古人から使い人へ

 きょう旧暦の新年に古道具店が開店。案内状の注文を受けたデザイナーからキャッチコピーを依頼され、作ったのが上記「古人(いにしえびと)から使い人へ」。営業時間はお昼から日没頃というので、「営業時間 昼時分〜日没まで」とした。案内文ともども店主、デザイナー双方から好評。ヨカッタ。店名は「川瀬」という。柿田川を臨む高台にあるからと聞く。たしかにいい眺望だ。

 毎日新聞昨夕刊コラムに一枚20万円のガラスCDの試聴記。プラスチックの普通のCDとの比較。
「聴き比べると、まさに、白濁したプラスチックが透きとおったガラスになったような変り方だ。」
 1962年の「テープによるアナログ録音」が音源で「最新のデジタル録音に比べてアナログ録音のほうが、録音の精度は低いとされる。しかも40年以上を経て、年数による劣化も大きい。ところがアナログで録音した音は、その後にカラヤンがデジタル録音した『第9』よりも、ガラスCDによって生き生きとよみがえっている。」
 古い時代の凄いアナログ技術を十全に活かす最新デジタル技術。古人から使い人へ、だ。

 毎日新聞朝刊コラム「ひと」は中国・瀋陽で生まれ日本に帰化した長谷川暁子という女性。戦時中「ラジオで日本兵に戦争中止を訴え続けた反戦運動家長谷川テル」の娘。中国で「革命烈士」と呼ばれる長谷川テルは彼女を産んで10カ月後1947年に死去。中国人の父も3カ月後に死去。母の記憶のない彼女。……先だってギタリスト羽野誠司氏からメールが届いた。彼がウェブサイトを管理している語り女松田晴世 の成人になった娘さんの情報。松田晴世は娘を産んだ二日後に急逝。
「彼女は母親のことを、ほとんど聞かされずに育ったそうです。しかし親の血でしょうか、いま音楽をやろうとしています。」
 松田晴世を寺山修司はえらく気に入ってバックバンドの名前を考えてくれた。彼女と渋谷を歩いていて「クマさ〜ん!」と彼女が呼びかけた鉄のゲージュツ家篠原勝之。今は無き渋谷ジアンジアンでのライヴ。にわかに血が騒ぐ。

 ブックオフ長泉店で二冊。トーベ・ヤンソン「誠実な詐欺師」ちくま文庫2006年初版、ダン・ローズ「コンスエラ」中公文庫2006年初版、計210円。