求めない・求める

 昨日来館した知人女性が、加島祥造「求めない」小学館2007年を持参した。この本を寝起きに開いて開いたページを読むと心が開かれてくると言う。拝見。右ページに「求めない」の一行。左ページに短文。一瞥で決まる短詩のようだ。左右の言葉の響きあいが絶妙。ちょっと疲れた心には効きそう。
 求めない……か。私は美術品はもう求めてはいない。これ以上あっても保管に困る。なのに本は求めてしまう。困ったことだ、と言いたいけど、別に困ってもいないなあ。なにせ105円本の探索なので。手放す古本はかなりたまってきている。求めている人に手渡したい。求めて入手した本なので、求めている人を求めている。

 ブックオフ長泉店で二冊。フォークナー「熊」岩波文庫2000年初版、クロフツ「ホッグズ・バックの怪事件」創元推理文庫1983年初版、計210円。前者は加島祥造の訳。