もったいない

 スーパーのチョコレート棚がガラガラ。好みのチョコ、義理チョコ用で買い占められたらしい。チョコの無い生活……トホホ。

 E・ケストナー「人生処方詩集」ちくま文庫から「現代美術展覧会」という四行の詩。

  会場のぐるりに人が立っています
  諸君は珍しいことだと思いますか?
  これは全然見物人ではないのです
  これは画家自身なのです

 この詩集は1936年に出版された。この詩は昭和初期に作られたことになる。そんな昔も「現代美術」は人気がなかったんだ。70年以上もの間、現代美術の危機が言われてきた。70年も危機的状況だったということは、「現代美術」は一般大衆の興味の埒外にあるという証明だ。それが関心を呼ぶのは、ン千万円で売れたとかいう話題のときだけ。そんな話題性が多くの人を呼び寄せる。その作品がいくら素晴らしくても、それだけでは人は集まらない。それは東京国立博物館の平成館と本館の入場者を見れば一目瞭然。企画展時の平成館はざわざわ混雑している。同じ日の常設展の本館は人影まばらでこの上なく静か。こんなにいい作品が並んでいるのに、もったいないと考えてしまう。

 ブックオフ長泉店でもったいない気分で二冊。広川純「一応の推定」文藝春秋2006年4刷帯付、「青春メルヘン傑作選」旺文社文庫三冊セット箱入り。ルイス・キャロル不思議の国のアリス」、サンド「愛の妖精」、ラルボー「めばえ」の三冊が入って105円。箱入りが私には珍しくて購入。計210円。

 先日、味戸ケイコさんから安房直子作・味戸ケイコ絵「うさぎ座の夜」偕成社2008年1月初版を恵まれる。お礼と感想文を送る。
「とってもあどけない愛らしい絵本になりました」
 と、味戸さんは添付された葉書に書いていらっしゃるけど、言葉どおりに素直で素敵な絵本に仕上がっている。いい絵本だ。もったいないからしまっておいて、興味ある人にだけにお見せする。