羨望の拒否

 昨日の毎日新聞朝刊、鹿島茂「引用句辞典 不朽版」のお題は「ア・ボン……」。
 フランス語「ア・ボン」とは「あ、そう」。続く「……」が面白い。
「強いて言葉を入れるとすると、それは『エ・アロール?(それが、どうしたの?)』ということになる。つまり、『ア・ボン』の後には、『ふん、それがどうしたの? 私はちっとも羨ましくなんかないからね』という『羨望の拒否』が来るのである。」
「ひとことでいえば、明治の急激な文明開化と戦後の驚異的復興は、すべてこの日本人の『いいな、いいな』のなせる術であったのだ。」
 いいな、いいな、からもう脱却しなくっちゃ、ね。エ・アロール、渡辺淳一はどうなんだろう。

 毎日新聞昨夕刊、梅津時比古「音のかなたへ」のお題は「沈黙」。結びから。
「人は誰でも、何事も語りたくないときがある。沈黙しているとき、その内部の精神は激しく揺れ動いている。そして、沈黙している世界は、崩壊寸前なのである。」
 何も語りたくない私は、昨日からの風邪症状で崩壊寸前。健康状態が羨ましい。ア・ボン。