3月24日(月) 休館日

 雨なのでお蒲団でぐずぐず。午後には晴れてくる。暖かいせいで三嶋大社の桜は三分咲きくらいに。今年は早!

 福永武彦ゴッホゴーギャン、内面への道」の続き。「現実を作者の主観によって変貌させる傾向」は、
「絵画そのものの中で、純粋に、現実を変貌させようとするか、または絵画以外の要素を含めて、つまり文学的な解釈を許すような方向において、現実を変貌させようとするか、この二つに分れることになる。」
 ファン・ゴッホは前者、ゴーギャンは後者だという。ファン・ゴッホは、
「主観的ではあるが、それは絵画というジャンルに忠実な範囲内での試み」
 ゴーギャンは、
「同じく主観的であるが、彼の場合の現実は、むしろ幻想に近いものである。絵画は彼の思想を示すための媒介にすぎない。」
 ゴーギャンの流れに位置するものが、昨今の現代アート、前衛美術といわれるものであるように思える。この辺から現代美術への違和感を語ると長くなるので止めておく。このエッセイの末尾から。
「先駆者の歎きは終生二人に附き纏った。しかし、今日、ゴッホゴーギャンを悦んで鑑賞しない者はいない。もはや人々の常識でさえある。ということは、絵画とは現実をその作者の主観によって変貌させ、定着させたものだということを、私たちが知っているからである。」

 ブックオフ三島徳倉店で四冊。我孫子武丸弥勒の掌」文藝春秋2005年初版帯付、有栖川有栖「絶叫城殺人事件」新潮社2001年初版帯付、笹沢左保「人喰い」中公文庫1977年4刷、都筑道夫「なめくじに聞いてみろ」講談社文庫1979年初版、計420円。