風邪抜ける

 風邪はほぼ終息。やれやれ。昨日の日録の誤字をそっと訂正。
 知人が処分してと置いていった朝日新聞26付の読書欄、写真家・本橋成一「たいせつな本」は上野英信「追われゆく坑夫たち」。高校生のとき上野英信「地の底の笑い話」岩波新書1967年5月20日刊に衝撃を受けた。その三箇月前に出たきだみのる「にっぽん部落」岩波新書1967年2月20日刊とともに、このニ著はその後の人生に大きな影響を及ぼした。当時は新聞雑誌の書評でしか本を探す術がなかった。二人のほかの本を読みたくて、近所の古本屋でその「追われゆく坑夫たち」岩波新書1960年を見つけた。本屋ではきだ・みのる「気違い部落周游紀行」新潮文庫を手に入れた。それにつながって宮本常一「忘れられた日本人」未来社1960年なども買った。十代後半にこれらの著作に出合ったことは私にとってヨカッタと思っている。これらの本は今も本棚にある。

 昨日買った田澤拓也「無用の達人 山崎方代」に山崎のエッセイの一部が引用されている。
「鎌倉の小町通りの古本屋に入ってみたらば、きのうとどけたはずの、署名入りの私の歌集が値をつけられて、売りに出されていたのである。」
 作者にとってはなんともツライ話だけど、よくあること。昨日のブックオフでも先日恵まれた同じ画集が棚にあった。もらった人がもう売りに出したのだろう。署名があるか確かめる気はしなかった。
 山崎方代の歌から一首。
  茶碗の底に梅干の種二つ並びおる ああこれが愛と云うものだ

 ブックオフ長泉店で三冊。金井美恵子「目白雑録(ひびのあれこれ)」朝日新聞社2004年初版帯付、ジェイムズ・ヤッフェ「ママは何でも知っている」ハヤカワ・ポケット・ミステリ2003年9刷、エラリー・クイーン編「シャーロック・ホームズの災難 上」ハヤカワ文庫1993年8冊、計315円。
 「目白雑録」の帯には「馬鹿と闘う格闘家」に、それぞれ「マッチョ」「しょうせつか」とルビがふってある。題名も「目白」のルビが「ひびの」。ぱらぱらと読んでみて面白そうなので買い。金井美恵子・・・十代の末に劇画家つげ義春のあこがれの人というので、彼女の「愛の生活」筑摩書房を買ったりした。オカッパ髪の強い眼差しが印象的。その後、お付き合いした俳句の鬼才加藤郁乎(いくや)氏への電話で彼女を話題にすると「ははは、子どもですよ」と、からからと笑われた。