古本に憑かれる

 昨夜自転車でブックオフ三島徳倉店へ行く。ジャン=ジャック・フィシュテル「私家版」創元推理文庫2000 年初版、ドナルド・E・ウェストレイク「最高の悪運」ハヤカワ文庫2000年初版、計210円。前者は28日の北村薫のエッセイで触れられていたもの。持っていると思っていた。夜風が心地よい。
 梶山季之せどり男爵数奇譚ちくま文庫を読んだ。古書古本に憑かれた人たちの数奇な出来事。面白くて勉強になる。
 そういえばネットで古本を注文しなくなっていた。欲しい古本は高額で手が出ない。
 そんな私だから自慢するような古書古本はない。エヘンと鼻を高くしたいのは、水木しげるつげ義春らの貸本漫画だ。1970年前後、貸本屋を捜し歩いて100円200円で買い求めた。東京、甲府、倉敷、三次、旅先でこの辺にありそうだな、と歩いて見つけた。他には同じ頃、合田佐和子「オブジェ人形」グラフ社1965年初版函付を近所の古本屋で150円で買ったくらいか。
 「古書往来」の49回は四方田犬彦による由良君良の評伝について。由良君良という人も古本に憑かれた人のようだ。

 静岡新聞朝刊、「論壇」は伊藤元重「『アーケード保護』再考を」。
中心市街地を活性化することは大切なことだと思うが、それとアーケードのシャッター街を活性化することとは同じことだろうか。」
「そもそも商業を中心にまちづくりを考えるのは本末転倒ではないだろうか。(略)既存の商業施設を前提にしたまちづくりを考えるのではなく、どのような街ができてくるのかということが出発点になって、その結果としてその街にあった商業が生成してくるはずだからだ。」
「いつの時代も商業は街の生成の結果であり、商業が基盤となって街ができるケースは少ない。」
 わが街三島の中心市街地の過去現状未来を考える上で示唆に富んでいる。自宅前の「大通り商店街」のアーケードは今年中に取り外され、電線が地中化される。それと源兵衛川をはじめとする川の修景に並行するように三島の中心市街地は魅力を増しつつある。で、東京はどうなんだ?

 ちょっと面白いと感じた言葉→レトロ系評論家(唐沢俊一の肩書き)、ファスト風土、理解魔。理解魔は詩人・鮎川信夫のことだけど、大岡信にも言える気がする。