2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『小原古邨への招待』(閑人亭日録)

昨日午後、静岡市から友だちを訪ねて来られた年配の女性を、彼女と二人で源兵衛川などを案内。その御婦人は、NHKeテレ『日曜美術館』で「小原古邨」特集を見て、茅ヶ崎市美術館まで見に行き、図録も買った、と。ほう。私は貸し出した資料のお礼の図録を…

『世界は「関係」でできている』再読・一(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』NHK出版2022年2月15日3刷を少し再読。《 量子の奇妙さの根っこには、「量子重ね合わせ」と呼ばれる現象がある。「量子重ね合わせ」とは、たとえばある対象がここにありながらあそ…

十年 四十年 百年(閑人亭日録)

陶芸家北一明(2012年没)が亡くなって十年。 http://web.thn.jp/kbi/kihi.htm http://web.thn.jp/kbi/kitaron.htm マンガ家つりたくにこ(1985年没)が亡くなって四十年弱。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A4%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%81%AB%…

大きくて軽いモノ(閑人亭日録)

大きくて重いモノの反対、大きくて軽いモノでまず思い浮かぶのは、ナショナル(現パナソニック)のビニール製のエアコンポスター。縦180cm横90cm。十人編成のモーニング娘。が笑顔でひな壇状に並んでいる。随分前、近所の電気店の壁に貼ってあった。季節外れ…

小さきモノ(閑人亭日録)

小さきモノに惹かれる。毎日卓上に置いて鑑賞しているのは、北一明の『多虹彩油滴酒盃』。直径7.5cm✕高さ3cmの小さなモノ。大ぶり小ぶりの茶碗よりも、この小さな盃に今は、なぜか惹かれる。彫刻家伴正史氏の若き日の少女像作品。「作品回顧録」の一番下の「…

『美術聚英』『群芳清玩』(閑人亭日録)

田島志一が代表を突然辞したため、『美術聚英』第十一册、明治四十四年十二月八日発行の奥付は、審美書院代表者「編輯兼發行者 和田幹男」に。造本、内容に変化はなく、交替の言葉なども無い。『美術聚英』はその後、第二十五册(大正三年十月二十日発行)ま…

『四季花木圖屏風』(閑人亭日録)

昨日の日録、『美術聚英』第十册収録の尾形光琳『四季花木圖屏風』。内野まゆみさんが昨秋から制作している、三センチ四方の木片上面に色を塗り、柄を描いた上に私が源兵衛川で拾ってきた茶碗のカケラを接着し、裏面に磁石を接着させたメモ用紙留めは、すで…

『 SARA CORREIA 』(閑人亭日録)

ポルトガルの歌謡ファドの女王アマリア・ロドリゲス(1920-1999)亡き後、唯一よく聴いたファドはPATRICIA RODRIGUES(パトリシア・ロドリゲス)『Ternua』2005年。 https://www.youtube.com/watch?v=ixr192d_ZPU 久しぶりにファドのCDを買った。若手ファ…

『時間は存在しない』再読・六(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行を再読。以下、覚え書き。《 記憶と呼ばれるこの広がりとわたしたちの連続的な予測の過程が組み合わさったとき、わたしたちは時間を時間と感じ、自分を自分だと感じる。 》 184-185…

『時間は存在しない』再読・五(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行を少し再読。以下、覚え書き。《 過去の痕跡があるのに未来の痕跡が存在しないのは、ひとえに過去のエントロピーが低かったからだ。ほかに理由はない。なぜなら過去と未来の差を生み…

『時間は存在しない』再読・四(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行を少し再読。以下、覚え書き。《 わたしたちはこの世界を大まかに切り分け、自分にとって意味がある概念の観点から捉えているが、それらの概念は、あるスケールで「生じている」のだ…

『時間は存在しない』再読・三(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行を少し再読。以下、覚え書き。《 科学の進化全体から見ると、この世界について考える際の最良の語法は、不変性を表す語法ではなく変化を表す語法、「~である」ではなく「~になる」…

『時間は存在しない』再読・二(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行を少し再読。以下、覚え書き。《 時計で計った時間は「量子化」されている。つまり、いくつかの値だけを取って、その他の値は取らない。まるで時間が連続的ではなく、粒状であるかの…

『時間は存在しない』再読(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行を少し再読。以下、覚え書き。《 したがって、動いている物体が経験する時間は、静止している物体が経験する時間より短い。(引用者・略)動いている物体に対しては、時間が縮む。場…

「再生のムジカ~白砂式音器~」(閑人亭日録)

昨晩、白砂勝敏さんから感想を知りたいとメールが届いた「再生のムジカ~白砂式音器~海洋ゴミ・古道具で創った楽器」をネットに紹介。 https://www.youtube.com/watch?v=vR9fLbHwj_w 昨夜送信した感想を転載。《 視聴しました。 総集編のような感じですね。…

「老いらはドラマだ!」(閑人亭日録)

雑誌『望星』東海教育研究所4月号の特集は「老いらはドラマだ!── 歳をとったらグレましょう」。 https://www.tokaiedu.co.jp/bosei/index.html 年配者以外には題がパロディだとがわからないだろうな。石原裕次郎主演の映画『嵐を呼ぶ男』1966年の主題歌。 …

『抽象絵画への招待』再読三(閑人亭日録)

大岡信『抽象絵画への招待』岩波新書1985年5月20日第1刷、「三 芸術と現代」を再読。以下覚え書き。《 もちろん、号いくら、という算定方法を一挙にやめてしまったら、絵画の市場は完全に混乱してしまうだろう。しかし、絵画の見せかけの大きさでその価値を…

『抽象絵画への招待』再読二(閑人亭日録)

大岡信『抽象絵画への招待』岩波新書1985年5月20日第1刷、「2 現代の抽象絵画」を再読。以下覚え書き。《 「描く」という行為は、このとき、「生きる」ことと別のことではないと信じられていたといっていい。それは、戦後絵画の最もロマンティックに高揚し…

来客 来客(閑人亭日録)

昨夜九時、九州から東京へ帰る途中のマンガ家家故つりたくにこさん(11日の日録参照)の夫、高橋直行氏が来訪。一昨年出たフランス版と去年で出たブラジル版をご持参。うわ、どちらも500頁ほどの厚く重い堅表紙本。紙質も印刷も素晴らしい。イタリア、アメ…

『抽象絵画への招待』再読一(閑人亭日録)

大岡信『抽象絵画への招待』岩波新書1985年5月20日第1刷、「1芸術の意味」を再読。以下覚え書き。《 このようにして、既存の美術的知識や、専門的技巧ではつかみとれないような生の新しいヴィジョンをつかみとることが、芸術家たらんと青年にとってもっとも…

発見 浮上(閑人亭日録)

1945(昭和20)年に亡くなった木版画絵師小原古邨は、没後50年余を経た1998年、初の回顧展が横浜そごう内の平木浮世絵美術館で開催された。終えた後に知り、赴いて画集を購入。閑古鳥が鳴いた、と。 http://web.thn.jp/kbi/koson.htm K美術館では1999年6月4…

叛歴史の作品(閑人亭日録)

未明、カーテンの隙間に閃光。雷鳴が轟き、激しい雨音。空襲を連想した雷鳴は断続的に一時間ほど続いた。そのとき浮かんだ四人の作家。 加藤郁乎(俳句)、北一明(陶芸)、塚本邦雄(短歌)、寺山修司(短歌)、中井英夫(小説)。四人とも故人。ある人は業…

美女 悪女 戦争(閑人亭日録)

美女といえば井川遥、北川景子らが浮かぶ。悪女というと、国会議員しか思いつかない。情報収集能力不足というか想像力の貧困というか。ま、高齢者はこんなものだろう。本棚から『別冊太陽 スクリーンの悪女』平凡社1991年1月7日発行を抜く。副題「愛と破滅の…

美と美しい(閑人亭日録)

昨日に続き『日本語大辞典』講談社1989年11月6日第一刷発行で「美」と「美しい」を引く。 「美」 1 うつくしい。うるわしい。みめよい。[対義]醜 2 よい。立派な。ほめる。 3 うまい。味がよい。 「美しい」 1 形や色よい。かざりたてている。 2 きれ…

とんでもない(閑人亭日録)

「とんでもない」を『日本語大辞典』講談社1989年11月6日第一刷発行で引く。 1 思いもかけない。 2 とほうもない。もってのほかだ。 3 とても考えられない。そんなことはない。 美術には「1、思いもかけない」、「2、とほうもない」、「3、とても考え…

ソーラー蓄電池(閑人亭日録)

坂部隆芳さんから昨日送信した感想へのお礼のメールが届く。ほっ。 昼前、源兵衛川中流、下源兵衛橋周辺の茶碗のカケラ、ガラス片などを拾う。石垣のヒメツルソバを抜く。帰宅。薄着だったけど、汗~。紅茶を淹れる。ふう。 午後、去年買って放置してあった…

『つりたくにこ作品集』続編(閑人亭日録)

昨日、マンガ家故つりたくにこさんの夫、高橋直行氏からメール。《 前にお話しした仏語版2冊目の契約をしました。これから編集翻訳となります。書名は[彼等]か「彼方へ]の何れか、未発表作も色刷りもと熱心なので期待できます。スイスの出版社で漫画はL'…

『世界は「関係」でできている』三(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』NHK出版2022年2月15日第3刷発行、「第三部 第六章 「自然にとっては、すでに解決済みの問いだ」」を読んだ。《 過程や出来事、ひいては関係論的な属性や関係が織りなす世界の観点…

『世界は「関係」でできている』二(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』NHK出版2022年2月15日第3刷発行、「第三部 第五章 立ち現れる相手なくて、明瞭な記述はない」を読んだ。《 マッハによる科学の解釈──何ものの実在も、それによって現象が組織され…

『世界は「関係」でできている』(閑人亭日録)

カルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』NHK出版2022年2月15日第3刷発行、最初の「深淵をのぞき込む」を読んだ。 https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000818812021.html《 だが、これぞまさに科学なのだ。科学とは、世…