浮上せず

 風邪ぎみのほうが女性にモテるよ、と知人から言われたが、昼前に来館された美女はお体の加減はいかが?と心配された。美女から見つめられると、少し良くなりましたともまだまだです、とも答えられない。ありがとうございます、としか言えない愚かな我が身よ。

 一昨日の毎日新聞読書欄に長山靖生「奇想科学の冒険──近代日本を騒がせた夢想家たち」平凡社新書海部宣男が評している。
「明治初期に、ニ○六五年(!)の世界を描いた『新未来記』(ハルティンク著)を訳出したのが、教育者として重きを成した近藤真琴。近代日本の最初の翻訳小説でもある。」
近藤真琴はなぜ『新未来記』に惹かれ、翻訳するに至ったのか。彼は『未来を発見し、進歩を発見したのだ、と、著者は結論付ける。さんもありなん。中国文化・日本文化は、旧きを尊び、古(いにしえ)の聖君に学ぶ文化だった。そこに現れた強力な西欧文化は、論理的で実践的な学問と産業に支えられ、未来への驚くべき発展を予見させる文化だったのだ。かくて明治知識人たちは、窮理(物理学)に憧れ、学問の普及を目指した。」

 過去から未来への大転換。これは私のちょっと気づかなかった視点だ。文明開化か。そういえば日曜日に川掃除体験に来た東大大学院生は「新領域創成科学研究科」所属。複雑系(性)の科学を連想させる科だ。

 きょうも十人ほどの作家が来館。展示物を置いたり、設置場所を確保したり、ワイワイまったり。みんな浮いているけど、私一人浮上せず。でも愉快。