きょうも曇り空の静かな日

 昨日買った中野翠「ふとどき文学館」の巻末は1996年当時流通していた文庫本からの「厳選文庫50冊」で、「私がお宝のように思っている文庫本50冊。」
 私の知らない本は業田良家のマンガ「自虐の詩(上下巻)」竹書房文庫。
「見るからに貧乏くさく幸薄そうな幸江と、パンチパーマの乱暴男イサオのいっぷう変わった純愛物語。」
 リスト一番目が久生十蘭「黄金遁走曲」、二番目が国枝史郎神州纐纈城」、三番目が夢野久作ドグラ・マグラ」、次が「尾崎翠」、50番がオーブリー・ビアズレー「美神の館」と、常識的な選定だ。39番「サキ短編集」の紹介で、
「O・ヘンリイは人情味のある"ちょっといい話"だが、こちらはだいぶクール。」
 とあるが、毎日新聞15日の読書欄、「オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション」理論社高樹のぶ子評の見出しは「作意が生む高踏的苦笑の快楽」。
「待ちかまえているのは、ハッピーエンドでも悲劇でもない。もう一手どんでん返しが加えられたのち、アイロニーの幕が引かれる。」
「お、これはやられた、人間は外見じゃ判らんもんだ、という高踏的苦笑をもたらしてくれる。」
 「人情味のあるちょっといい話」とはえらく違ってるなあ。

 ブックオフ長泉店で二冊。京極夏彦「覘き小平次中央公論新社2002年初版帯付、「学生諸君!」光文社2006年初版帯付、計210円。