2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

藤富保男の詩・つづき(閑人亭日録)

主宰者の御沓幸正氏から恵まれた同人誌『吟遊星 No.5 藤富保男特別号』吟遊星団1978年6月30日発行を久しぶりに開く。ほぼ全頁80余頁が藤富保男の特集。寄稿者は 加藤郁乎、窪田般彌、川崎洋、多田智満子、奥成達、飯田善国、白石かずこ、諏訪優ほか錚々たる…

藤富保男の詩(閑人亭日録)

塚本邦雄監修『現代詩コレクション』書肆季節社1990年刊には、藤富保男の詩は四篇+魔法の家(抄)八篇が収録されている。魔法の家(抄)から「今」全篇。《 今日は彗星の出る日なので 犬も 牧師も とんぼも 口を開けて待ちかまえていた 》『日本のライト・…

『のはらうた』(閑人亭日録)

『現代詩手帖』1969年12月号「現代詩年鑑'70」思潮社、「今年の代表作」では、安藤元雄、入沢康夫、金井美恵子、渋沢孝輔、高橋睦郎、山本太郎、渡辺武信が、 岩成達也の詩(一昨日引用した詩、他)を挙げている。山本太郎は、工藤直子「恋するくじら」も挙…

『暖爐棚上陳列品一覧』(閑人亭日録)

『日本のライト・ヴァース1 谷川俊太郎 編 長新太 絵 暖爐棚上陳列品一覧』書肆山田1980年初版を開く。昨日の塚本邦雄監修『現代詩コレクション』と違って、 これは縦15.5cm×横13cm、百頁ほどの軽い堅表紙本。詩集関連では最もよく読んだ本の一つだろう。収…

『現代詩コレクション』(閑人亭日録)

塚本邦雄監修『現代詩コレクション』書肆季節社1990年12月1日上梓を久しぶりに開く。八百六十頁超の厚い本に知らない詩人、知らない詩がいっぱい。大岡信の詩は 五篇が選ばれている。「大佐とわたし」「地名論」「石と彫刻家」「壜とコップのある」「少年」…

黒の相貌(閑人亭日録)

富士山の日。富士山頂の今朝の最低気温-22,3℃。 味戸ケイコさんは、紙の繊維をつぶさないように黒鉛筆を紙上に動かすことを延々と続け、反射しない黒の表現を生み出した。 http://web.thn.jp/kbi/ajie.htm 北一明氏は、炎の主導権を握り、黒が雷光へと変幻…

現代詩と「言語空間」(閑人亭日録)

昨日の『言語空間の探検』解説を、『大岡信著作集第六巻』青土社1977年11月25日発行収録、「現代詩と「言語空間」」であらためて読んだ。半世紀余り読んでいるが、 読むたびに新たな発見がある。《 「言語空間」というとき、人が直観的に感じとる「空間」と…

『言語空間の探検』(閑人亭日録)

東京新聞きょうの運勢。《 名詩誦して憂苦を離れ明日の飛躍を迎えよ 》 疲れ気味のきょう、大岡信 編集『全集・現代文学の発見 第十三巻 言語空間の探検』學藝書林1969年2月10日第1刷刊を開く。大岡信の解説結び。《 また、現代短歌、現代俳句の代表的作品…

美術史とは異なった水脈(閑人亭日録)

未明にふと目覚め、味戸ケイコさんの初期の絵に見られる特徴、その魅力の源が浮かんだ。やはり彼女の絵は近現代の美術史とは異なった水脈にあるとあらためて直感。 手がかりとして「風景」に関する本を読もうと思っていたら以下のサイトに出合った。なかなか…

昭和のオーディオ体験(閑人亭日録)

午前、源兵衛川中流部、源兵衛橋上流の草刈りを八人で作業。一時間あまりで終了。 午後、友だちの用事に付き添って帰宅すると小雨がぽつぽつ。洗濯物を素早く取り込む。やれやれ。黄昏れてゆく雨の夕景。音楽を聴く。というよりも音楽に全身浸る。 イアホン…

『メビウスの地平』(閑人亭日録)

昨日の角宮悦子歌集『ある緩徐調』後半の短歌、三首。 腕時計の細き鎖に挟み行く海までのバスの青き切符を 背後より抱かるるとき幾千の星が打ち合ふ閉ぢし瞼に 魂の飛翔を焦がれ行くときも地は刺青のごとき木の影 永田和宏歌集『メビウスの地平』茱萸叢書 限…

『ある緩徐調』(閑人亭日録)

角宮悦子歌集『ある緩徐調』短歌新聞社1974年7月15日刊を開く。三種類の付箋が貼ってある。付箋を剥がし新たな気持で再読。好みを少し。 純白のトックリセーター着て行くはひそかにイブの血を隠すため 抱へたる薊に刺されて乳房あり告白するときめてはおらぬ…

『晩秋挽歌』(閑人亭日録)

昨日白金、貴金属のことをあげたら今朝、こんな記事。《 金も銀も8種の貴金属全部混ぜた合金 白金の触媒はるかに超える力 》 朝日新聞ゲジタル https://news.yahoo.co.jp/articles/175c6e0c0f7f288692bae45496e3975dab6d5c07 福島泰樹歌集『晩秋挽歌』茱萸叢…

金(閑人亭日録)

睡眠からふっと覚めて浮かんだこと。純金の延べ棒のような白金(プラチナ)の延べ棒を見たことがない。指輪や貴金属、金相場に縁がなかったからかな。 それは措いて。平野歩夢選手がオリンピックスノーボード男子ハーフパイプで金メダルを獲得した時のインタ…

『今日のアニミズム』六(閑人亭日録)

奥野克巳・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年初版、「第六章 対談II 」を読んだ。実に深い内容。引用は難しい。 http://www.ibunsha.co.jp/new-titles/978-4753103669/《 清水 しかし近代主義の通念で、まかりなりにもサイエンスを発展させてきたこ…

『今日のアニミズム』五(閑人亭日録)

奥野克巳・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年初版、「第五章 アニミズム原論──《相依性》と情念の哲学」清水高志を読んだ。 http://www.ibunsha.co.jp/new-titles/978-4753103669/《 この自然との出会い、繋縛を離れた自由な自己との遭遇が、アニミ…

『今日のアニミズム』四(閑人亭日録)

奥野克巳・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年初版、「第四章 他力論的アニミズム」奥野克巳を読んだ。 http://www.ibunsha.co.jp/new-titles/978-4753103669/《 本章では、アニミズムを、自力ではなく他力によって、つまり人間の力ではなく目に見え…

『今日のアニミズム』三(閑人亭日録)

奥野克巳・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年初版、「第三章 対談I」奥野克巳X清水高志を読んだ。 http://www.ibunsha.co.jp/new-titles/978-4753103669/《 清水 根源的な二項対立が調和されている世界は、すでに見たように、「~であるのでもなく…

『今日のアニミズム』二(閑人亭日録)

奥野克巳・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年初版、清水高志「第二章 トライコトミー(Trichotomy)(三分法)、神、アニミズム」を読んだ。 http://www.ibunsha.co.jp/new-titles/978-4753103669/《 科学の対象を関係づけ、記述する主体が、その主…

『今日のアニミズム』(閑人亭日録)

奥野克巳・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年初版を少し読んだ。 http://www.ibunsha.co.jp/new-titles/978-4753103669/《 本書は、人類に普遍的に見られるアニミズムと呼ばれる思考と、そこで見出される自然を徹底して考察し、思想としてそれがどれ…

『帆・HAN30号』(閑人亭日録)

歌人佐藤よしみさんから個人誌『帆・HAN30号』が届く。冒頭一首。 下村光男氏逝く 秋晴れのまことかなしき陽を浴びて人は逝きしか鞦韆揺るる 亡くなったとは。鞦韆(しゅうせん)とはぶらんこのこと。下村光男といえばこの歌。 海ホテルとおく他界のご…

「ジョージ・ミラー:FILMMAKERS/名監督ドキュメンタリー<映画製作の舞台裏>」(閑人亭日録)

「ジョージ・ミラー:FILMMAKERS/名監督ドキュメンタリー<映画製作の舞台裏>」を YouTube で視聴。惹き込まれた。 https://www.youtube.com/watch?v=aQrnLK-SBI0&t=1s《 雷鳴に耳を閉ざし、小鳥のさえずりを聞く 》《 単純化した複雑さ 》 といった発言に…

古い画集の効用(閑人亭日録)

美術雑誌『國華』で見た柴田是真『鬼女圖』(王子稲荷神社蔵)を、ネットの画像で見るとずいぶんと劣化している。百年前は保存状態が良かったが。 美術画集を初めて買ったのは、1970年頃平凡社から出ていた『ファブリ世界名画集』だった。全60巻のうち『36 …

『日本名畫百選 下巻』(閑人亭日録)

晴天。東京美術學校編輯『日本名畫百選 下巻』審美書院明治39年10月25日発行を開く。室町時代から江戸時代まで45畫を収録。 第八十一 曾我蕭白筆黄石公張良圖屏風畫 第八十二 勝川春草筆七美人圖 第八十三 圓山応擧筆鯉魚圖 第八十四 長澤蘆雪筆墨竹圖 第八…

『ホーニヒベルガー博士の秘密』(閑人亭日録)

ミルチャ・エリアーデ『ホーニヒベルガー博士の秘密』福武文庫1990年初版(原著は1940年刊)を再読。一気読み。じつに興味深い。帯の惹句。《 時空間の超越、ユートピア伝説、永劫回帰を描く幻想小説。 》 堪能。併録の一編は見送り。先行するジェームズ・ヒ…

『ムントゥリャサ通りで』ニ(閑人亭日録)

ミルチャ・エリアーデ『ムントゥリャサ通りで』法政大学出版局1977年初版(原著は1967年刊)を再読。内容はすっかり忘れている。なんとも不思議な小説だ。 https://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-49024-8.html 直野敦「訳者あとがき」から。《 (引用者…

『ムントゥリャサ通りで』(閑人亭日録)

先だってネットで取り上げられていたので、ミルチャ・エリアーデ『ムントゥリャサ通りで』法政大学出版局1977年初版(元本は1967年刊)を少し再読。外出が重なり、 ろくに読めずじまい。後を引く。 ネット、うろうろ。《 すみません私です。 》 紀文 【公式…

三回目の接種(閑人亭日録)

体調がやっと復調してきた。身体が軽く動くようになってきた。先月までは両肩が五十肩(!)で上がらず、寝返りを打っても痛っ痛っだったが、かなり楽になった。 夏にひどく悪化した左足痛は、実に簡単な治療法を試したところ、劇的に改善。痛みは消え、最近…