2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「あやとり」(閑人亭日録)

樋詰喜久子『愛のゆくえ』サンリオ・ギフトブック1978年2月1日初版に詩「あやとり」を見つけ、国際あやとり協会へお知らせ。 https://www.isfa-jp.org/《 「あやとり」 愛しても 愛されないのに 愛しているから 愛されたいけれど 愛されなくても やっぱり 愛…

『アートの力/美的実在論』六(閑人亭日録)

マルクス・ガブリエル『アートの力/美的実在論』堀之内出版2023年4月28日 第一刷発行を少し読む。「補論 懐疑のアート、アートの懐疑」を読んだ。《 私が思うに、懐疑論はいわばコンセプチュアル・アートのようなものだ。 》 167頁《 言葉で語られたことは…

『アートの力/美的実在論』五(閑人亭日録)

マルクス・ガブリエル『アートの力/美的実在論』堀之内出版2023年4月28日 第一刷発行を少し読む。《 感覚能力なしにアートは存在しない。アート作品は、私たちが知覚するよりほかない諸現実に基づく。 》 125頁《 ところが、ラディカルに自律するアート作品…

『アートの力/美的実在論』四(閑人亭日録)

マルクス・ガブリエル『アートの力/美的実在論』堀之内出版2023年4月28日 第一刷発行を少し読む。《 解釈がなければ、アート作品は単なるオブジェか、たまたまそこにあった人工物でしかない。私たちは解釈によって作品(コンポジション)に触れるのだ。 》 …

『アートの力/美的実在論』三(閑人亭日録)

マルクス・ガブリエル『アートの力/美的実在論』堀之内出版2023年4月28日 第一刷発行を少し読む。《 美的経験、すなわち、アート作品の知覚は、一般に間接的段階の知覚関係である。知覚関係についての知覚関係なのだ。 》 74頁《 つまり、私たちは決してア…

『アートの力/美的実在論』二(閑人亭日録)

マルクス・ガブリエル『アートの力/美的実在論』堀之内出版2023年4月28日 第一刷発行を少し読む。《 美は心理的な構築物ではないので、人間が一匹の動物として良い、悪いと感じたことのみには還元できない。私が拠って立つ芸術哲学の観点においては、美とは…

『アートの力/美的実在論』(閑人亭日録)

マルクス・ガブリエル『アートの力/美的実在論』堀之内出版2023年4月28日 第一刷発行を少し読む。じつに面白い予感。《 これから論証するように、アートはいかなる権力によってもコントロールされていない。(引用者・略)それどころか、アートは現実的にコ…

世界は広がっている(閑人亭日録)

美術品も本も同じだが、気になって購入、鑑賞(読書)、保管。求められて譲渡する。譲渡の場合は無料、で譲る。先年、味戸ケイコさんの絵を四点、北海道立函館美術館に貸し出したが、素晴らしいので寄贈してほしいと依頼され、その四点を寄贈した。お礼状を…

『しゃれのめす』五(閑人亭日録)

洲之内徹『しゃれのめす』世界文化社ニ○○五年三月一日 初版第一刷発行の再読を続ける。《 絵を見るには、絵を見る力が要(い)る。絵を前にして、ただ受け身に、漫然とその絵を見ているだけでは、絵を見る力は身に付かない。およそ本当に絵と呼ぶに値するほ…

『しゃれのめす』四(閑人亭日録)

洲之内徹『しゃれのめす』世界文化社ニ○○五年三月一日 初版第一刷発行の再読を続ける。《 九月に、新潟で、私は田畑(たばた)あきら子の遺作を初めて見た。 》 「夭折ということ」 165頁《 私は非常に感動した。たいして期待していたのではなかっただけに、…

『しゃれのめす』三(閑人亭日録)

洲之内徹『しゃれのめす』世界文化社ニ○○五年三月一日 初版第一刷発行を何篇か再読。《 なぜそうなるのか。抽象とか、幻想絵画とか、スーパーリアリズム風とか、新しいはずの作品のまず殆どがパターンでしかなく、自らをパターンの中に押しこんだだけで新し…

螢(閑人亭日録)

昨日午後八時、友だちと来客の三人で雨の中、源兵衛川中流、水の苑緑地へ。おお、誰もいない。螢は静かに群舞している。なんと静かなる美しさ。 今日午後八時、源兵衛川中流、水の苑緑地へ。おお、人がたくさんいる。螢はあちこち飛んでいる。 ネット、うろ…

『しゃれのめす』三(閑人亭日録)

洲之内徹『しゃれのめす』世界文化社ニ○○五年三月一日 初版第一刷発行を気の向くままに何篇かを再読。昨日の佐藤清三郎の素描は、目次頁にニ点掲載されていた。確かに魅力的だ。短い文章をいく篇か読む。《 今の美術界で、水彩画が画壇の辺境化した観がある…

『しゃれのめす』ニ(閑人亭日録)

洲之内徹『しゃれのめす』世界文化社ニ○○五年三月一日 初版第一刷発行を気の向くままに再読。『気まぐれ美術館』と連載とは違って、求めに応じて書かれた長くはない文章ゆえ、道草をしない文章で一気に読ませる。「無名であるということ」。《 佐藤清三郎(…

『しゃれのめす』(閑人亭日録)

洲之内徹『しゃれのめす』世界文化社ニ○○五年三月一日 初版第一刷発行を飛び飛びに再読。読んだことは記憶にある。カラー口絵はよく憶えているが、文章は忘れた。口絵で特に印象深かったのが、柳瀬正夢(やなせ・まさむ)の油彩画。「柳瀬正夢ノート」。《 …

『深沢幸雄のガラス絵』(閑人亭日録)

洲之内徹『芸術随想 おいてけぼり』世界文化社二○○四年四月一日 初版第二刷発行、「浜松市美術館のガラス絵コレクション」から。《 泥絵の江ノ島風景と、竹久夢二と、横井弘三とが、一本の連想の糸につながって浮かんできたのである。 一本の糸は、民画とい…

『芸術随想 おいてけぼり』(閑人亭日録)

洲之内徹『芸術随想 おいてけぼり』世界文化社二○○四年四月一日 初版第二刷発行を飛び飛びに再読。紙質もカラー図版も良い。巻末の「コレクション考──なぜ「絵のなかの散歩」なのか」。《 つまり、私のコレクションは美術館の収蔵作品とはわけが違うのだ。あ…

『さらば気まぐれ美術館』再読・五(閑人亭日録)

洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』新潮社 昭和六十三年三月二十日発行 昭和六十三年十一月二十日四刷の再読を進める。 「暮れの雪」。 《 どの馬も、前脚と後脚の関節が同じ方へ曲っている。しかし、あり得ないそのことで、絵の中のこの馬たちは走っているの…

『さらば気まぐれ美術館』再読・四(閑人亭日録)

洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』新潮社 昭和六十三年三月二十日発行 昭和六十三年十一月二十日四刷の再読を進める。 「「男は一代」補遺」。《 つまり、いつもこの美しさは何だろうと思うのだが、物が物を超えてその物以上の物になるとき、物は真に美しい…

『さらば気まぐれ美術館』再読・三(閑人亭日録)

洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』新潮社 昭和六十三年三月二十日発行 昭和六十三年十一月二十日四刷の再読を進める。 「守りは固し神山隊」。《 私には溺れる対象だけが必要なのだ。人生とは所詮、何かに気を紛らせて生きているだけのことだという気が私は…

『さらば気まぐれ美術館』再読・二(閑人亭日録)

洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』新潮社 昭和六十三年三月二十日発行 昭和六十三年十一月二十日四刷の再読を進める。 「ゴッホの寝室の二つの枕」は、高階秀爾の著書『ゴッホの眼』に書かれている二つのことについて。一つはゴッホの絵に描かれた寝室のベッ…

『さらば気まぐれ美術館』再読(閑人亭日録)

洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』新潮社 昭和六十三年三月二十日発行 昭和六十三年十一月二十日四刷を久しぶりに少し再読。最初の「トドを殺すな」は歌手友川かずきの話題。メモ。《 友川さんの土方歴は昨日や今日のことではない。友川さんは昭和二十五年生…

「洲之内徹 絵のある一生」(閑人亭日録)

大岡信『美をひらく扉』の最後の人は、日本橋で南画廊を経営していた志水楠男(1926(大正15)年4月29日~1979(昭和54)年3月20日) 。 http://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/archives/53452236.html 洲之内徹(1913(大正2)年1月17日 ~1987(昭和62)…

『美をひらく扉』七(閑人亭日録)

大岡信『美をひらく扉』講談社一九九三年四月一日 第二刷、III章 日本人篇を読み進める。《 芸術行為は現実的効用とは本来無関係のものだが、それだけに現実的効用の尺度では測ることのできない影響力をもつ。 》 「吾妻兼治郎──「無」と「有」」 223頁《 精…

『美をひらく扉』六(閑人亭日録)

大岡信『美をひらく扉』講談社一九九三年四月一日 第二刷、III章 日本人篇を読み進める。 「岡本太郎の「目玉」」を読んだ。《 「痛ましき腕」はあまりにも有名だから、画面の細かい説明をする必要もなかろうが、前のめりに突っ伏している一人の男の、本来な…

『美をひらく扉』五(閑人亭日録)

大岡信『美をひらく扉』講談社一九九二年四月一日 第二刷、「ジョアン・ミロ──大地と自由の証人」を読んだ。《 「美術に国境はない」という考えは間違っていない。しかしそれは、互いにそれぞれの国境を越えて理解と共感を求め合う所にはじめて成立する共鳴…

『美をひらく扉』四(閑人亭日録)

大岡信『美をひらく扉』講談社一九九二年四月一日 第二刷、「エルンスト──無私の方法的実践」を読んだ。《 こういうわけだから、エルンストの絵は、ダリの目から見たら拙劣幼稚で見るに耐えないほどの素人絵と見えたことだろう。ピカソから見れば、ミロから…

『美をひらく扉』三(閑人亭日録)

大岡信『美をひらく扉』講談社一九九二年四月一日 第二刷を少し読んだ。「ギュスターヴ・モローとモロー美術館」。《 ぞっとするほど清純な裸身を惜しげもなく淫らなシチュエーションの中に置いて、まなざしを遥かな時空に吸いとらせている女や男たち。モロ…

『美をひらく扉』二(閑人亭日録)

大岡信『美をひらく扉』講談社一九九二年四月一日 第二刷を少し読んだ。「フォーヴ──想像的なる想像力」。《 ここでデュフィが、「デッサンと色彩のうちに表現された創造的な想像力の奇跡」といっていることは、簡潔で含意あるマティス評であると同時に、デ…

『美をひらく扉』(閑人亭日録)

大岡信『美をひらく扉』講談社一九九二年四月一日 第二刷を少し読んだ。「美を感じるとはどういうことか」。《 私たちは単なる鑑賞者の位置から、ものを創り出す創作者の位置にまで自分自身を推し進めることによって、自分をとりまく自然的・社会的環境に対…