それぞれの岐路

 知り合いの奥さんが親の介護のため一家で東京へ引っ越した。三島市から通って面倒を看るのはもう無理のよう。ご近所で一人暮らしのおばあさんを、東京に住む息子が週末ごとに来ては布団干しなどの面倒を看ている。定年になったら帰ってくると言うが、まだ先だ。先だって自宅を新築した友人は、やはり定年になったら即三島の実家へ帰ってくると言っている。家と妻子はどうするんだろう。まさか……。世の中、国会を見れば何が起きても不思議ではない。それにしても、見切り千両の大事さを実感するこのごろ。方向舵を思い切って転換する時には、涙を呑んで切り落とさねばならぬものがある。抱え込んでの転換は沈没を招くのみ。ああ、古本を売る?まだまだ本棚には余裕がある。決断できねえなあ。
 そういえばブックオフ三島徳倉店にはケータイ小説のコーナーがあった。初めて見た。

 静岡新聞朝刊に高校美術の教科書検定で、横尾忠則の1965年のポスター「暗黒舞踏派 ガルメラ商会」が不合格という記事。
「極小文字に『不健全』」
「重箱の隅つつく」
 「私の娘展示即売会場」(売、会は旧字体)が「健全な情操の育成に必要な配慮を欠いている」「人身売買を思わせる」からダメだと。「右から左に横書きされた問題の文は、教科書に合わせて縮小すると、ごま粒ほどの小さな文字になる。」
 横尾忠則は言う。
「日本の知性、文化のレベルを示すようで寂しい」

 午後一時から午後六時近くまで、石川県河北郡津幡町から源兵衛川を視察に来た六人を案内。源兵衛川を徒歩で歩いた後、三島駅でレンタカーに乗り清住緑地を見学それから当美術館へ案内。金沢市出身の木版画絵師小原古邨に驚嘆、満足される。よかった。