晩秋挽歌

 いかにも侘しさを感じさせる曇天の秋空。こんなときは若いテレビ女優に目が向く。今夜の「歌姫」相武紗季、明日の夜の「SP」の真木よう子あたりが最近の好み。それにしても一発変換しないのが困る。愛撫や魔鬼だから。普段どんな文字を入れているのか。挽歌は晩夏がまず出る。ま、これはそうだな。「晩秋挽歌」は福島泰樹の歌集の題名。

 静岡新聞朝刊、文化庁の長官表彰の記事、表彰者に加藤郁乎(いくや)氏の名前。
「加藤氏は、俳句と詩の分野で伝統的な形式にとらわれない創作を続け、文学界の発展に寄与した。」
 「卵生の狼少年」(種村季弘)が。

  冬の波冬の波止場に来て返す  加藤郁乎

 ブックオフ長泉店で二冊。鳥飼否宇(とりかい・ひう)「昆虫探偵」光文社文庫2005年初版、エリック・ガルシア「鉤爪の収穫」ヴィレッジブックス2005年初版、計210円。前者はゴキブリが探偵、後者は人間の着ぐるみを着た恐竜が探偵。なんだかなあ、こういうのはゲテミスというのかなあ。昨日のバカミス霞流一「屍島」が横溝正史「獄門島」を下敷きにしているのにたいし、「昆虫探偵」は全七話が横溝正史「蝶々殺人事件」や北村薫「夜の蝉」などを下敷きにしている。前者は「蝶々殺蛾(さつじん)事件」、後者は「昼のセミ」といった具合。ミステリは進化し続ける。