秋の日

 朝が冷え込み富士山が全容を見せ、秋……、を感じる。旅心が芽生えるけれど、当分お預け。毎日新聞の旅行広告には目を留めず書評欄へ。おお、張競の評文では独壇場(どくだんじょう)ではなく独擅場(どくせんじょう)が使われている。嬉しい使い方だ。

 秋は心を侘しくさせる。
「(略)さんは話したいこと、相談したいことが多くあると仰有ったが、それを振り切っての帰路となった。後日機会はもうけますと約束したものの、私にできるのはこれまで。」
 某掲示板の書き込みに嘆息。あのやたら喧嘩が強かった文筆家が……男の老いの侘しさよ。

 女は強い。静岡新聞読書欄、五十嵐太郎「『結婚式教会』の誕生」春秋社の島村麻里評から。
「 『てんとう虫のサンバ』に歌われたチャペル婚から三十余年。オタクが秋葉原を『趣都』化させたように、『アタシがサイコーに輝くため』にはカネと時間を惜しまぬ女の欲望はいまや、本物もフェイクも踏み越えて、国の景観を変えつつあるのだと、本書を読めば実感させられる。」
 20世紀は男の空威張りが通用した時代、21世紀は女が仕切る時代か。

 ブックオフ長泉店、105円棚がすきすき。伊集院静「ごろごろ」講談社2001年初版函帯付、青山二郎「骨董鑑定眼」ランティエ叢書1998年初版帯付、計210円。前者は函に惹かれて。なにはともあれ105円で買える本があるのは嬉しい。