マラソン

 昨夕雨が降ったので傘をさして帰宅。今朝雨が止んだので畳んだ傘をもって美術館へ徒歩で来る。途中、マラソンをしている白髪の男性とすれ違う。彼は整体を生業としている。車椅子の女性に惚れて結婚した。彼女の固くなった身体をほぐしていると、知人から聞いた。車椅子の彼女を街で見かける。こういう人生、生き方もあるんだなあ。
 弱視の知人女性は、結婚して娘さんがいる。美術館を開いた頃ご夫婦で来館された。ご主人が彼女に味戸ケイコさんの絵の説明をなさっている光景に胸がじいんとした。これが夫婦なんだなあ。いたわりあって永く続けたいなあと、未婚・同棲未経験の私は思った。
 福田恒存語録「日本への遺言」文春文庫1998年、「夫婦の理解」から。
「『理解』はけつして結婚の基礎ではない。むしろ結婚とは、二人の男女が今後何十年、おたがひにおたがひの理解しなかつたものを発見しあつていきませうといふことではありますまいか。」
 そうはいってもなあ、ではある。周囲では今春恋愛結婚した夫婦が離婚の話を進めている。二十年近い結婚を経て離婚届けを夫に手渡している人もいる。マラソンを選ぶかダッシュで離婚を決断するか。結婚に縁のない私は観客席で見てるだけ。

 午後一時半から三時間ほど、三島の水環境と川の景観を視察に来た六人を案内。マラソン案内だ。午後五時過ぎ雨が降ってきたので徒歩で美術館へ戻る。