タブー

 休館日。きょうも雨。ブックオフ行きは中止。楽しみに欠ける一日。昨日ろくに読まなかった新聞を再読。毎日新聞読書欄、星乃治彦「男たちの帝国」岩波書店村上陽一郎・評から。
「日本ばかりでなく、一九世紀末近くまでは、男同士の敬愛(性愛も含めて)関係は、社会的に糾弾の対象ではなかったのであり、近現代になって、一つのイデオロギーが、それをたタブー化したからであり、」
 二十世紀は革命と開放の世紀とも言われているけれども、禁忌の世紀ともいえるのではないか。
「時代の風」は早大アジア研究機構教授青木保「ジャズと戦後日本」。十年ほど前に目黒区美術館で催された「戦後日本の文化 1945-1995」にどこか不満があった。それがこの論評で音楽部門が全く無視されていたことに気づいた。美術だから聴覚の音楽は除外されたのかもしれないが、この論評の見出し「映画・文学に影響大きく」とあるように、戦後文化に進駐軍のもたらしたジャズの影響は甚大だと思う。ここで紹介されている本はマイク・モラスキー「戦後日本のジャズ文化━━映画・文学・アングラ」青土社で、サントリー学芸賞を受けた。私が連想したのはロバート・ホワイティング「東京アンダーワールド角川書店2000年だった。口絵写真のミカド、ラテンクオーターといった高級クラブからラブホテル(その前身の逆さくらげ=連れ込み旅館)、風俗店(トルコ風呂〜ソープランド)まで、夜と闇に隠棲する性産業文化が、展覧会では全く除外されていた。それもれっきとした文化だ。その利用と需要の巨大さからすれば、現代美術なんぞはナンボのものか。
 「発言席」は東京芸術大学映像研究科助教授・桂英史「『グッドデザイン』誰のため?」
 出品料が高いことをまず問題にし、それから「出費以上に愕然としたのは、10月25日に発表された『グッドデザイン金賞』結果である。審査委員がかかわった商品やプロジェクトに、金賞が与えられていたのだ。」
 ま、こんなものだろう。今回は、一次審査を通った性器具が一般展示を拒否されたり、「経済産業省の外郭団体」の欠陥ぶりがあからさまになったことが成果か。
「50周年を迎えたグッドデザイン賞は、見直すべき時期を迎えている。」