秋の暮

 昨日の句は松尾芭蕉の作品を間違って記憶していた。以下が正しい。

  此道や行人なしに秋の暮れ

 加藤郁乎には句集「秋の暮」南柯書局1980年がある。

  このひととすることもなき秋の暮

 他二十近い「秋の暮」が収録されているが、これに収録されていると記憶違いしていた句がある。

  三夕やさいふをさがす秋の暮

 これは句集「佳氣颪」(かきおろし)コーベブックス1977年に収録されていた。三夕とは藤原定家、寂蓮、西行の名歌のこと。

  見渡せば花ももみじもなかりけり浦のとまやの秋のゆふぐれ  定家

  さびしさはその色としもなかりけり真木たつ山の秋のゆふぐれ  寂蓮

  こころなき身にもあはれはしられけり鴫たつ沢の秋のゆふぐれ  西行

 こういう有名な歌にはまず本歌取りがある。定家には服部嵐雪の俳句。

  舟炙るとま屋の秋の夕かな

 加藤郁乎には西行本歌取りがある。記憶から引き出す。

  いかものかは鴫立つ沢のスピノザーメン

 ブックオフ長泉店で二冊。林丈ニ「フランス歩けば…」廣済堂1993年初版帯付、ナヴィ インターナショナル編著「『日本三大』雑学236」幻冬舎文庫2003年初版、計210円。前者の路上観察写真が楽しい。