対象を突き抜ける

 諏訪敦の新作絵画はじつにエキサイティングだった。
「その描く行為は、対象という現象を突き抜けてしまった…。」
「現実という現象を突き抜けたところに出現する世界。」
「今の候補は超幻実主義。現実の弾性を最大限まで揺さぶり、振り切ったところの破・現実を諏訪敦さんは描いている。」
「諏訪敦さんは『真のリアリスト』ではない。現象としての現実を突き抜けたところを描破している=してゆく画家です。」
 とは、昨夜書いて今朝投函した手紙から。
 現実の弾性を弾性のままに描いてゆく静動の坂部隆芳。現実の弾性を突き抜ける生動の諏訪敦。
 坂部隆芳と諏訪敦。目の離せない画家だ。

 ブックオフ長泉店で二冊。伊東俊太郎・他「思想史のなかの科学」平凡社ライブラリー2002年初版、長谷川三千子「バベルの謎 ヤハウィストの冒険」中公文庫2007年初版、計210円。