎、鈴木大拙、エマヌエル・スウェーデンボルグ。これらの出会いは、…

『縄文論』三(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二○二二年一一月一○日第一刷発行、「場所論」を半分ほど読んだ。驚嘆。付箋が林立。《 しかし、未知なる表現の未来は、そうした「奇怪」で無惨な廃墟からしか生まれてこない。 》 80頁《 現象即実在にして相対即絶対、一即多にして…

『縄文論』二(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二○二二年一一月一○日第一刷発行、「草原論」を読んだ。すごい熱量。《 私の真の意図としては、「近代」はもはやヨーロッパだけにとどまらず、この極東の列島をも巻き込んだ「学」の再編にして、「表現」の再編をともなっていること…

『縄文論』(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二○二二年一一月一○日第一刷発行、「はじまりの場所へ──『縄文論』序」を読んだ。冒頭から興奮。《 『縄文論』として一冊にまとめられたこの書物は、人間にとって原初的な存在の在り方、原型的な思考の在り方、原型的な表現の在り方…

『女?現地ルポ』二(閑人亭日録)

田中小実昌『女?現地ルポ』秋元書房昭和44年6月25日発行を読んだ。《 開館一周年記念謝恩特別番組ヌード座長大会と称して、関西では人気のある、いわゆる特出しさんたちが六人、ずらりと、看板に名前をならべていた。 黒人ヌード アン・ヒギンズ 歌う芸者 …

『女?現地ルポ』(閑人亭日録)

田中小実昌『女?現地ルポ』秋元書房昭和44年6月25日発行を少し読んだ。 https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=415994253 裏表紙カバー「ピンクの世界とぼく」冒頭。《 テレビ局のひとが、ぼくをさがしたがわからず、タナカ・コミマサの…

愉しい出合いが続く(閑人亭日録)

この数日、ジェットコースターに乗っている(乗ったことはないが)ような出来事が続いた。一昨日は、出合った某作家(まだ名前を知らない故人)の木版画の 原寸大の複製画を沼津市の仲見世通りの画材店に持ち込む前に、友だちと平成建設会社本社で木工課長に…

協働作業(閑人亭日録)

午後一時、青山学院の学生四十人ほどを迎えて、源兵衛川中流部、三石神社のゴミ拾いとその下流の雑草の刈り取りなどをする。午後四時終了。若い人は 元気。つられてついつい頑張ってしまう。終わってヘトヘト。ま、久しぶりに味わう楽しい疲れ。 ネット、う…

『ポロポロ』四(閑人亭日録)

田中小実昌『ポロポロ』中央公論社昭和五十四年五月二十日発行、第四篇「鏡の顔」を読んだ。《 便所といっても野っ原にほそ長い穴を掘り、それに、両足をかける板がわたしてあるだけのもので、兵長は、雑草をひっこぬいてきては、便所のそばで、飯盒で煮て …

村上芳正(閑人亭日録)

夕方疲れて帰宅。先だって亡くなった画家村上芳正のことで、某女性画家のツイッターの記事の削除をお願いできないかとのメールが知人から届く。 今は縁のない女性なので、対応に悩む。暫くして知人から削除されたとのメール。やれやれ。そんなこんなで読書は…

『ポロポロ』三(閑人亭日録)

田中小実昌『ポロポロ』中央公論社昭和五十四年五月二十日発行、第三篇「魚撃ち」を読んだ。《 くりかえすが、ひとつの部屋にひとりで寝るなどというのは、ぜいたくきわまりないことだった。山口の聯隊に入営したときも、三畳ぐらいの面積のところに、 十な…

『ポロポロ』二(閑人亭日録)

田中小実昌『ポロポロ』中央公論社昭和五十四年五月二十日発行、第二篇「北川はぼくに」を読んだ。《 昭和十九年の十二月二十四日ごろ、ぼくたちは山口の聯隊に入営した。 》 37頁《 演習にいったさきは南京郊外だったのだろう。冬枯れの丘や畑などがあった…

『ポロポロ』(閑人亭日録)

田中小実昌『ポロポロ』中央公論社昭和五十四年五月二十日発行、表題作「ポロポロ」を読んだ。《 こんなふうに、記されたことでは、異言には、こういう意味があったというような場合がそれこそ記されているが、実際には、口ばしっている本人にも他人にも。 …

『この国の戦争』七(閑人亭日録)

奥泉光・加藤陽子『この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか』河出新書二○二二年六月三○日初版、「III 太平洋戦争を「読む」」を読んだ。《 奥泉 この第III部では、手記や日記、文学作品などを取り上げてみたいと思います。 》 209頁《 加藤 太平洋戦争を理解す…

『この国の戦争』六(閑人亭日録)

奥泉光・加藤陽子『この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか』河出新書二○二二年六月三○日初版、「II なぜ始めたのか、なぜ止められなかったのか」を読んだ。 じつに複雑な開戦までのいきさつ。《 奥泉 冷静に考えていくと、変な言い方ですが、開戦は仕方ないと…

『この国の戦争』五(閑人亭日録)

奥泉光・加藤陽子『この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか』河出新書二○二二年六月三○日初版、「II なぜ始めたのか、なぜ止められなかったのか」を少し読んだ。《 加藤 軍部というものが、度しがたい集団だということは、次のような内部資料からも察せられま…

『この国の戦争』四(閑人亭日録)

奥泉光・加藤陽子『この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか』河出新書二○二二年六月三○日初版、「II なぜ始めたのか、なぜ止められなかったのか」を少し読んだ。《 加藤 南に眼が向くと、南方地域の植民地の宗主国は、フランス、イギリス、オランダである。こ…

『この国の戦争』三(閑人亭日録)

奥泉光・加藤陽子『この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか』河出新書二○二二年六月三○日初版、「II なぜ始めたのか、なぜ止められなかったのか」を少し読んだ。《 加藤 以上をまとめますと、満蒙とは、南満州と東部内蒙古を合わせた地域を日本やロシアが名付…

『この国の戦争』二(閑人亭日録)

奥泉光・加藤陽子『この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか』河出新書二○二二年六月三○日初版、「1 太平洋戦争とは何かを考えるために」を読んだ。《 加藤 明治維新が一八六八年とすれば、太平洋戦争の敗北まで七七年が経過していた。このくらいの時間のスパ…

灯台下暗し/つりたくにこ(閑人亭日録)

昼前、奥のお寺の庫裡へ友だちと所用で行く。玄関脇の壁に見慣れない木版画が掛かっている。源兵衛川と三石神社を上流の橋から描いた青い色調の木版画に釘付け。 堰に留まる水面(みなも)の水輪。堰の下流の水の流れ。筆でさらっと描いたような軽快にしてな…

『この国の戦争』(閑人亭日録)

奥泉光・加藤陽子『この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか』河出新書二○二二年六月三○日初版を少し読んだ。《 だが、いま求めらるべきは、昭和とは違う「戦前」、戦争をしないための「戦前」体制の構築である。 そう考えるとき、昭和「戦前」体制がどうしてあ…

予想外の展開(閑人亭日録)

朝、源兵衛川中流部、三石神社横の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。流水量は少し減ったが、流れは速い。足を取られぬように慎重に動く。殆どが小さい破片ばかり。 減ったものだ。見落としていたヒメツルソバを抜く。帰宅。シャツ一枚なのに汗ばむ。コーヒーが…

松田晴世/ハリス・アレクシーウ(閑人亭日録)

松田晴世「松田晴世の世界」 https://www.youtube.com/watch?v=GiZBGEYfsoQ 東京・青山のビクター・スタジオでのビデオ収録に立ち会った。 松田晴世資料館 https://sound.jp/haruyo/ https://kotobank.jp/word/%E6%9D%BE%E7%94%B0%20%E6%99%B4%E4%B8%96-1674…

「美は切片に顕れる」(閑人亭日録)

秋の大通商店街まつり。先月23日(日)に続いて歩行者天国。前回、内野まゆみさんは、小さな正方形の木片に伊豆箱根鉄道駿豆線の電車の絵を描いたモノを展示、 販売。好評だった。きょうは、同じ大きさの木片に、源兵衛川で私が回収してきた茶碗のカケラを…

1970年代の女性歌手(閑人亭日録)

1970年代の女性歌手では、三羽烏、彼女たちの昏い歌に耽った。レコード盤、CDの両方をもっている。 藤圭子「圭子の夢は夜ひらく(昭和45年)」 https://www.youtube.com/watch?v=uA4zPftILJ8 浅川マキ「ちっちゃな時から」 https://www.youtube.com/watch?…

72歳(閑人亭日録)

72歳になった。ここまで生きるとは、若い頃には思っていなかった。 昨日気づかなかったが、「久原大河」の検索、トップページに私の拙文「才難は、この若者に降りかかった」があった。 http://web.thn.jp/kbi/taiga.htm 苦笑するしかねえなあ。久原クン、…