深化する新作の真価

 沼津市出身の画家坂部隆芳氏から、来年高島屋各店で巡回展が催される新作展の図録を恵まれる。五年前の作品展では新作について感想を認めている。今回はその心境をさらに深めたものになっていると感じた。しかし、印刷ではその真価を見極められない。

 ブックオフ長泉店で二冊。岡倉覚三(天心)「茶の本」ワイド版岩波文庫1994年4刷、田中小実昌「なやまない」福武書店1988年初版、計210円。後者は全く悩まずに手が伸びたけど、もう一冊を悩んだ。結局「茶の本」になったけど、これは愛読の一冊。最初は講談社文庫で、次に岩波文庫で何度か読んだ。老年にさしかかったのでこれからは大きい字で読もうと。そういえば朝刊の広告、「週刊新潮」の一行見出し。
「口癖は『子どもがほしい』志村けんの『悲しき老境』」
 ああ、同世代、情けねえなあ。塚本邦雄の短歌ニ首。


  五十五歳の淡路の伯父に子が生まれ名づけたりけるその名「なでしこ」  

  豪放磊落つひに独身(ひとりみ) 
     憤然とある夜飛白(ひはく)の霞草挿す