泣けば勝ち

 国会は「D・N・A」でタイヘンという。D=道路特定財源、N=年金(そして日銀総裁)、A=イージス艦あたご。地獄の釜の蓋があいたような情けない国会だ。地獄といえばイギリスのジョーク。
「大丈夫、地獄は君が行くまで満員にならない。」

 毎日新聞朝刊静岡ローカルに沼津市長興寺の泣き相撲が人気という記事。このサイト上部のチラシと泣き顔は、一日にふれた沼津市の商業デザイナー内野まゆみさんが制作。彼女のデザインセンスを私は気に入っている。

 ブックオフ長泉店で二冊。沢木耕太郎「天涯 第一」スイッチ・パブリッシング1998年3刷、六嶋由岐子「ロンドン骨董街の人びと」新潮文庫2001年初版、計210円。
 重い写真集「天涯」をパラパラと観る。92頁の文章に目が留まる。
「私は盗まれて困るようなものを持っていない。だから、荷物のすべてはホテルに残したままである。パスポートと現金をコートのポケットに入れている以外、手に何ひとつ持たずに街を歩きはじめた私は、異邦の街の中にあって、透明な存在になったような心地よさを感じている。私はこの街で何者でもない。この街の住人ではもちろんなく、ある意味で旅行者でもない。ただ、目的もなく街をさまよっているひとりの異邦人にすぎないのだ。」
 う、カッコよ過ぎ。場所が北アメリカだからこう言えるのだと思う。大竹伸朗のモロッコの紀行記を読んだ身にはそう感じてしまう。モロッコの雑踏ではそんなことを言ってられんぞお。でも、沢木のこの気分、わかる。20年ほど前フィリピンはマニラへ一人で行った時、沢木と同様のことをした。街をよく知る長期滞在の異邦人と現地の人からは見られたらしく、乞食など誰一人声を掛けてこなかった。いや、ビンボー人と思われたのかもしれない。