汁かけめしイケマセン

 遠藤哲夫汁かけめし快食學」ちくま文庫は快作だ。特に第7章「汁かけめしイケマセンと雑穀食」には興奮した。
「この主張もすごいものがあるが、このように、歴史を変化するものととしてはとらえずに、過去のどこかに完成点があって、それをそのまま守り伝えようとするのが、日本の伝統主義の特徴である。それは必然的に、変化する歴史の中では、独善的ともいえる主張にならざるをえない。」206頁
「料理や食事の様式は、自分たちが実際に手にできる食品、台所の条件、設備や用具や食器の条件など、そういういろいろな要素が歴史的にからみあって生まれたり、存在したりするのだ。そうして多くの人間が生きられるようにとやってきたのだ。」217頁
 他にも引用したい箇所が丼に富士山ほどある……のでやめる。ミシュラン読む前にこれを読め、だな。

 昨日の静岡新聞朝刊「論壇」、佐藤隆三ニューヨーク大名誉教授「米のダブルスタンダード」の結び。
「日本の給油活動が終わったことを報道した米メディアは見当たらない。給油を再開しないと米国に見放される、は日本の片思い的発想だ。イスラエルと比べれば日本はすでに見放されている。この現実から日本外交を構築せよ。」
 「汁かけめし快食學」を読んだせいで、米をコメ、米国を米穀と読んでしまう。米穀が駄目でも雑穀がある、中国がある(なんか違う気がするな)。

 ブックオフ長泉店で二冊。アナイス・ニン「小鳥たち」新潮文庫2006年初版、T・ジェファーソン・パーカー「サイレント・ジョー」ハヤカワ文庫2005年初版、計210円。