萌え〜・西島三重子

 書評のメルマガ305号、写真集『工場萌え』(石井哲/写真 大山顕/ 文 東京書籍 本体1900円)にドキッ。紹介文から。
    巻末には、「工場鑑賞のモデルコース」の紹介もあります。湾岸線ドライブ
   →三渓園本牧臨海公園→レストラン ドルフィンというコテコテのデートコ
   ース、とみせかけて実は、製鉄所や製油所のクレーンやタンク群がばっちり視
   界に入るベスト工場ビューコースだとか。
 おお、ドルフィン。学生時代、男だけで夜よく行ったお店。眼下に広がる港の工場地帯の夜景がやけにきれいだった。女性を誘ったことはなかった。考えもしなかった。
 富士市に並び立つ製紙工場の配管に目を奪われて、知人が商品の配達で富士市へ行くとき便乗して写真を撮った。富士山の麓に広がる工場の煙突と配管の絶妙な魅力!古び加減もよろしくて。それから富士市のJR吉原駅から出ている岳南鉄道がまたよろしい。鉄ちゃんには有名だけど。いやあ、工場萌えの自分に気づいてしまった。

 給水塔萌え、団地萌え、滑り台萌え、廃墟萌えなどなどなべて男は萌え〜たがる。政治萌えは手がつけられないし、女萌えは金がかかる。工場、給水塔、団地、滑り台、廃墟それからトマソンなんかは歩き回る=発見が大事だから金がかからない。だれでも萌え〜られる。私なんざあブックオフに出合って古本萌えに火がついた。でもいい大人が、とあきれられることはままある。

 昼食後、近くのホームセンターへ。午後一時からのSBSラジオの生放送に合わせて西島三重子のミニライヴがある。仮設ステージの裏にいた彼女にご挨拶。久しぶりに会った彼女、美術館へ行かなくては、とお世辞がうまい。ご主人を紹介される。恰幅のいい人だ。昨夜は彼女の二枚組ライヴ盤「記憶の時間」1982年を聴いてきょうに備えた。これはCD化されていない。新宿ルイードのライブでは私の拍手も録音されているはず。そんなこんなで、童謡を歌う彼女を人込みの裏からほの甘くほろ苦い気分で観ていると、知人から声をかけられる。こんなところで遭うとは。