変容

 昨夜はレンタルビデオの映画「電送人間」を観た。きょうが返却日だったわ。戦後14年とか言っていたから1959年だろう、東京の夜は暗い。検問の灯りが提灯とは、絶句。キャバレーでは金粉ショー。ホステスは超ミニ。風俗は変わらんなあ。

 伊藤整「変容」岩波書店1969年3刷を少しずつ読んでいる。長い間の疑問が氷解した。帽子のこと。
「帽子は、戸外は雨、風、雪、太陽にさらされた場所だという意識につながっている。だが今は、戸外には室内の連続としての車がある、というのが都会人の生活意識だ。車は自動車、地下鉄、バスなどであるが、それによって都会の中は、風、雨、雪、太陽にじかにさらされることなく動きまわることができる。そういう意識の人間には帽子は用がないのだ。」216頁
 昭和初期には帽子姿の紳士が当たり前だったのに、どうして帽子だけが廃れたのか不思議だった。こんな理由だったのか。東京の変貌とともに服装も変化していった。和装が洋装に替わっていったように。

 ブックオフ長泉店で一冊。鹿島茂「悪女の人生相談」講談社2005年初版帯付、105円。帯文から。
「『悪女』の反対語は 『馬鹿女』である!」