評論・随想・エッセイ・詩

 昨日買った「現代日本文学大系97 現代評論集」筑摩書房1973年収録の森有正「遙かなノートル・ダム」を読む。これを読みたくて買ったようなもの。彼の思想の特質である「体験から経験へ」が原型のかたちで表れている。
「この際、問題の中心になる経験というものは、植物や動物や人種のように自然的にあるものでもなく、ある一つの促し(それは個人になるための種子であり、また本当の社会の基底である)から出発して冒険を通り、経験の形成に到るのである。それは一つの事実であり、人間となる、人間そのものに本質的に属する歴史であり、経験そのものはある経験を超えるものを定義することによって、歴史と伝統とに参与するのである。」
 月報で野島秀勝は書いている。
「行間のつまった八ポニ段組、四百ページになんなんとするこの『現代評論集』を通読して、」
 私にはできないわ。ところで「昭和文学全集34 評論随想集 II」小学館1989年。
「本巻は33巻に引き続いて、終戦直後から現在に至る、いわば昭和の後半期を中心に、七十三人、百二十七作品の評論及びエッセイを収録した。ちなみに33巻は六十六人、百七十作品である。」
 この「34巻」は本文1100ページ。上記の400ページをはるかに凌駕している。これは種村季弘氏が収録されているので新刊で買った。見直すと、阿部良雄「言葉・都市・自然──森有正先生に」があった。鬼籍に入ったボードレール研究家阿部良雄の先生だったのか。

 ブックオフ長泉店で二冊。「日本の詩歌 室生犀星中央公論社1974年6刷月報付、スティーヴ・モス他編「極短小説」新潮文庫2004年初版、計210円。後者はたくさんの和田誠の絵が楽しい。室生犀星の詩「ある日」。

  屋根裏より
  手をさしのべてあはれコオヒイを呼ぶ

 インスタントコーヒーを飲んだ。