休館日。昼食後、三嶋大社でさいたま市から来た40人をグラウンドワーク事業地へ案内。といっても桜川、源兵衛川、蓮沼川といった川を案内して説明するだけ。視察が終えてバスに乗車するとき、年配のご婦人が「楽しかったからあげる」と五十銭硬貨をくれた。大正十三年とある。「わたしの生まれた年」。これもなにかのご縁とありがたく頂いておく。
夜、村上春樹「海辺のカフカ 下」を読了。自己同一性の障害、危機、喪失と回復の物語といえばいいか。波乱万丈でもないのに面白かった。巧いわ。こんな表現が散りばめられている。やるねえ。
「僕らは二人ともこの世界からすでに失われてしまった相手に恋をしているのだ。」
「芸術家とは、冗長性を回避する資格を持つ人々のことだ」
「啓示なしになんの人生だ。ただ観察する理性から行為する理性へと飛び移ること、それが大事なんだ。」
「宇宙そのものが巨大なクロネコ宅急便なんだ」
「混じりけなしの愛欲の四輪駆動だ。」
「地獄でホットケーキ、という言葉もある。」
読書に音楽、は私の言葉。思い立ってレコードプレイヤーの電源コードをつないでスイッチを入れ、ターンテーブルを回してみた。おお、回転ムラがない。試しにギリシャの歌姫ハリス・アレクシーウの30数年前のLPレコードをかけてみる。A面OK。B面OK。なんと復活した。数年前にも回転ムラがあったけど、その時は分解掃除したら正常に戻った。今回は製造から二十年経っているので寿命と思っていた。数ヶ月休養したら現場復帰。嬉しい。読書を終えた後もレコードを回しっぱなし。ジャズのカーティス・フラー「ブルース・エット」両面、キャンディーズから「恋のバカンス」「恋のフーガ」、八神純子から「みずいろの雨」「思い出は美しすぎて」、井上陽水「二色の独楽」両面、山崎ハコ「流れ酔い唄」両面、ここで就寝時間。残念。でも大満足。