2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

異星からの異物(閑人亭日録)

北一明の焼きものは、陶芸界では異星からの異物のように思えたようだ。これは北から聞いた話で信憑性はわからないが、北が突然にとんでもない焼きものを個展で 発表して以来、その言動と相まって陶芸界、陶芸業界からは無視、黙殺された。業者から陶土を購入…

未完成の完成(閑人亭日録)

中国の陶磁器は、正円正方形左右対称といった完璧な均整が評価の基軸になっている。日本では織部焼に見られるように、中国とは逆に軸足を置いている。動きのない 完成形と動きのある未完成形。金継ぎをして新たな景色を発見する日本。北一明の茶碗、花生けを…

『地球的思考』九(閑人亭日録)

國分功一郎・清水光明 編『地球的思考 グローバル・スタディーズの課題』水声社2022年3月20日第一版第一刷、「13 中動態によって問い直される近代的人間像/ 國分功一郎」を読んだ。以前読んだ『中動態の世界──意志と責任の考古学』医学書院2017年を踏まえて…

『地球的思考』八(閑人亭日録)

國分功一郎・清水光明 編『地球的思考 グローバル・スタディーズの課題』水声社2022年3月20日第一版第一刷、「14 政治思想史、帝国、グローバル化/馬路智仁」 を読んだ。《 政治思想史は、そのように現在の世界認識やアイデンティティの少なくとも一端が表…

『地球的思考』七(閑人亭日録)

國分功一郎・清水光明 編『地球的思考 グローバル・スタディーズの課題』水声社2022年3月20日第一版第一刷を少し読んだ。 「13 グローバル化時代の『人間』を考える/田辺明生」。これは凄い。白眉の一篇だろう。じつに豊穣、じつに深く掘り下げられている。…

『地球的思考』六(閑人亭日録)

昨日(26日)上げるのを忘れていた。 國分功一郎・清水光明 編『地球的思考 グローバル・スタディーズの課題』水声社2022年3月20日第一版第一刷を少し読んだ。 「11 「グローバルな俯瞰力」と「ローカルな視点」をつなぐ/和田毅」を読んだ。 「12 「宗教的…

『地球的思考』五(閑人亭日録)

國分功一郎・清水光明 編『地球的思考 グローバル・スタディーズの課題』水声社2022年3月20日第一版第一刷を少し読んだ。 「9 異なるものをつなぐ、比べる/受田宏之」を読んだ。メキシコでの地域研究は多くの示唆に富む。《 対照的に、EZLNは経済的な…

『地球的思考』四(閑人亭日録)

國分功一郎・清水光明 編『地球的思考 グローバル・スタディーズの課題』水声社2022年3月20日第一版第一刷を少し読んだ。《 そういう方法で本当によいのだろうか。何か祖語のような起源にある純粋なものを立て、そこからの変移を測っていくのは、やはり方法…

『地球的思考』三(閑人亭日録)

國分功一郎・清水光明 編『地球的思考 グローバル・スタディーズの課題』水声社2022年3月20日第一版第一刷を少し読んだ。《 このような経験を基に私は、「これまで試みる研究者が少なく、まったく需要がないように見える研究であったとしても、何か成果を出…

『地球的思考』二(閑人亭日録)

國分功一郎・清水光明 編『地球的思考 グローバル・スタディーズの課題』水声社2022年3月20日第一版第一刷を少し読んだ。《 「赦しと和解」のテーマに関しては、一九九○年代以降、世界的に明らかに新しい状況が生まれたと言えます。九○年代以降とは当然、東…

『地球的思考』(閑人亭日録)

國分功一郎・清水光明 編『地球的思考 グローバル・スタディーズの課題』水声社2022年3月20日第一版第一刷を少し読んだ。 http://www.suiseisha.net/blog/?p=16177《 最後に冷戦終結後の場合には、社会主義連邦の解体においても前述のウティ・ポンデティス原…

踊り子号(閑人亭日録)

夏日。ちょっと外出して帰ると汗。身体お疲れ気味な気分。いつの間にか夜。ま、こういう日もあるさ。 JR東日本の特急列車踊り子号は、JR三島駅から伊豆箱根鉄道駿豆線の終点修善寺まで乗車できる。JR三島駅1番線から分かれて行く。 たった25分ほど…

木葉井悦子、上條陽子(閑人亭日録)

資料によって途切れ途切れの記憶が繋がることがある。木葉井悦子画集『うみはぎなみほどき』トムズボックス1993年11月1日発行に収録された絵は、1986年3月29日~ 1987年4月17日に描かれたもの。昨日の記事、木葉井悦子展は1988年2月22日から開催。案内状の作…

木葉井悦子さんとの出会い(閑人亭日録)

午前十時、大岡信を顕彰する数人(精鋭)の集まり「ことばのたね」実行委員会の会合に出席。今年度の予定を話し合う。昼食を挟んで午後二時にお開き。 参加者の女性に木葉井悦子さんの本を二冊、画集『耳界』と絵本『さばくでお茶を』をお貸しする。どちらも…

『〈私〉をめぐる対決』補遺(閑人亭日録)

永井均・森岡正博『〈私〉をめぐる対決──独在性を哲学する』明石書店2021年12月15日初版第一刷で、美術に応用できそうな箇所。《 この開闢によって、独在側から公共側への「抜け」が起きるとき、世界に何ひとつ実在は追加されていない。もし変化があったとす…

『〈私〉をめぐる対決』三(閑人亭日録)

永井均・森岡正博『〈私〉をめぐる対決──独在性を哲学する』明石書店2021年12月15日初版第一刷、「第4章 森岡論文への応答」永井均を読んだ。《 次に「東京太郎が〈私〉である」の場合を考えよう。(引用者・略)「東京太郎が火星である」などのあらゆる命…

『〈私〉をめぐる対決』お休み(閑人亭日録)

永井均・森岡正博『〈私〉をめぐる対決──独在性を哲学する』明石書店2021年12月15日初版第一刷、読書はお休み。 昼食は三島駅近くのそば屋。店長が代わったせいか味が変わり、友だちももう行かない、と。だなあ。店を出て楽寿園へ。友だちの友だちに合流。彼…

『〈私〉をめぐる対決』二(閑人亭日録)

永井均・森岡正博『〈私〉をめぐる対決──独在性を哲学する』明石書店2021年12月15日初版第一刷を少し読んだ。《 永井によれば、デカルトの「われ思うゆえにわれあり」もまた、その罠に落ちたのだった。すべてを疑うことによって、最後に残ったのは、いま疑っ…

『〈私〉をめぐる対決』(閑人亭日録)

永井均・森岡正博『〈私〉をめぐる対決──独在性を哲学する』明石書店2021年12月15日初版第一刷を少し読んだ。 https://www.akashi.co.jp/book/b598586.html《 〈私〉、すなわち、 「いまここに現にひとりだけ特殊な形で存在している、私の特別なあり方」は …

形態、様態(閑人亭日録)

清水高志の以下のツイートを読んで、形態と様態の違いに蒙を啓かれた《 (父が言った)「燃える火における赤い形態は、すなわち熱の形態である。白い形態は、すなわち水の形態である。黒い形態は、すなわち食物の形態である。 このように見るなら、火から〈火…

『NOJIMA PLAYS LISZT』(閑人亭日録)

昨日クラシック・ピアニスト野島稔の訃報に接する。彼の代表作CD『NOJIMA PLAYS LISZT』USA盤1987年を久しぶりに聴く。 https://tower.jp/article/campaign/2022/05/10/04 二曲目の『La Campanella』、やはりいい。好きだ。 https://www.youtube.com/watch…

味戸ケイコ個展(閑人亭日録)

昼前、東京へ。味戸ケイコ個展「─ここにいるひかり─」(スパン・アート・ギャラリー)へ友だちと行く。 https://span-art.com/exhibition/2022/202205_ajitokeiko.html 味戸さんはまだいらっしゃらない。ゆっくりと鑑賞。近くのカフェの木陰で一休み。戻ると…

極みの耀変(閑人亭日録)

以前、国宝の曜変茶碗 (稲葉天目)を静嘉堂文庫美術館で見たが、こんなものか、という印象。それよりもそばに展示されていた油滴天目茶碗に惹かれた。 http://www.seikado.or.jp/ 私同様、現物の曜変茶碗を見て拍子抜けした北一明は、曜変ならぬさまざまな耀…

『最前線』三(閑人亭日録)

岩田宏(小笠原豊樹)『最前線』青土社1972年2月15日発行を読了。詩も散文も読みやすく、一気に読んでしまった。よくこなれた彼の翻訳と同じだ。詩「海への眺め」を 書き写す。これが一番!というのではなく、最も気になったから。《 「海への慰め」 いつも…

『最前線』二(閑人亭日録)

岩田宏(小笠原豊樹)『最前線』青土社1972年2月15日発行を少し読む。本の構成は、昨日の詩一篇につづいて散文が八篇。ここまで読んだ。散文は小説と言ってもよい。 先の詩「海難」同様、「紅海の底」は「後悔の底」とも読み替えられる。多くが1970年前後の…

『最前線』(閑人亭日録)

岩田宏(小笠原豊樹)『最前線』青土社1972年2月15日発行を少し読む。小笠原豊樹の翻訳はずいぶん読んでいるけど、筆名の岩田宏の本は未読。本棚には一冊だけ。 『最前線』の帯は「大岡信氏評」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E7%94%B0%E5%AE%8…

大通り商店街歩行者天国(閑人亭日録)

久しぶりの大通り商店街歩行者天国。午前11時~午後4時。近くの骨董古道具店恵ぼしの女主から男手を頼まれて、店先での露天販売の呼び込み。売れ行き好調。 11月の秋の歩行者天国でも、とお願いされる。くた~。 https://www.mishima-odori.com/street/ko…

『どうゆ~カゴ???』(閑人亭日録)

昼前、友だちとバス、タクシーを乗り継いて沼津市吉田町の元銭湯吉田温泉で開催されている展示会へ。 https://twitter.com/yoshidaonsen/status/1516657122942939136 風の子造形教室の子どもたちの作品は、やはり面白い。今回初めて出会った若手作家ともの …

『緑色の裸婦』(閑人亭日録)

昨日の小笠原豊樹の記事からちょっとネット検索したら、こんな記事「小笠原豊樹に挨拶する」(私たちは20世紀に生まれた)に行き着いた。 https://numabe.exblog.jp/11351008/ コメントの最初が私。初めて読んだ彼の翻訳は、多分ジョン・ファウルズ『魔術師…

『プレヴェール詩集』(閑人亭日録)

本棚の上部に積んであった二冊、『プレヴェール詩集』河出書房1967年12月15日初版と『ジャック・プレヴェエールはうたう 小鳥のはこんできた手紙』サンリオ 1976年11月15日初版。前者の訳者は小笠原豊樹。後者はサンリオ出版部。プレヴェールで最も好きな詩…