眼差し・見直し

 昨夜は帰宅して買い物に行った時には雨の予感は何もしなかったけど、夕食の時には突然の土砂降り。おどろいたわあ。毎日新聞昨夕刊から。東京大学大学院教授=美学芸術学の渡辺裕「考える耳」のお題は「近代的芸術家像の商品価値」。そそる題だ。フジテレビ「のだめカンタービレ」と原作を「覗いてみた。」
「むしろ問題は、『クラシック』のみならず、音楽はそもそも自らの内面からあふれ出てこそ『本物』だというイデオロギー自体にある。この種の『本物性』イメージの淵源もまた、創造性ということが前面に踊り出た一九世紀的な『芸術家像』にある。」
「その意味で、ロックにあこがれるヴァイオリン弾きは、『クラシック』の枠を破るどころか、その根底にある近代的『芸術家』イメージをさらに補強するものと言った方がよいくらいなのである。」
「百パーセント内面からあふれ出る『本物』の音楽などあるはずもない。」
 知人が面白いといのでドラマを観たが、途中で切った。私には縁の無いドラマだ。

 その論評の隣はプラハでの村上春樹の記事。横の囲み記事は経営コンサルタント梅田望夫「発明への眼差し」。「眼差し」とはそそるお題だ。来年眼差しをテーマにした企画展を考えている。
「米タイム誌が『今年の発明』に動画投稿サイトのユーチューブ を選んだ。」
 そのYouTubeには日本を題材にした動画がかなりある。クール・ジャパンなのか、不思議ニッポンなのかは不明だけれど、Pachinko も興味を引かれるようだ。私はパチンコをまだやったことがない。やったことがないのは他にゴルフ、ボーリング、麻雀。人生何をやってきたんだか。

 ブックオフ長泉店で三冊。清岡卓行「郊外の小さな駅」朝日新聞社1996年初版、島尾敏雄「日本の作家たち」沖積舎1989年初版帯付、山田正紀「ミステリ・オペラ」早川書房2001年初版、計315円。この三冊、定価は2400 円、2500円、2300円(+税)。新刊ではまず躊躇する。それが105円で買えてしまう時代が来るとは。世の中、変わった。では美術界は変わった? 何にも変わらん気がする。

 変わった?のは静岡新聞の論調だ。朝刊の社説は教育基本法について「対立の象徴でいいのか」の見出し。
「国会での議論を聞いても、なぜ見直しなのか、いまだに説得力ある説明はない。」
「例えば、国を愛する態度というのは、具体的にどのようなことを指すのか。尊重すべき伝統とか文化とは何なのか、それをだれが決めるのか。」
「政治、行政は、基本計画などを通して教育内容に堂々と踏み込めるようになるということである。そうなれば、教育は政争の真っただ中に投げ込まれる。そんなばかげた事態は願い下げにしたい。」
 と結ばれている。同感。