世紀を読む

 毎日新聞昨夕刊、梅津時比古「コンサートを読む」から。
「作曲家の世界観が作品に結実するという従来の価値観が大きくゆらいでいる。作品は演奏家によって注釈され、さらに聴き手から注釈が加えられ、互いの注釈がまた別の注釈を生む。その注釈=読み直しの多義的な関係性のなかに作品の場があるという意識が、現代の聴衆の基層にある。」
 そうだろうなと思う。これは美術に関しても言えることだと思う。

 山崎正和「世紀を読む」読了。毎日一、二編を読んでいた。どのエッセイ(論評?)も目が行き届いていて、時代状況の簡明な分析にただ感銘を覚える。時代の課題を考えるときに一つの指標とするのが山崎正和の文章。この本もじつに刺激的だった。