仕事? 遊び?

 昨晩は自宅に25歳の男、32歳の女性、56歳の男と私の四人が初めて集い、車座になって床に食器を置いて食事しながらアーダコーダと歓談。当然音楽は気分しだいでCDを変える。好評だったのが、イギリスのレゲエ詩人リントン・クウェシ・ジョンソンの25周年ライヴ。25歳の男がいちばんはまった。彼は、私が集めたガリ版刷りのアジビラ(1969年・1970年)や当時の書物を熱心に読んでいた。そういえば32歳の女性もガリ版体験がない。世代の隔たりを痛感するけど、それを超えて1970年頃の熱気に憧れる若い男もいる。彼は山本義隆の本や「新宿西口広場」のドキュメントビデオを借りていった。なんか朝から夜まで仕事と遊びがごっちゃ混ぜな気分。このグチャグチャな混沌から何か新しいものが生まれれば……いい……けど。

 昨夜風呂に入らず寝てしまったので、朝風呂に浸かる。湯の屈折率のせいだろう、朝日を受けて湯の中の身体が生き生きしている。朝寝朝酒朝湯とはよく言ったものだ。この習慣にハマルと仕事をうち忘れてしまうわあ。そうか温泉場とはそういうものだ。

 ブックオフ長泉店で坂口安吾「アンゴウ」を立ち読み。短編なので立ち読みにちょうどよい。北村薫が話題にしていたので気になっていたもの。疑心から切ない記憶へ。アンゴウは暗号のこと。軽い読み物だけれども心に残る。同じく短編ならではの結末が鮮やかな印象はA・H・Z・カー「黒い子猫」。「誰でもない男の裁判」晶文社2004年収録。表題作も面白かった。この表題作は訳文が読みにくいという感想があった。私は全然感じなかった。この違いはどこからくるのだろう。