ミステリよりおもしろい

 春だ。こんないい陽気では染井吉野の開花がぐっと進むだろう。
 ブックオフ長泉店で三冊。岡井耀毅「瞬間伝説 すげえ写真家がやって来た。」KKベストセラーズ1994年初版帯付、姫野カオルコ「桃」角川書店2006年2刷、同「ハルカ・エイティ」文藝春秋2006年4刷、計315円。

 小森収・編「ミステリよりおもしろい ベスト・ミステリ論18」宝島社新書2000年は面白い。確かにミステリよりもオモシロイ部分もある。面白そうな文章を読んでいったら全部読んでいた。
 北村薫「解釈について」から。
「様々な解釈をなし得る作品、批評の方法が時代と共に変わっても常に受けてたち、その対象となり得る作品こそ懐が深いといえ古典といえるわけだ。」
 「解釈について(続き)」から。
「解釈の冒険を許さない作品は、実につまらないものだろう。」
 ウェブサイト孤低のつぶやき の27日でも同様のことが書かれている。
「読者が小説を読んで『面白い』と思う感覚は、かならずしも作者の意図をそのまま捉えたからではないだろう。エクリチュールの理解はどこまでも自由である。」

 昨日深沢幸雄氏から恵まれた石川健次「転機の一点」は「さまざまなジャンルで活躍する51人の代表的な芸術家」へのインタビューをまとめたもの。51点の「転機の一点」をカラー図版で紹介。深沢幸雄氏は「凍れる歩廊(ベーリング海峡)」1978年。

 他の50人の作品で欲しい!観たい!と願うのは藤田喬平の宙吹きガラス「虹彩」1964年作、東京国立近代美術館蔵。「二度とできなかった」