2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『時間は存在しない』五(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行、「第三部 時間の源へ」、「第一○章 視点」を読んだ。《 過去と未来の違いはすべて、かつてこの世界のエントロピーが低かったという事実に起因しているらしい。 》 142頁《 人類と…

『時間は存在しない』四(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行、「第三部 時間の源へ」、「第九章 時とは無知なり」を読んだ。《 わたしたちはこの世界を大まかに切り分け、自分にとって意味がある概念の観点から捉えているが、それらの概念は、…

『時間は存在しない』三(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行、「第二部 時間のない世界」、「第六章 この世界は、物ではなく出来事でできている」を読んだ。《 時間はすでに、一つでもなく、方向もなく、事物と切っても切り離せず、「今」もな…

『時間は存在しない』二(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行、「第一部 時間の崩壊」、「第四章 時間と事物は切り離せない」を読んだ。《 時計が登場するまでの何千年もの間、時間の正しい尺度はただ一つ、昼と夜の交代だけだった。 》 65頁《…

『時間は存在しない』(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行、「第一部 時間の崩壊」、「第一章 所変われば時間も変わる」を読んだ。「第二章 時間には方向がない」を読んだ。《 過去と未来が違うのは、ひとえにこの世界を見ているわたしたち…

里見龍樹『不穏な熱帯』九(閑人亭日録)

里見龍樹『不穏な熱帯 人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第六章 沈む島々」後半を読んだ。《 「深みの縁、水路の縁に行けば生きた岩が見られる」という右の言葉にも見られるように、このサンゴ礁内での「浅瀬」…

里見龍樹『不穏な熱帯』八(閑人亭日録)

里見龍樹『不穏な熱帯 人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第六章 沈む島々」前半を読んだ。《 そして、同じく二○一一年のフィールドワークで明らかになったように、「沈み」つつあったのはフォウバイタ村の埠頭…

里見龍樹『不穏な熱帯』七(閑人亭日録)

里見龍樹『不穏な熱帯 人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第五章 生きている岩」を読んだ。深まる思索。《 このようにサンゴとサンゴ礁は、近代的な自然科学から見ても一つの未知の領域をなしているのであり、一…

里見龍樹『不穏な熱帯』六(閑人亭日録)

里見龍樹『不穏な熱帯 人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第四章 イメージとしての島々」を読んだ。不穏な姿が現れてくる。《 私自身のこれまでの民族誌も含め、多くの人類学的研究は、たとえばアシの島々のよう…

里見龍樹『不穏な熱帯』五(閑人亭日録)

里見龍樹『不穏な熱帯 人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第三章 歴史に抗する島々」を読んだ。《 初期植民地時代のヨーロッパ人訪問者たちによる記録には、アシ地域における島々の形成史について示唆的な事実が…

里見龍樹『不穏な熱帯』四(閑人亭日録)

里見龍樹『不穏な熱帯 人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第二章 浮上する「自然」」を読んだ。《 後から振り返ると、人々の生業活動と環境との関わりに密着しようと試みるこうした調査を通して、私は結果的に、…

里見龍樹『不穏な熱帯』三(閑人亭日録)

里見龍樹『不穏な熱帯 人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第一章 人類学/民族誌の現在」を読んだ。《 これらの「人工島」こそ、これまでの民族誌的文献においても当のマライタ島においても、自然によってアシに…

黒見龍樹『不穏な熱帯』二閑人亭日録)

里見龍樹『不穏な熱帯 人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第一章 人類学/民族誌の現在」を少し読んだ。 《 本書の主な舞台であるフォウバイタ村は、マライタ島の北東部に位置し、サンゴ礁が広がる海に面した集…

黒見龍樹『不穏な熱帯』閑人亭日録)

里見龍樹『不穏な熱帯 人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「はじめに──「ツナミ」の後で」を読んだ。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309231211/ ソロモン諸島の首都ホニアラから船でいくのだが、よくわら…

黒い円盤(閑人亭日録)

インターネットの時代になって世相の移り変わりがやたら早くなった。欧米で音楽CDの売上をレコード盤が蹴落とすようになるとは、さすがに予想しなかったが、世の中、逆転現象は起こるものだ。盤といえば、けれども、レーザーディスク盤は死語だろう。そう…

『日本美術応援団』再読 三(閑人亭日録)

赤瀬川原平・山下裕二『日本美術応援団』ちくま文庫二○○七年九月九日第三刷を再読。《 山下 表現というものの本質について考えさせられますね。「異端」っていう言い方もよくされるんですが、それは本当におかしいんですよ。むしろ表現することの一番核心を…

『日本美術応援団』再読 二(閑人亭日録)

赤瀬川原平・山下裕二『日本美術応援団』ちくま文庫二○○七年九月九日第三刷を少し再読。《 山下 僕は北斎って、美空ひばりに似ていると思うんですけど。 赤瀬川 美空ひばりですか。 山下 何をやってもできちゃって、抜群にうまいし、でも、下品なんですよ。…

『日本美術応援団』再読(閑人亭日録)

赤瀬川原平・山下裕二『日本美術応援団』ちくま文庫二○○七年九月九日第三刷を少し再読。付箋は貼ったままだ。貼っていない箇所で今回目に留まったところ。《 それまで水墨画その他の日本美術は、自分の後ろにあると思って前向きに走っていた、そのつもりだっ…

『日本美術全集 第19巻 戦後~一九九五』(閑人亭日録)

椹木野衣・編集『日本美術全集 第19巻 戦後~一九九五 拡張する戦後美術』小学館2015年8月25日発行、「月報17 宮下規久朗 その時西洋では──戦後のアメリカ美術と日本」を、雨音を耳にしながら再読。 https://www.shogakukan.co.jp/books/09601119《 戦後まも…

渡辺白泉(閑人亭日録)

東京新聞一面下のコラム「筆洗」は、三菱重工が開発を断念したジェット旅客機「スペースジェット」について。結びに渡辺白泉の俳句が引用されている。《 〈寒鴉(がらす)飛びあがりつゝ土を見る〉渡辺白泉。用心深く足元を見なかった開発がくやしい。 》 渡…

眼差しの行方(閑人亭日録)

今朝の東京新聞コラム『大波小波』、ナナ「原点に戻る」冒頭。《 昨年末に逝去した渡辺京二のブックレット『あなたにとって文学とは何か』(九州文化協会)がおもしろい。 》《 文学を文学たらしめるのは他者への眼差(まなざ)しと、他者からの眼差しである…

確定申告~疲れが確定~(閑人亭日録)

昼前、源兵衛川中流、三石神社横で茶碗のカケラ、ガラス片そしてコンビニ袋に入った不当投棄のゴミを回収。30リットルのゴミ袋に一杯。無理せずに上がる。帰宅。軽く汗。 午後、確定申告の書類をまとめる。ロクな収入もないのに~面倒。なんとか片付ける。…

『現代美術逸脱史』再読 六(閑人亭日録)

千葉成夫『現代美術逸脱史 1945~1985』晶文社一九八六年三月二十日初版 一九八九年五月三十日四刷、「第四章 一九七○年代」を再読。《 そして、実作者にとって制作概念の喪失とはそのまま美術じたいの喪失を意味するなら、そこで直面していたのは、とりもな…

『現代美術逸脱史』再読 五(閑人亭日録)

千葉成夫『現代美術逸脱史 1945~1985』晶文社一九八六年三月二十日初版 一九八九年五月三十日四刷、「第三章 「もの派」」を再読。《 日本における「近代」の意味そのものを西欧的概念とはちがった軸を導入することであらたにとらえなおさなければならない…

『現代美術逸脱史』再読 四(閑人亭日録)

千葉成夫『現代美術逸脱史 1945~1985』晶文社一九八六年三月二十日初版 一九八九年五月三十日四刷、「第二章 一九六○年代」」を再読。《 ここで六○年代というのは、「ハイ・レッド・センター」結成などにみられる「反芸術」の終息ないし変貌が起こってくる…

『現代美術逸脱史』再読 三(閑人亭日録)

千葉成夫『現代美術逸脱史 1945~1985』晶文社一九八六年三月二十日初版 一九八九年五月三十日四刷、「第一章 「具体」─アンフォルメル─「反芸術」」の「II 「具体」と何か」を再読。《 しかし本質的には、日本の国内に現実に起こっている美術をその固有性に…

『現代美術逸脱史』再読 二(閑人亭日録)

千葉成夫『現代美術逸脱史 1945~1985』晶文社一九八六年三月二十日初版 一九八九年五月三十日四刷、「第一章 「具体」─アンフォルメル─「反芸術」」の「I 批評の推移」を再読。深い分析だ。《 敗戦直後の十年間はここでの考察の対象外にある。 》 16頁上段…

『現代美術逸脱史』再読(閑人亭日録)

千葉成夫『現代美術逸脱史 1945~1985』晶文社一九八六年三月二十日初版 一九八九年五月三十日四刷、「序」を再読。冒頭。《 おそらく、美術はいま非常に困難なところにやってきている。それは、ある角度からは崩壊とみえるかもしれないし、別の角度からは繁…