台風接近

 夏風邪による咳はだいぶ収まってきて、やれやれといったところだけど、右腕のヒジから上部にかけて一筋の赤みのかかった線がある。スジでも違って痛むのだろうと放っておいたのだけど、これは帯状疱疹だと言われた。そういえばそうかも。今朝は腕を伸ばすと痛む程度だからそのままにしてあるけど。こんな初期段階で止まってやれやれ。帯状疱疹なんて生まれて初めて。なんか生まれて初めてのことが多い今年だ。八月の展覧会参加者は67人に。うへえ〜。八月は台風一過並みの展示になりそ。

 雨のお散歩。ブックオフ長泉店で三冊。井上ひさし「手鎖心中」文藝春秋1972年初版、高楼方子(たかどのほうこ)「時計坂の家」リブリオ出版1992年初版、天藤真「雲の中の証人」創元推理文庫2001年初版、計315円。

 体調はまだ低空飛行なので、昨日買ったファッション写真集を観る。美女とゴージャスな衣装。眼が元気になる。アレキサンダーリーバーマンの解説から。

「写真は美術の伝統の一部をなすものではない。写真は自らの伝統をもつ創造の手段であり、美術の伝統の影響から自らを早く解放すればするほど、それだけ写真はより偉大になれる。写真は絵画と比較されるべきではない。」

「写真と印刷という二次元的プロセスを通じての印象づけが、ファッション写真が人間の記憶に残ることへのカギのひとつになっている。人間は三次元で物を見ることに大いに抵抗を感じるようであり、写真の二次元的特質は、人間の記憶能力に大きな影響力をもつ。」

 後者の引用、「人間は三次元で物を見ることに大いに抵抗を感じるようであり」にぐっと惹かれた。美しい自然を実際に見るよりもそれを描いた風景画を人は好む。絵画という平面=二次元世界に、人はなぜか惹かれる。アニメーションがそうであり、自身、アニメキャラのフィギュアよりも平面の絵=印刷を一層好む。これはなぜだろう。これは、私にとって長年の疑問だ。

「文化のたいていの分野でそうであるように、真に重要なのは、創造者がそう意識しないで生れてきた作品なのであり、ときには、それが創造者の意思に反して生れたものであることもある。何が注目に値しないもので、何が永遠の生命をもつものであるかを決めるのは、後代の文明なのだ。」