そぼ降る雨

 そぼ降る雨のなかを徒歩で美術館へ。初冬の雨は雲の色も重苦しい。重苦しい詩を創作した萩原朔太郎の辞世のことば。

  行列の行きつくはては餓鬼地獄
  黒幕の影からいよいよ角を出し

 いかにも彼らしい表現だ。在原業平の辞世のことばも彼らしい。

  つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日(きのふけふ)とは思はざりしを

 朔太郎一九四ニ年没、享年五十七歳。業平八八○年没、享年五十六歳。私は五十七歳。まだ生きている。

 雨が上がった昼、ブックオフ長泉店へ。昨日見送った何冊かの単行本が無くなっている。やはりね。「村上春樹、川合隼雄に会いにいく」岩波書店1997年6刷帯付、宇佐美英治・志村ふくみ「一茎有情」ちくま文庫 2001年初版、計210円。