福永武彦「夜の時間」1955年発表を読んだ。「夜の三部作」の第三部。親友の男同士の女を巡る三角関係、そして四年後の女同士の男を巡る三角関係。どちらにも絡む男と女。誤解と葛藤そして修復と別れ。
「夜は更けていた。そして今は夜の時間だった。もう黄昏の思想とか落日の思想とか呼ぶ曖昧なものではなく、意識が行き止まりだと感じるぎりぎりの待ったなしの時間、そこに自分の存在を置いたことを冴子ははっきりと感じた。」
作家にとっては意味深い小説かもしれないが、今読むとなんだかなあ。
夜は人それぞれの表情を持つ。中井英夫十五歳(!)の詩「未亡人の夜」から。九時、十時、十一時と連を踏んで十二時に。
十二時・紫水晶の時刻
ただやみがあるばかり
きまって悪魔が
わたしの胸にこしかけている
ブックオフ長泉店で二冊。新潮日本古典集成「枕草子 上・下」新潮社1979年4刷3刷帯二本付、計210円。「源氏物語」は円地文子訳で読んでいるけど、こちらは未読。この歳になってやっと読み通せる気がする。ホント?
物色中に若い知人女性から声を掛けられる。友だちと古本を売りにきたら駐車場で私を見つけたとか。社長とケンカ(?)して転職したと言う。タフな子だ。まだ23歳か?